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ビジネスプロセス・リエンジニアリング 2.0


はじめに

生成AIは、2023年流行語大賞のTop 10にはいり、日経MJ ヒット商品番付の東の横綱になりました。2024年もその動きには目が離せません。
一方、私が生成AIの技術的側面以上に今年注目しているのはビジネスプロセスリエンジニアリング 2.0です。
今回は、ビジネスプロセス・リエンジニアリング 2.0についてお話しします。

ビジネスプロセス・リエンジニアリングとは

ビジネスプロセス・リエンジニアリング (Business Process Reengineering) はBPRと略されます。BPRとは業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で、職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインしなおすことです。(出典:https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/alphabet/bpr
ビジネスをシステムとしてとらえ、システムの上で動くプロセスの効率をあげることでビジネス成果を最大化するものです。
元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーと経営コンサルタントのジェイムス・チャンピーが1993年に出版した著作「Reengineering the Corporation: A Manifesto for Business Revolution」により世界的に広りました(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0
ワークステーションやPCが導入されてオフィスオートメーションという用語が生まれた時代の産物でした。企業は会議をして伝言ゲームをしている時代でしたので、あまりにも早すぎました。

ビジネスプロセス・リエンジニアリング 2.0とは

デジタル化が進んでDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が生まれる2010年代になっても企業の本格的変革は進みませんでした。
日本の主要大企業は1990年代と2020年代でそんなに変わり映えしません。ビジネスモデルも大して変わっていません。
しかし、生成AIは違います。ホワイトカラーの属人的要素という組織の不変と思われたボトルネックを解消する可能性があります。
ビジネスプロセス・リエンジニアリング 2.0とは:

  • 生成AIを前提に組織の人員、教育、ワークフロー、人事評価、目標管理、経営管理をすべてゼロから見直すもの

です。

ビジネスプロセスリエンジニアリング 2.0を阻むもの

企業が生成AIを全社導入しました、生産性が20%あがりました、というような報道発表をするたびにがっかりします。

人間を自由にコピーできる技術ができたのに生産性が20%しかあがらないということはないだろうと思います。

Stability DiffusionのCEO Emad Mostaque氏はあと数年でプログラミングの仕事はすべてなくなると言っています。そのスケールで働き方が変わったら大変な話です。日本のITエンジニアは122万人、プログラマは92万人といわれています。ITエンジニアのうちプログラマの割合をどれくらい見るかにもよりますが、ざっくり言って日本の労働人口の1.5%くらいはプログラマです。生成AIが影響する職種はプログラマに限らないのでその影響は大きいと思います。しかし、プログラマが失業して霞が関から国会議事堂へ向かってデモをするなんていう気配は全然ありません。

企業は儲けたいわけで、儲けるためには生成AIでもなんでも使いたいはずですが、それを妨げる要因は次の4つです:

  • 生成AIを実ビジネスに組み込むノウハウがない

  • 自分の仕事をなくすために協力する社員はいない

  • 到達点がわかっていてもマイグレーションは難しい

  • 生成AIをベースに組織を作り替える部署がない

ビジネスプロセス・リエンジニアリングの例

会社でいらないものといったら

  • 会議

  • ブレーンストーミング

会議を2分でやるための吉越式会議というのがありましたが、生成AI流吉越式会議が可能になると思います。提案資料を生成AIにいれて、課題と結論と多様な観点からの評価を出してもらい、決めるか、決められないとしたら何を追加すべきなのかを出力してもらうのです。会議のうち情報共有の部分は会議以外でやってもらい、決定のところは短縮するわけです。
ブレーンストーミングはそもそも多様な視点を組み合わせることが目的です。それによってそもそもメンバや部署によって目的や理想の到達地点や現状の問題点に関する見方や認識が違うのが問題です。ばらばらに提案を描いてもらい、このような視点の違いは生成AIに判定してもらい、違いを見える化してから問題解決すれば高速化することができます。
マーケティングもインバウンド、アウトバウンド、アカウントベース、の3つのマーケティングがあります。それぞれに生成AIで加速することができます。残念ながら生成AIによるマーケティング支援はこの記事に書くには大きすぎるテーマなのでまた別途議論したいと思います。

むすび

生成AIは技術にせよサービスにせよ相変わらず話題です。
その一方、ビジネスにどう使うのかが一層求められています。
何でもそうですが、何が問題なのかを把握するのが問題解決の第一歩です。

参考文献

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