見出し画像

生成AIのカンブリア爆発



はじめに

生成AIのカンブリア爆発という言葉を2024年1月に思いつきました。調べてみたらはるか前から生成AIのカンブリア爆発という言葉は使われていたようです。

カンブリア爆発以前

調べてみるとMidjourneyとStable Diffusionで生成AIのカンブリア爆発という言葉が出ているものもありました。2022年12月でChatGPTはもう出ていたはずですが、GPTという言葉は全く出てきません。
2023年2月まではChatGPTすげー(2022年11月末からですが)という時代でした。ChatGPTとは何なのかが主たる話題でした。そこにはカンブリア爆発という概念はありません。
もっとも生成AI以前にAIのカンブリア爆発という言葉を2010年代に使っていた事例はあります。

カンブリア爆発

第1期:GPT API

最初に生成AIのカンブリア爆発が語られたのは、GPT-4 APIのリリースによるものです。ありとあらゆるサービスがGPT-4 API (あるいはGPT-3.5 API)を組み込むようになりました。
今思えば、トークンサイズも8Kトークン (32Kトークン)でよくあれほど盛り上がれたと思います。

第2期:Copilot

すでに2024年2月にはBIngにGPTが埋め込まれていましたが、その後、Azure, GitHub, Office 365, WIndowsとMicrosoft製品に続々とGPTが組み込まれてきます。Microsoftが製品全体をCopilotブランドで統一するようになってきます。
MicrosoftがCopilotをスマホアプリでも出します。
2023年12月にGoogle がGemini NanoをPixel 8 Proに搭載しました。ここで、スマホからクラウドまで、ITのすべてのエコシステムに生成AIが載るトレンドが明確になりました。
APIがあればもちろん原理的にはなんにでも載るのですが、ここに至って、カンブリア爆発の全容が明らかになってきたと思います。

カンブリア爆発

何をカンブリア爆発というかについての視点を整理しておきます。
ChatGPTが世界的に広がっているのをカンブリア爆発とは言いません。
カンブリア爆発は次のような領域で起こります。

  • モデルのカンブリア爆発 huggingfaceには2024年3月7日現在OSSのモデルが537,773個登録され、増え続けています。OSSだけでなく、現在、最高水準の大規模言語モデルといわれるGPT-4について2023年12月にはGemini Ultraが、2024年3月にClaude 3 OpusがGPT-4をしのぐベンチマーク性能を出したと発表しています。

  • サービスのカンブリア爆発 大規模言語モデルのAPIを使ったサービスの数は増え続けています。正確な数はわかりませんが、第1期のカンブリア爆発はこれに起因しています。

  • 生成AI連携の企業向けアプリのカンブリア爆発 slack、Office 365 (Word, Powerpoint, Excel, ..) など生成AI連携の企業向けアプリは増え続けています。数はカンブリア爆発というほど数十万にはなりませんが、企業の個人利用シーンのすみずみに広がろうとしています。

  • 生成AIアプリのカンブリア爆発 GPT StoreのGPTsの登録数は数百万といわれています。

  • ITスペクトラムのカンブリア爆発 大規模言語モデル、AI対話サービス、企業アプリ、OS、スマホアプリ、スマホ常駐アプリ、などITサービスのすべてのスペクトラムに生成AIが浸透しています。

これらは目に見える驚くべき供給サイドのカンブリア爆発です。これを支えているの需要サイドのカンブリア爆発です。

  • 企業の生成AIユースケース コンサルティングファームのPwCは2024年2月の動画で自社内での生成AIユースケースが3000に上るといっています。これも増え続けると予想されます。

これらのすべてのシーンにおいてカンブリア爆発が収束し、特定の種類の生成AIが支配的になる要素は2024年には見えません。

今後のカンブリア爆発の種


言語特化生成AIとか業界特化生成AI (法律生成AIや経理生成AIや製薬生成AIなど)とかこれから出てくるかもしれません。
2023年時点でOpenAI のSam Altmanは領域特化生成AIについて聞かれて、今はまだその時期ではない、基盤となる共通生成AIを強化する時期だ、と述べています。共通の生成AIの進化が止まるときには領域特化して精度をあげる生成AIも多数出現すると思います。
言語特化についてはエンベディングするとほとんど言語依存の要素は取り除かれてしまうので難しいと思います。しかし、生成AIの世界、どこからどんな進化が出るかは予断を許さないです。

おわりに

需要サイドの生成AIユースケースが増え続ける限り、当分、サービスやアプリのカンブリア爆発も続くのかもしれません。

参考文献

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?