見出し画像

中小企業の味方:生成AIの価格破壊

2024年に起こった生成AIの価格破壊についてお話しします。


生成AIの進展

生成AIの企業利用は驚くほど進展していません。
一方で、技術の進歩はこの2年間とまることはありません。
OpenAI のMira Murati CTOはGPT-4は高校生レベルだと言っています([metinhaneke] )。
論文の翻訳、記事の要約、プログラミングの処理フロー、プログラミングののデバッグ、アイディアの列挙、興味をひくヘッドラインの作成、顧客ペルソナの設定、などの能力を考えると、高校生だとすれば驚くべきスーパー高校生です。
しかも毎日のように進化しています。

生成AIの価格破壊

生成AIの競争は価格破壊を引き起こしています。去年でもOpenAIはGPT-3.5を無料で提供していました。これに対抗して GoogleのGemini 1.5 Proや AnthoropicのClaude 3.5 Sonnetも無料でした。
これはちょっと機能が劣るね、と言われていたのですが、今年はOpenAIがGPT-4oを機能限定はありますが、無料にしました([wiki])。Claude 3.5 SonnetはGPT-4o対抗ですが、これも無料です。
企業利用という点ではGPT-4oは設定でモデルの学習に使われないように設定できるようになりました。データ漏洩を心配して、システム開発会社にシステムを製造委託する必要が小さくなりました。
無料版のGPT-4oでGPTsを使えるようになったのも大きいです。
GPTsの制限は1ファイル 512MBで20ファイルまでです。10GBまでのファイルを扱えるわけでSOHOや中小企業には朗報です。
自分専用にGPTsを作るのには1個は有料アカウントがいりますが、月額20ドル、年間6万円くらいです。システムをつくってAWSでくみ上げれば、維持費だけですぐペイする水準です。
GPT-4が2023年に出たときには企業内情報を読み込んでチャットボットで答えるシステムが100を超えるくらいでました。ChatGPTを社員全員が有料申し込みするより安かったかもしれませんが、今は違います。最大トークンサイズも128Kトークンになったので、ちょっとしたファイルはすべて読み込めます。8Kトークンだった時代とは雲泥の違いです。

中小企業の生成AI利用

10GBまで使えるとなるといろいろなことに使えます:

  • 社内ノウハウの共有

  • 問題点解決

  • ファイルのどこに書いてあるかを教えてくれる

  • 法務、知財、経理、人事、社外取締役、・・など専門家としてアドバイス

中小企業で情報を整理するのは大変です。情報を探すために使われる時間はバカになりません。
特定の専門知識が必要なために人ひとり雇う費用や管理する費用も無視できません。ちょっとしたことなら専門アドバイスをしてくれるのも便利です。

むすび

生成AIの進化ははやいので社内システム開発の判断やマイグレーションをするのは非常に難しいです。
GPT-4oはすでにGPT-5がレッドチーム(品質の最終確認をする部外者を含む専門家)に渡されているので年末までにはリリースされると思います。
GPT-5が有料ユーザ限定になる可能性もありますが、やがては無料開放されると予想します。
マイグレーションを考えても、GPT-4o &GPTsとカスタマイズした社内システムとの棲み分けを考える時期になったと思います。

参考文献

  • [metinhaneke] A Conversation with Mira Murati, CTO of OpenAI (Full Interview) https://www.youtube.com/watch?v=Ru76kAEmVfU metinhaneke 2024年 51m41s

  • [wiki] GPT-4o (wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/GPT-4o



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?