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生成AIによるデジタルトランスフォーメーションのリバイバル

生成AIによるデジタルトランスフォーメーションのお話をします。


デジタルトランスフォーメーションの課題

デジタルトランスフォーメーションは、デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセスである

デジタルトランスフォーメーション (Wikipedia)

DX(Digital Transformation)という言葉が誕生したのは、2004年です。スウェーデンのウメオ大学の教授であるエリック・ストルターマン氏が「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と提唱し、「社会の変化」を表した概念でした。

DXという言葉はいつから?DXの起源は2004年。日本では2018年から

デジタルトランスフォーメーションというのは単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を基盤にビジネスモデルを変革する意味で使われています。20年前から提唱されていますが、あまりデジタルトランスフォーメーションの成功例というのは聞きません。
理由は次の通りです:

  • 既存のビジネスモデルには生態系があり、簡単には変革できない

  • 生きている事業をデジタルトランスフォーメーションしようとすると過渡期にはアナログとデジタルの2つのビジネスを並行することになり、現場の抵抗が大きい

生成AIの役割

生成AIは人間の言語を理解し文章を作成する技術として脚光を浴びました。ChatGPTの少し前にはStability AIのStable Diffusionという画像生成AIが話題になり、初期からマルチモーダル化への萌芽がありました。マルチモーダル化とは文章だけでなく画像や音声を扱うことです。
2023年の秋からはChatGPTもGPT-4Vを搭載し、画像も認識できるようになりました。Google Geminiも画像認識に対応しています。
画像認識ができるということは現実世界の接点を作る上で非常に重要です。
今月はOpenAIのGPT-4oやGoogleのProject Astraで実世界を理解する生成AIの発表も続いています。ますます総デジタル化を後押しするトレンドです。

現実世界をデジタル化する障壁

IT技術は例外なくすべてデジタル化した時、一番強みを発揮します。これの障害になるのが:

  • 過去の紙のデータ

  • 入力をデジタル化できないユーザの存在(高齢者など)

デジタルトランスフォーメーションといっても現実社会を変えるのは至難の技です。逆に初めから全部デジタルなもの、例えばSNSなどはデジタルトランスフォーメーションが話題にならないです。そもそもデジタルだからです。

コストダウンに注目

画像認識AIによる現実世界のデジタル化には2つの課題があります:

  • 画像化する運用コスト

  • 画像認識AIのAPI利用コスト

GPUの能力が拡大するにつれて確実にAPI利用コストは下がっていきます。生成AI間の競争もコスト押し下げ要因です。
運用コストは人手がかかる部分も大きいのですぐには下がりませんが、運用コストがかからない領域から順に適用されていくと思います。

むすび

イノベーションというのは複数の障壁で妨げられているもので。時間がたつとその障壁のいくつかは取り除かれますが、周辺技術の進化によって取り除かれたときに、イノベーションが可能になった瞬間というのは意外に気が付かないものです。
デジタルトランスフォーメーションと生成AIの関係もそれに近いと思います。

参考文献

  • デジタルトランスフォーメーション Wikipedia

  • DXという言葉はいつから?DXの起源は2004年。日本では2018年から https://asx17.com/dx/dxwhen/


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