見出し画像

技術の変化は速いが組織の変化は遅い

はじめに

2023年1月に生成AIウォッチャーになった時にはChatGPTしかありませんでした。それでも随分びっくりしたような気がします。その後、ChatGPT Plusが出、GPT APIが出、GPT-4が出、ChatGPTプラグインが出、GPT-4Vが出、GPT-4 Turbo All Toolsが出、GPTsが出、GPTstoreが出てきました。
2023年1月には予想もしなかったような生成AI社会が現実化してきています。
それに対して生成AIで失業した人がほとんどいない、というのは驚くべきことです。

生成AIの導入の現実

最初は情報漏洩などを気にして多くの企業が生成AIの職場導入をためらっていました。そのうち、全社導入する会社が増えてきました。しかし、全社導入した会社でレイオフをしたという話を聞いたことはありません。
便利になった、効率化した、という話はありますが、生産性向上はどの程度なのでしょうか。
生成AIの導入効果でソフトバンクが全社導入で20%生産性を向上させ、新サービス開発に充てるというような話を聞いたような気がします。残念ながら「生成AI 生産性向上 ソフトバンク」でぐぐっても出てきませんでした。
日本では使っているのが15%、生成AIを使いこなしているのは1%というような話も聞こえてきます。

なぜ生成AIで生産性があがらないのか

生成AIを使ったら生産性が爆上がりしてレイオフをしそうになってもめたというような話は聞いたことがありません。
この理由は以下のようなものです:


  • 生成AIを導入するのに目標がない 目標がないので正しい使い方をしているのそうでないのかを判定できず、対策もない

  • 既存の組織、人員、ワークフロー、目標管理を変えずに使っている 既存の組織管理の末端で使っているので生産性があがらない

要するに:

  • 生成AIを前提とした経営目標管理になっていない

  • 生成AIを前提とした組織管理になっていない

ということです。考えてみれば、これで生産性があがったらその方が不思議かもしれません。

経営者の責任なのか

2023年は生成AIが毎日地上波のTVをにぎわしていました。私はgenerative AIは生成系AIのほうがいいと思いますが、TV局各社が生成AIに統一したので生成AIに合わせています。
当然、経営者で生成AIを知らない、とか、生成AIの基本的知識がないという人はほとんどいなくなったと思います。
社員でも同様です。
では、何故ゼロベースでの組織改革ができないのでしょうか。
その理由は:

  • 到達地点がわかっていても日常業務を回しながらマイグレーションするのは困難を極める

  • 生成AIは知的労働の機械シフトだが、ノウハウを持っている社員を自分が不要になる転換に協力させるのが容易でない

  • 生成AI技術の変化がはげしくて見極めきれない

社員を生成AIで置き換えると人事部は要らなくなるので人事部が協力するはずもないです。
日本の会社はだいたい経営者に合わせてオーダーメイドされています。米国の会社のようにすげかえられるようにモジュラーに作られていないです。
そのため:

  • カスタムメイドなので簡単に置き換えが効かない

  • 経営陣がカスタムメイドな会社に愛着があってゼロベースで書き換えたがらない

となります。

どうすればいいか

横並びカルチャーなので同業他社が生成AIセントリック経営で成功例を出せば、我も我もとなだれをうって転換すると思います。
あとはもともと人手が足りない領域から導入する:

  • 新規事業開発

  • 社員の副業

ですね。

むすび

生成AIはだいたい、他人が失業する分には問題ないが、自分の職業が危機になると青ざめるというのがおきまりのパターンです。
長年、生産性停滞に苦しんできた日本産業界としては積極的に取り組めばいいと思いますが、セーフティネットが不十分なままでは難しいです。
2024年も生成AIは2023年以上に進化することが予想されます。
技術の変革より組織の変革がボトルネックになる状態は続くと予想します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?