見出し画像

生成AIの行く先は独禁法か国有化か

盛り上がる生成AIですが、資本主義社会とうまくやっていくのは難しいというお話をします。


独禁法調査

巨大IT企業と言えば市場の創造と独占が特徴です。独禁法しか止めるものがなくなります。かつてはMicrosoftも司法省と独禁法をめぐって争いました。
NVIDIA, Microsoft, OpenAIにも司法省と米連邦取引委員会の調査が始まったという報道が出ました ([日経])。
NVIDIAはついに時価総額世界最大の企業になりました([NHK)]。AI半導体のシェアは8割以上です。

国有化の噂

OpenAIの取締役に元米国家安全保障局(NSA)長官が加わりました([ITmedia])。昨年加わった元財務相長官のSummers氏([Bloomberg])に続く元高官は2人目です。Summers氏は就任のときに「OpenAIは規制や国家安全保障、技術開発の問題に関して、主要な政府当局者と協力する用意がなければならない」」と語っています。
OpenAIが汎用人工知能を開発すれば米国はOpenAIを国有化するとも噂されます。AIがAI軍を創設して統治することを考えればまんざら絵空事でもありません。OpenAIの技術が中国スパイに使われることを心配する米国人は少なくありません ([Forbes])。OpenAIはすでにポリシーを変更して自社の生成AIが軍事利用することを容認しています([WesRoth])。GoogleとOpenAIが1000万ドルをだしてAI人材をとりあっているというなかで、国防総省が別のルートで同程度のAI人材を確保するのは不可能です。汎用人工知能が視野に入れば経済安全保障の観点から国有化もあり得ます。すでにイスラエルのガザ進行は標的を識別するなどで大規模なAI軍事利用の実験場と化しています。
ソベリンAIということで各国とも自国生成AIを意識しています([Gigazine])。ソブリンAIは、国家が自国のインフラ、データ、流通網、人材を用いてAIを創造する能力のことです。日本はソフトウェアが弱いので劣勢ですが、がんばりたいと思います。

むすび

石油掘削企業とかではなく技術企業が世界時価総額一位になるのは人類の進化として喜ばしいことです。一方、自由な空気の中でのびのびと技術開発してきた企業がその成功のゆえに国有化されるのももし実現すればエンジニアとしては残念な話です。

参考文献

  • [Bloomberg] サマーズ氏、オープンAIの技術「非常に重要」-2日前に取締役就任 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-02/S50JTRT0AFB401 2023年

  • [Forbes] Marc Andreessen says OpenAI is the ‘security equivalent of swiss cheese’ and a tempting target for Chinese espionage https://fortune.com/2024/03/04/openai-elon-musk-marc-andreessen-china-espionage/ 2024年

  • [Gigazine] NVIDIA主導で日本が「ソブリンAI」先進国に、AI立国に必須とNVIDIAが提唱するソブリンAIとは一体何なのか? https://gigazine.net/news/20240515-japan-sovereign-ai/ 2024年

  • [ITmedia] OpenAI、「安全およびセキュリティ委員会」に元NSA長官のポール・ナカソネ氏 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2406/14/news102.html 2024年

  • [NHK] 半導体大手 エヌビディア 時価総額3兆3300億ドル余 世界1位に https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240619/k10014485341000.html 2024年

  • [WesRoth] OpenAI STUNNING plot twist! NSA Director joins board, GPT 4 Military Use and Potential IPO https://www.youtube.com/watch?v=o5iePht6ed0 18m12s 2024年 Wes Roth

  • [日経] 米独禁当局、NVIDIAなどAI企業への調査準備 米報道
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN065BZ0W4A600C2000000/ 2024年

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?