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暦のお話〜芒種 末候 〈梅子黃(うめのみきばむ)〉

2020年6月16日〜20日 
二十四節気七十二候

芒種 末候〈梅子黄(うめのみきばむ)〉。

読んで字のごとく、梅の実が黄ばんで熟す頃を表しています。
なんだか読むだけで香しさを感じてしまいます。

今時期、青い梅が次第に黄色みをおび、赤く熟していきます。


まさにこの時期、旬を迎える梅の魅力を味わいながら、養生法と一緒にみてみましょう。

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梅は、
「三毒を断ち、その日の難を逃れる」
といわれ、
朝夕に梅干しを1個食べれば健康を保てるといわれてきました。

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「三毒」とは、
「水毒」・「食毒」・「血毒」の事を指します。
●水毒は体内の水分の汚れ
●食毒は不規則な食事や食生活により体内のバランスが乱れた状態
●血毒は血液の汚れ

の事です。

梅に含まれる多くの栄養素(カルシウム、リン、鉄分、クエン酸など)が、疲労回復・血流改善など体調を整える効果があるため、「三毒を断つ」といわれているのですね。

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平安中期に編纂された、日本に現存する最古の医学書「医心方(いしんぼう)」。

ここですでに「梅干」の効用が取り上げられていますから、梅と日本の人々のお付き合いはなかなか歴史あるもの。


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梅は中国原産種で、日本にも広く伝わりました。
まだ寒い時期に開花し、春の訪れを可憐な花で知らせてくれる梅は、古来より多くの人々に愛されていますね。

鎌倉時代以降、実の多くは梅干しとして食用にされてきました。
戦国時代は携帯食としても重宝され、薬効にも着眼されました。
庶民の食卓にも登場するようになったのは意外にも江戸時代からと言われています。


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店頭に並んでいる梅の実も、青梅からだんだん黄みや赤みをおびた色の梅になってきましたね。

●青い梅を使って梅酒
●熟した梅を使って梅干づくり

と段階ごとに楽しめる梅は、ファンが多いのもうなずけます。
甘くても塩味でも、美味しくて優秀♪ですね。


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インドの伝承医療アーユルヴェーダでは、1年で最も日照時間が長い夏至(6月21日)の頃、人間の力(体力・消化力・精神力など)が弱まると言われています。

更に日本はこの時期梅雨で、活動も制限され、まさに体力、消化力が弱まり、気持も塞ぎやすくなります。

この時期の消化力に働きかけてくれるのも梅。

その時期の養生に合うものが住まう土地に用意されているというのはホッとしますね。


アーユルヴェーダの叡智を漢方の智慧で取り入れて、日本で快適に暮らせるというのはしみじみ、素晴らしいことだなと感じます。

ここ日本で感じる5千年の歴史は、シルクロードの歴史でもあります。叡智と共に、たくさんの方の努力と人生に支えられているということを感じると、大いに氣が満ちそうです。

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さて、
ではアーユルヴェーダでは6月のこの時期、どんなふうに過ごすことを勧められているでしょうか。

漢方もそうですが、アーユルヴェーダでは更に個別に養生法を考える必要があるとされています。

雨季はヴァータという『風』の質が乱れやすい時。
『ヴァータ』は、
風から連想する‘’動きを生み出す‘’エネルギー、もしくは『質』のことを指します。

特徴は、
動き
・軽い
・冷たい
・乾燥
・変化
・不規則

などです。


気温が高い日もあり、蒸してきますが、冷やさないことがこの時期の養生のコツ。

時間のポイントは14〜18時。
ちょうど仕事のピークや休憩したくなる時間帯。
帰宅前の一息という方もいらっしゃるかも知れません。

蒸し暑かったり、清涼感がほしいからと冷たいものの取り過ぎは、かえって自分を苦しめます。
エアコンの効いた部屋で‘’お疲れビール‘’もほどほどに、
雨に濡れたら油断せず、しっかり乾かして温まりましょう。

スパイスは胃腸に聞きながら、温めるものを穏やかに取り入れていくのが心地良さのポイントです。

生姜やフェンネル、シナモンなら取り入れやすいのではないでしょうか。

生姜は温めるのにも冷やすのにも作用します。適量を温かい状態で取り入れるのが良さそうです。
消化力が弱い方、弱ってる方は摂り方や量にもよく気をつけて。良いものも過ぎれば刺激になるからです。

スパイスがお好きな方は、トリファラもおすすめです。

トリファラについてはこちらから

トリファラはアーユルヴェーダのお薬として知られています。

消化力が弱る時期、
午後の休憩や、夜食の後のくつろぎタイムに、トリファラのお茶も良さそうです。


陰陽☯の関係から観ても、極まれば転じます。『今時期良い』というものも、過ぎれば良くないのです。


すでにこんな状態になっていたら…?

●朝起きられない
●寝ても寝ても寝足りない
●起きた時に疲れが残っている
●空腹感がなくスッキリしない

など、イマイチ元気がない身体を無理やり動かしていませんか?

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こういう時はスタミナ食をバリバリ!という前に、消化力の養生をまず考えたほうが体調を整えやすいですよ。

特に
○ヤセ型
○色白
○肌質が柔らかい

ような方は、消化力がそれほど強健ではないケースが多くみられます。急に焼き肉に誘われてもまずはちょっと待って、消化器官を先にケアしてあげてくださいね。

冷たいもの、白砂糖の甘さ等も様子をみながら、少し控えめにしたほうが整えやすいです。
アイスクリームも量やタイミングを考えて。
控えたほうが良いときは、潔くあきらめましょう(笑)

さらに、今回のように気温が低い雨降りの日が続いた後の高温多湿、夏日は誰にでもこたえるもの。
自覚がなくても要注意です。

梅雨が開ければ酷暑が続くと予測されています。
ですから、今のうちに体調を整えておくと夏バテ予防にもつながりますよ。

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梅干には唾液分泌促進、疲労回復、解熱、抗菌・防腐などの作用も知られています。
梅雨でスッキリしない今の時期も、心強い味方ですね。

★梅干しと梅漬けの違い

●梅干→熟したウメの果実を塩漬け後に日干し(土用干し)にした漬物。

●梅漬け→塩漬けのみで日干しにしないもの

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★梅干しイロハ

●本来の伝統的製法による梅干の塩分は20%前後。
●保存性に優れ、数10年間保存されたものも。

※最近では日干しした物を水につけて塩分を減らしてから、味付けをした「調味梅干」と表記され、賞味期限も半年程度のものが多く見られます。
※食品成分表では「梅干」が塩分22.1%、「調味梅干」は7.6%となっています。

‘’減塩‘’としているものもあるのかも知れませんね。自分が欲しいものかどうか、よく吟味するのが大切なようです。

※梅自体は身体に良くても、農薬や保存料たっぷりでは思ったような体感に繋がりにくいもの。合うものを吟味するのが良いですね。

2020.6/16

『透明な栄養』をテーマに有形無形の造形活動をしています。ホリスティック~全体観~という捉え方を活動の基盤にしています。この捉え方は、いのちの息苦しさが紐解かれたり、改善される可能性をかんじます。noteでは日々の思考研究も兼ねて、この考えをもとに書いたものをシェアしています。