見出し画像

暦のお話〜小満 末候〈麦秋至〉~

2020年5月31日〜6月4日

二十四節気七十ニ候

小満・末候

麦秋至(ばくしゅういたる/むぎのときいたる)
太陽の黄経は60度を越しました。

『あれ?夏なのに秋?』と思いましたか?

でも、間違いではありません。

麦秋(ばくしゅう)とは、麦の穂が実り、収穫期を迎えた初夏の頃の季節のこと。

画像1

麦が熟し、たっぷりと金色の穂をつける頃。百穀が成熟する、麦にとっての「秋」というところから名付けられたようです。

雨が少なく、乾燥した季節ではありますが、すぐ梅雨が始まります。

小満の頃は農家さんはとても忙しいというのが通説だそうです。


この時期に穂を揺らしながら吹き渡る風を麦嵐、また降る雨を麦雨と呼びます。

今日6月1日は雨ですから、麦雨、でした。

☆五月雨との違いは後半で!



養蚕とも関係が深この時期。

先日、皇后陛下が蚕に桑の葉を与える『給蚕(きゅうさん)』作業に臨まれたことが報道され、記憶に新しいですね。

なんと公開されたのは今年が初めてのことだったそうです。


皇后陛下は29日午後、皇居内の紅葉山御養蚕所で、蚕に桑の葉を与える「給桑」作業に臨まれた。皇后陛下の養蚕の様子が公開されたのは初めて。(世界日報)


露地の桑の葉も茂り、実が一杯になっていますね。(写真は最近の桑の樹。葉が茂り、丸々とした実がたくさんなっていました)


<暦の小話>

■『五月雨(さみだれ)』は6月の雨

五月雨は五月と書かれていますから、㋄の長雨と勘違いしてしまいそうですが、現代の5月はとっても気持ちの良いお天気が多い、良い時期です。

雨もあまり長引きません。

『あれ?昔と今って違うの?』ってなりますよね。

その疑問、間違いではありません。

これは旧暦五月を指すので、現在に置き換えるなら6月。

ですからまさに梅雨の時期。


松尾芭蕉の『奥の細道』に集録されている有名な句にこんな句があります。

五月雨を 集めて早し 最上川

最上川は、まるで五月の雨を集めてきたように早い

と訳されるこの句。

ん?水量が多いってこと?

何?早いって??

と思ったあなたは感性が鋭い!

これは、

実際、芭蕉が川下りしたときに詠まれたとのことです。

最上川(もがみがわ)は、山形県を流れる一級河川最上川水系の本川。流路延長229kmは、一つの都府県のみを流域とする河川としては、国内最長。流域面積は7,040km で、山形県の面積の約75%にあたる。日本三大急流の一つである。

ということで、急流で有名だった最上川の川下りは、当時のスリリングな遊びだったようです。

それを知ると、この句を読むときの想いも変わってきますね。

雄大な景色の中のヒヤリ(; ・`д・´)体験は、芭蕉に特別な感慨をもたらしたのでしょうね。


2020.6/1

『透明な栄養』をテーマに有形無形の造形活動をしています。ホリスティック~全体観~という捉え方を活動の基盤にしています。この捉え方は、いのちの息苦しさが紐解かれたり、改善される可能性をかんじます。noteでは日々の思考研究も兼ねて、この考えをもとに書いたものをシェアしています。