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Wellbeing-ism-3 金子みすゞの童謡詩は「万物との公平な調和」のこころ

 私は金子みすゞの詩が好きです。
 天空・大空、おひさま、月、雲、土、命あるチョウやたんぽぽなどの万物に目を向けて、子供心のような日常の言葉でこころに響く七五調で「万物に公平な調和」のこころで謳っています。   
宇宙的なこころを注いですべてに優しい気持ちでうたっています。
 みすゞは大正デモクラシーの時代に花開いていた文芸誌や雑誌を中心に自作の童謡詩を中心に投稿して認められていました。
しかし、わずか20歳から26歳までの短い間の活躍でした。
 生前に詩集の出版を願っても叶いませんでした。
その上に、自分が投稿していた雑誌はなくなり、夫からは淋病をうつされて悩まされていました。 
 願って離婚をしましたが、当時親権が女性にはなく娘までも奪われてしまい26歳で自死しました。                      
みすゞは同世代の宇野千代や林芙美子のように女性が作家と認められない時代であっても自由奔放に自分の道を切り開こうとは思わずに慎み深い女性として家にとどまったのは残念です。                
 しかし、今では「金子みすゞ全集」は発行され、詩は教科書に載り、「わたしと小鳥とすずと」はNHKの「みんなのうた」や「にほんごであそぼ」などでも何度もなどが歌われています。                
 この一月にはNHK Eテレ「100分de名著」では「金子みすゞ詩集」(松本侑子)が取り上げられました。                   

天空・お空、いきものや自然のモノ、コトに優しいこころを注いで子供のようなウエルビーイングイズム・Wellbeing-ismで万物の理、万物との公平な調和が謳われています。
 私の好きな詩を紹介します。  
          

「わたしと小鳥とすずと」                      わたしが両手をひろげても、                     お空はちっとも飛べないが、                     とべる小鳥はわたしのように、                    地面をはやくは走れない。

わたしががからだをゆすっても、                   きれいな音はでないけど、                      あの鳴るすずはわたしのように                    たくさんなうたは知らないよ。

 すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい

                    「星とたんぽぽ」    
青いお空のそこふかく、  
                    海の小石のように、   
                    夜がくるまでしずんでる、 
                    昼のお星はめにみえぬ。 

                     見えぬけれどもあるよ、
                     見えぬものでもあるんだよ

                    ちってすがれたたんぽぽの、
                    かわらのすきに、だアまって
                    春のくるまでかくれてる、 
                    つよいその根はめにみえぬ。

見えぬけれどもあるんだよ、
                     見えぬけれどもあるんだよ

「お魚」                              海の魚はかわいそう。                        お米は人につくられる、                       牛はまき場で飼われてる、                      こいもお池でふをもらう。 

けれでも海のお魚は                         なんにも世話にならないし                      いたずら一つしないのに                       こうしてわたしに食べられる。   

ほんとに魚はかわいそう。

                      「土と草」
                     かあさん知らぬ    
                     草の子を、  
                     なん千万の       
                     草の子を、       
                     土はひとりで      
                     育てます。

                        草があおあ
                       おしげったら、
                       土はかくれて
                       しまうのに。

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