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人物裏話——影郎と左人志篇。

 『おしまいで、はじまり。』は、2009年に書いたものである。バンドの話が多かったので没にした。
 草場影郎という名前はその前から考えており、「草葉の陰」からつけた。だから縁起が悪いと云っているのである。但し、その時点で現在の「影郎」は、わたしの脳内には存在していない。
 このバンドは、アコースティックギターでフォーキーな音楽をやっているという設定である。小坊主でライブをしていた際のバンド名は、一応「イグラド」としてあったが、意味はない。四人編成だが、影郎とベースの子以外は楽器がまともに扱えないという設定である。
 実は影郎の役は当初一要に振っていたので、彼も非常に手癖が悪い設定になってる(手癖が悪いといっても盗みを働く訳ではない)。一要として書いたので、彼のナルコレプシーの症状を、貧血でよく仆れる設定にしたのだ。バンド名も彼の話(『もてあまして、わけがわからなくて』)に出てくるので削除した。
 影郎は来る者を拒まず、去る者は追わず、という主義なので、寄ってくる者は男でも女でも相手をする。こうした人間関係を築いていると、逆に孤独に苛まれる場合が多い。天然呆けなので救われているが。
 左人志とは従兄弟同士で、一軒家にふたりで暮らしている。というのは、影郎の親が海外赴任で居ないからである。左人志は大学受験の際に厄介になり、そのままそこに住んでいる。影郎はこんな性格をしているので中卒。
 影郎は一日に一回しか食事をしないのでかなり痩せているが、料理は作る。水尾並みに保存食やら漬けものやらを作り、冷蔵庫はそれらで溢れかえっているという有り様。いちいち迷惑な野郎である。

基本設定

草場影郎(くさばかげろう)
3月3日生まれ。
AB型。
家族構成→父、母、(十四才から)従兄弟の左人志。
165センチ、45キロ。
 料理をするのが趣味。だが、殆ど喰わない。
 夏になって暑くなると素っ裸で歩き廻るので、よく左人志に怒られている(勿論、家の裡だけだが)。
 免許は持っていない。それどころか自転車にも乗れない。
 実に節操のない人間で、男に恨まれることが多々ある。が、気にしない。か弱そうに見えるので、殴りつけられることもなかった。
 解散ライブの時は二十三才。亮二と同い年である。

遊木谷左人志(ゆきやさとし)
5月9日生まれ。
O型。
家族構成→父、母、祖父、妹、(十八才から)叔父、叔母、従兄弟の影郎。
178センチ、65キロ。
 あまり方言で喋らないが、実は岡山出身。親しい者が相手だと方言で喋る。イントネーションだけは普通に喋っていてもやはり違うが、本人は気づいていない。
 銀行員。影郎につき合ってショットバーの協同経営者になる。
 音楽には特に興味がない。写真を撮るのが好きなので清世と話が合った。人物の写真は滅多に撮らないが、影郎の写真はたまに撮る。それも何故か、気絶して仆れている時のものが多い。恐らく清世と同じで、動いているものを撮影するのが苦手なのだろう。鈍い訳では勿論ない
 大学時代は山岳部に所属し、影郎のバンドに居るベースの北見皆実は後輩に当たる。アウトドア好きなので、庭でよくバーベキューをやりたがる。
 車の免許も中型免許も持っている。車はスバル レオーネ エステートバンの旧車。バイクはKawasaki KH250で車体は黒。バイクに影郎を乗せたがらない。一度乗せたら落ちて大怪我をしたからである。
 解散ライブの時は二十七才だった。

 これは2015年4月15日に公開したもので、この時点では『夏休み』と『おしまいで、はじまり。』しか書いていなかった。
 裏話にも書いてあるが、ホームページ時代に山田一要の話として書いたものを、五年後にふと思いつき、影郎というキャラクターを編み出し無理矢理当て嵌めた。草場影郎という名は実を云えば、わたしが一時期、変名として使用していたものである。
 この4月だけで怒涛のように影郎の話を書いたのだが、書いているうちにどんどん嫌いになっていった。嫌いな割には短期間のうちに考えられない量を書き上げたが、殆どが会話形式の、一時間もあれば推敲まで済ませられるものである。
 数を書けば普通、思い入れが増してくるのだが、彼の場合は嫌悪感が増すあまり、とんでもない結末にしてしまった。
 まあそれは、ここでは未公開なので伏せておく。

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