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エンパイア・レコード

 1995年公開、アラン・モイル監督のアメリカ映画。何故かウィキペディアでは取り上げられていない(2016年8月23日現在)。
 バイト先の老舗のレコード屋が大手チェーン店に買収されると知り、店仕舞いを任されたルーカスは売上金を持ってカジノへ行くが、最初は当てたものの調子に乗って全額擦ってしまう。しかし、仏頂面なので悪びれて見えない。
 翌朝出勤してくる店員たちも個性的な面々で、お調子者のバンドマンを目指すマーク、絵が得意な好青年A.J. 、ヤリマンのジーナ、優等生のコニー、ロックオタクのエディ(この名前はあやふや)、いきなり丸刈りにしてしまう若干メンヘラのデブラ、如何にもバンドマンと謂った感じのバーコ。こんな癖のある若者を纏める店長も大変である。
 この日は往年の人気シンガー、レックスが来店するので、皆浮き足立っている。特に女の子ふたりが。ハーバードに合格したコニーは、彼に処女を捧げると息巻いている。ジーナはそれをちょっと馬鹿にしたように見ているが、やはり楽しみらしい。男性陣はあんな奴、と思いながらも、盛り上がればいいやと謂った感じである。
 万引き少年を捕まえたり、店長にお仕置きされたりとルーカスは忙しいのだが、どうにも温度が低い。
 来店したレックスだが、ロバート・パーマーとフリオ・イグレシアスを足して二で割って安っぽくしたような男。髪型はヘルメットみたいだし。マネージャーの女性は瞳の色が薄すぎて、遠目だと瞳孔しか見えない。と謂うか、白目に見える。どうでもいいことであるが。
 コニーはジョーにごねてレックスの昼食を出す役目を手にし、ふたりきりになるや誘惑するも、子供扱いされあしらわれてしまう。そのあしらい方が酷いのだが。落ち込んでいるコニーにA.J.が恋心を告白するのだが、今はそっとしておいてと、失意の底。
 売り上げの9000ドルがなくなっても、店長はルーカスを警察に突き出さない。何故だろうと思ったら、それは手首を切って坊主にしたデブラの疑似葬儀で明らかになる。
 彼はおねしょが原因で施設に預けられ、店長のジョーに拾われたのだ。その恩義もあって店を助ける為に大金を稼ごうとしたのだが、もうちょっとやりようがあったのではなかろうか。売上を元手にするにしても、ギャンブルは危険すぎる。
 デブラの葬式をやっている最中に、万引き少年が再び来て拳銃を発砲する。デブラが説得し、店長が銃を取り上げ警察に連れて行かれるが、店員になりたかった彼にA.J.が名札を渡す。
 連行される少年を取材に来たテレビにインタビューされる振りをして、マークは無断でチャリティーイベントを開催すると宣伝してしまう。従業員は喜ぶが、大人としての責任がある店長は渋る。何しろ調子に乗った彼らはビールを販売すると云うのだ。
 しかしドラムを叩くような青年の心を持った男なので、ジョーのロック魂に火がついた。
 テレビを見た若者たちが続々と店に詰め掛け、デブラが用意した大きなガラス瓶は札で満たされてゆく。そこへ店の所有者が現れるのだが、ジョーはロック魂に火がついているので反骨精神剝き出し。店員が仕事をしないからオーナーがレジをやる羽目に。でも出来ない。やったことがないから。
 バーコのギターで歌手を目指しているジーナが歌うのだが、演じるレニー・ゼルウィガー、結構いける。
 まあ、斯うした話なので楽天的に終わる。ラストクレジットでマークとエディが舗道に座ってロック・ミュージックについて話しており、エディはベースにやたら拘っていることが判るのだが、それは兎も角、話に夢中になって目の前を通り過ぎた車がすぐ傍で事故っても気づかないと謂う、馬鹿な奴らなのである。
 しかし、レニー・ゼルウィガーの裸エプロンを見ても、ちっともありがたく思えなかった。


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