見出し画像

アタゴオル通信、5。

 割と滞っている「どうぶつの森」である。
 五人も操作しているのだから無理もない。いっそのこと、「とび森」ひとり、「あつ森」ひとりに縮小しようかと思うのだが、やり込んでいるだけに忍びない。消してしまうのは、まるで子供を何処かへ捨ててしまうような気がするのだ。
 発展途上のあつ森の方を進めて行きたいと思うのだが、とび森の四人も蔑ろに出来ない。なので、ひとりひとりを少しづつでも進めていく。
 基本的に二頭身のキャラクターが好きではないのだ。しかし手に掛けた以上、無碍には出来ない。手放せるものなら手放したい。もう、一杯いっぱいなのだ。
 ゲーム如きに何を云っているのだと思われるだろう。わたしもそう思う。このような多頭飼いを始めたのは、最初に設定した「えびる」を充実させる為であった。同じソフト内では出来ることが限られており、格安のソフトとジャンクすれすれのハードを購入し、ふたりを移転させた。
 つまり、「えびる」以外のキャラクターは、子飼いの使いっ走りなのだ。奴隷とも云える。
 しかし、それぞれ村長になり、やるだけのことは熟し、住民からの信頼も集めている。そんな立場になったことのないわたしからすれば、驚きの結果だ。イーハトーヴ村のエズミは、男性住民より熱烈なアプローチを受けるまでになった。オロロン村のヒロぽんなど、名前を頂いた本人とは比ぶべくもないほど女の子に慕われている。
 これを消してしまうのは生命を絶つような気がして、どうしても出来ないのだ。誰かが継続してやってくれるというなら、喜んで譲るだろう。

 ともあれ、ゲームの進捗状況である。
 以前、虫で捕まえるのが困難なのは蠅だと書いたけれど、それも出現しないので難しいのだが、もっと大変なのはタランチュラとサソリであることが判った。六月なのでとび森ではサソリの出現はまだなのだが、タランチュラは出てくる。
 しかし、姿をなんとなく見掛けることが三つの村を合わせて三回ほど。一度はヒロぽんが刺されて気絶した。あつ森の方ではサソリを二度見掛けたが、一度はいきなり刺され、次は狙ってみたが、やはり刺された。
 この二匹、無理そうな気がする。
 最近、体調が思わしくないので、途切れ途切れではあるが、気がつくと寝てしまっている。なので、ゲームにうつつを抜かす時間が減少しているのだ。それぞれ一時間を費やすのがやっとである。
 自分の楽しみの為にやっているのに、操作する子たちに申し訳ないと思うわたしは阿呆なのだろう。
 本日はあつ森で、行けると思っていなかった竹の島へ行くことが出来た。此処は本当に、竹しかない。筍を五本、竹の資材を六十個くらい仕入れた。
 そんなことより、新しい住民を獲得してくれと云われ、狼のシベリアを召喚し、一度で済むかと思えば諸葛孔明並みに三顧の礼を要求され、しかも来るたびに何かしら手作りの品を要求される。
 三国志と楢山節考のコラボレーションである。しかも、引っ越してきてもらうのに、此方が一万円支払わなければならないのだ。たぬきの野望の為にあれこれやり、土地の手配に自腹を切らされるとは。
 たぬきからすれば此方は顧客である。客を顎で使い、金まで出させるとは言語道断ではないか。企業として成り立っている方がおかしい。ツアーと称して孤島に監禁し、労働を強要し、収入を搾取する。どんな蟹工船だ。こんなゲームを子供やらせていいのか?
 まあ、子供向けの部分はあるにはある。一番ウケたのは、クローゼットで着替える時だ。はじめてやった時には爆笑した。
 まるで色気づいた小学生が、モデルの真似をしてポーズを取っているようなのだ。可笑しいというよりは、滑稽である。イオンの専門店で働いていた時、通路を眺めていると大人顔負けの恰好している少女をよく見掛けた。
 肩を剥き出しにしたトップスに、如何わしいとすら思えるミニスカート、化粧をし、フープのピアス、ピンヒール。まるで娼婦の身装である。親の顔が見たい、と思えば、隣に居る。そんな身装を娘にさせて、タイのパッポン通りで稼がせたいのだろうか。
 そんな服を着て、恥ずかしげにするどころか得意げに踊っている娘(本当に手をひらひらさせて踊っているのだ)も理解に苦しむ。
 大人の恰好は大人になってからすればいいのだ。子供の服装は子供の頃にしか出来ない。大人になってからスモックや提灯袖のブラウスを着たいと思っても、それは難しい。着てはいけない法律などないけれど、着れば奇異な印象は免れない。下手をすれば都市伝説になってしまう。横浜のメリーさんのように。

 話が随分逸れてしまったが、どうぶつの森は世知辛いゲームである。が、社会を学ばせる為にも、子供にやらせるべきかも知れない。しかし、顧客を搾取する企業は長続きしない。いづれ訴えられる。運が悪ければ、豊田商事の社長のように、取材カメラの前で惨殺されかねない。
 なので、良い子のみんなは悪徳商法に手を染めないように。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?