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にわかゲーマー。

 わたしは子供の頃、アナログなゲーム以外はやったことがなかった。
 インベーダーゲームなどは喫茶店にあり(テーブルとして扱われていた)、それは当時のわたし、つまり幼児と云ってもいいほどの子供からすれば、大人の遊具であったのである。どんなものであるか、どのようにして遊ぶのかすら、知らなかった。
 小学校高学年頃になるとテレビゲームが(裕福な家庭に)普及され、子供たちはそれに熱狂した。今からすると、実にチャチなものである。なにしろ、線でしかないのだ。
 どう説明したらいいのだろう。
 わたしが友達の家でやらせて貰ったのは、テニスのゲームだった。画面上には真ん中にネットを示す線があり、プレイヤーに相当するものはラケットを表す小さな線を上下に動かすと謂う、まことに単純極まりないものであった。
 この後に、任天堂が提供した『スーパーマリオブラザース』が、空前絶後のヒットを飛ばす。
 が、わたしはこのゲームを一度もやったことがない。なので、何をどうするものなのか、まったく知らない。
 わたしがテレビゲーム(と、昔は称していた)に親しんだのはふたつ年下の、元連れ合いとつき合ってからである。はじめてやったのはスターフォックスとか謂う、シューティングゲームであった(多分。ジャンルについては詳しくない)。大抵は、相手がやるのをテレビを見るように眺めていた。
 面白かったのは、『スーパーメトロイド』と謂うゲームで、攻略方法も何も知らぬまま、ふたりで試行錯誤して取り組んだ。どう動かせばいいのか判らなくて、主人公にまるで洗濯でもしているような動きをさせたりていた。
 デジタルのゲームも面白いものだな、と思い、七、八年前に3DS LLと謂うものを、名駅のビックカメラで購入した、白いやつである。ソフトは連れ合いが幾つか買い与えてくれた。それが悉く、面白かった。なんであったかと謂うと、
『役満DS』
『モンスターハンター4』
『こびとの不思議 実験セット』
 である。
 『役満DS』はスーパーマリオのキャラクターを相手に対戦する麻雀ゲームで、これはかなりやり込んだ。時間が空いてもまた閑潰しに、思い出してはやりたくなる、秀逸なゲームである。
 『モンスターハンター』は誰でも知っているらしい、有名なゲームだったようだ。しかし、初心者には操作が難しく、動物を殺戮すると謂うのも不快感があり、やる気がなくなってしまった。
 キモかわいい『こびとづかん』のゲームを、一番多くやったであろう。これは罪もなく、のんびり楽しく出来る。ゲームを終了しても遊べるのがいい。
 これだけやってみて、わたしは攻撃的な要素があるゲームが苦手で、特に説明書がなくても出来るものでなければこなせない、と謂うことが判った。
 現在、熟年ニートとでも謂う状況になった今、月に数十冊の本を読んでいたのだけれども、うちにあるのは既読のものばかり。脳味噌の記憶中枢がイカれているので、それでも面白く読めたのだが、底が尽きた。
 で、3DS様のお世話になっている次第なのである。
 携帯電話でゲームが出来るらしいのだが、わたしが所有しているのはガラケーだ。LINEすら出来ぬ。しかも、そうしたゲームは課金とやらで破産するひとまで居るらしいではないか。
 あな恐ろしや。所得がないのにそんなものには手が出せませぬ。
 ほのぼの系がいいのではないか、と謂うことで『牧場物語』を手に入れ、やってみた。
 何処がほのぼのやねん!
 しゃかりきに働いて、時間に追われ、ノルマをこなそうと頑張れば仆れてしまう。現代に於ける労働者の縮図ではないか。否、それよりも『蟹工船』の過酷さに近い。ほのぼのなんぞ出来るかっちゅうの。
 けれども、同時に安価で購入したソフトの『とびだせどうぶつの森』が、実によかった。
 いやもう、はまりました。素晴らしい!
 ほのぼのしています。
 時間に追われません。
 ノルマもありません(あるにはあるのだが、無視しても支障ない)。
 攻略本がなくとも進められるゲームなのだが、これも『牧場物語』と同じように、生活する為の金稼ぎに勤しまねばならない。しかもこのゲームの場合、自宅のローン支払いの為、と謂う、更に世知辛い状況に陥る。
 とは謂え、あくせく動き廻る必要はなく、ご近所への挨拶もそれほど負担にはならない。なにしろ『牧場物語』に於ける地域住民への胡麻すりは、マジで鬱陶しかった。生活の妨げですらある。
 ゲームにのめり込むような輩は、人間関係など排除したいと思っている者が大多数なのだから、近所の住人と緊密に(しかも毎日話し掛け、贈りものまでする)しなければならない状況など、負担でしかない。遊びの中にまで、誰が負担を求めようか。
 我ながら面白いのが、麻雀ゲームを除くすべてのソフトで、執拗に釣りをすることである。おかげで釣りマスターやら釣り名人の称号を戴いた。釣った魚を売るので、『どうぶつの森』でアジやスズキが釣れるとがっかりする。現実の釣りならば嬉しいのだけれど。

 と謂う訳で、社会的落伍者であるわたしが安逸として遊べる世界は『どうぶつの森』なのであった。けものの癖してひとに説教したり、集ってきたりするけどな。しかもこの世界は全員無職。木の実を拾い、虫や海の幸を採り、魚を釣って暮らしている。凄いのは、木を揺さぶると金が落ちてくることがあるのだ。
 ああ、わたしはアタゴオル村(わたしが村長を務める村)の住民人なりたい。

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