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オフィーリアに寄せて

気狂いの乙女、
しびとの為に恋の歓びをうたう。
ヘイ、ノン、ノニ、ノニ、ヘイ、ノニ。
柳の樹に登り、歌をうたう。
キンポウゲ、イラクサ、ヒナギク、シランの
花冠をのせて。
川に浮かび、
川に沈んだ。
うたいながら沈んでいった。
墓堀人夫はうたう。
愛も情けもない歌を。

ヘイ、ノン、ノニ、ノニ、ヘイ、ノニ。
愛しいひとも判らずに、
しびとの為に恋の歌をうたう。

気狂いをまとうた男。
まといつかれた
清らな乙女。

皆が狂い惑う中で、
罪なきひとも
罪あるひとも
死んでゆく。


はたきとほうきとちりとりを。
凡て掃き清め、元に戻せ。

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