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アタゴオル通信、3。

 ぼちぼち進めている、『とびだせどうぶつの森』である。
 というのも、わたしは計四人のプレイヤーを操作しているのである。こうした多頭飼い(意味が違うか)をする利点は、それぞれが必要なものを相互間でやり取り出来る点である。そして、もっとも有効なのはカブの売買である。一番安い村で買い、一番高値のついた店で売る。これで結構、儲かるのだ。
 それぞれの家具テーマを「オリエンタル」「ナチュラル」「ボビー」「サイエンス」と振り分け、手に入れた品物を交換するのである。この相互扶助のおかげで、かなりインテリアが充実した。
 因みにそれぞれの村名は、「アタゴオル」(ますむらひろし氏の漫画から)「イーハトーヴ」(宮沢賢治より)「オロロン」(特に引用はない)である。四人なのに三つの村なのは、ひとりがアタゴオルに寄生しているからだ。
 兎に角わたしは、住民との交流が煩わしい。こうしたことが楽しくてやっているひとは、恐らく現実世界でも他人と巧くやっていけている筈だ。わたしは出来ない。出来ないのが発達障害たる所以である。
 アタゴオル村からひとりが引っ越していったので、訳の判らない奴が移住してくる前に、amiiboカードで勧誘した。これまで排斥していた普通女を選択したのだが、一言話しただけで、拒絶反応を起こしてしまった。
 うざい。ただひたすら、うざい。
 ゲーム内の住人は名前通り動物なのだが、行動が人間臭く、一般常識のある人間より傍若無人で、神経に障る。特にこの「普通女」は、どいつもこいつも許し難いほど鬱陶しい。今回の輩は種別としては羊なのだが、話をする度イライラして、ジンギスカンにしてやろうかと思う。
 アタゴオル村には普通女のと同じくらい嫌悪している「ハキハキ男」がふたりも居るのだが、現実の世界でも体育会系の脳味噌まで筋肉で出来ている奴など、視界に入れたくもないというのに、ゲーム故の誇張された個性で、挨拶をするだけで大声を張り上げる。
 持っている斧で唐竹割りにしてやりたいと思うほどだ。出来ないからしないだけで、やれるものならやっている。出来ないことが非常に歯痒い。断っておくが、わたしは動物が好きだ。人間よりも好ましく思う。現実の動物が我が儘放題しても、笑って許している。
 このゲームの中の「どうぶつ」は、獣の姿をした人間なのだ。動物はこんなに厭らしくない。少なくとも、詐欺行為は働かない。金銭的なことだけではなく、私信を他人に見せびらかす行為など、品性下劣極まる。
 見た目で許せるのはオオカミだけで、いっそのこと村民全員を狼のみにしてやろうかと思ったが、そうすると「オトナ女」「コワイ男」「キザ男」の三種類の性格しかなく、これでは殺伐としてしまう。
 兎に角、ゲームそのものは面白いのに、住民との交流でストレスが溜まるのだ。武器を手にしているのに、それが有効に活用出来ないのがもどかしい。なので、ひとりでゲームをしながら、
「チキショー、馬鹿野郎。死んでしまえ」
「てめえなんぞ八つ裂きにしてくれるわ」
「おまえなんか焼き鳥にして、喰わずに生ゴミで棄ててやるからな」
 と、罵詈雑言を浴びせかけている。他人が居るところではとても出来ない。血圧も上がっているような気がする(わたしは低血圧なのだが)。
 金のジョウロを手に入れたので、「きれいな村」から「リッチな村」へ条例を変更したのだが、変更した途端にゴキブリが出た。勘定していなかったが、十匹くらい踏み潰さねばならなかった。しかも、アタゴオル村のみである。
 同じようにサイコーの状態が十五日間続いても、どうやらその度合いに差があるらしい。
 一番きれいだと思われるのはイーハトーヴ村で、スズランは咲き乱れるし、珍しいキノコや有名なキノコもぼこぼこ生える。オロロン村もそれよりは少ないが、そうしたものを見つけられる状況にある。
 しかし、最初に作り上げたアタゴオル村には何故か、珍しいキノコどころか普通のキノコすら生えず、スズランも今のところ、ふた株しか発見出来ていない。
 この違いは何か。
 判らない。
 取り敢えず、金のジョウロを手にした以上、どのようにしてもいい訳である。なんなら、ラフレシアが生えてくるようにしてもいいのだ。どこまで汚くすれば発生するのか判らないけれども。

 六月に入って、ますます川釣りが面白くなってきた。大きな魚影を狙えば、ドラドやアロワナ、エンドリケリーなど、高額な魚が釣れる。ウナギなど、夜に釣れば入れ喰い状態だ。
 海にゆけば、ついにサメが釣れるようになった。もう、南の島へ行く必要はない。ふるさとチケットで高級クワガタ、カブトムシをお題に出された際は行かねばならないが、面倒くさいので行く気がしない。
 既に一千万の貯金をして、何を貰えるかと思えばポスターだった。なめとんのか。一千万の預金をした顧客に一枚の紙っぺらを寄越すとは、巫山戯るにもほどがある。これはまさに、企業の怠慢であろう。次の特典はATMだが、これが貰えるのは一億円(ベル)を貯めねばならない。
 どんだけやねん。

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