犬連れヤバ友達と旅行に行った話②

写真は用意は出来ただろうか。

始めるとしよう。

2日目

朝ごはんはビュッフェなため、ムスメも一緒に食べていた。
当然ヤバ友の方が先に食べ終わるので、部屋に戻って良いと伝えた。

5分ほどして私たちも食べ終わり、部屋に向かっていたところ電話が掛かってくる。
何事かと思い急いででると、どうやら犬がストレスでお腹を下し、さらにゲージの中も犬もうんこまみれになっていると言うのだ。
私はすぐさまUターンを決めた。部屋を出る時に犬をゲージに入れたヤバ友に対し、初めてナイスプレーと思ったが、よく考えてみるとビビりで神経質な保護犬を飼い主のエゴで旅行に連れてきているため全くナイスではない。

予定が押したが、10時半頃には出発することができた。

午前中は那須ハイランドパークという、犬も入れる遊園地に行くことになった。これもヤバ友の提案である。

私は何度も夏に犬を連れて遊園地はどうなんだい?と疑問を呈してきたが全く聞く耳を持っていなかったし、なんならその遊園地にはヤバ友と同じ思考をした飼い主がチラホラいた。お化け屋敷よりも怖かった。

犬が入園するには同意書を書かないといけないのだが、その当たり前の行為に関しても不機嫌をあらわにした。
自分の犬が安全だと思っているのは飼い主だけであることにヤバ友はまだ気づいていないようだった。

また、情報収集能力が皆無なため犬専用のパスポートを入口で購入しておらずメリーゴーランドを乗車拒否されていた。
その光景は以前ディズニーランドで見た【スティッチによる三輪車のスピード違反】くらいにはおもしろい。

ヤバ友は入口の方に戻り犬専用パスポートを購入したが、炎天下の中犬をカートに乗せての移動は大変困難を極めたようで、心配していた犬より人間の方が疲れていた。

私はムスメになにかあると怖いため、暑さ対策を徹底的に行った。親子共にアイスリングと帽子を装備。叩くと冷えるひえっぺというものを数個リュックに忍ばせ、時にはベビーカーの背中部分に入れた。
ひえっぺ。とてもおすすめなので要チェックである。アイスノンからも似たようなものを発売している。
車の中にも予備を入れておいた。

しかし何もかも甘いヤバ友は帽子もかぶらず直射日光を浴び続けていた。

メリーゴーランドとコーヒーカップに乗ったあと、ヤバ友が休憩したいと言うので私はムスメと2人で動物とふれあえるコーナーに向かった。

そのあと観覧車に別々で乗ったが、降りたあとのヤバ友の顔はディメンターに吸われたのかと思うくらい疲れていた。

私は何度も言ったのだ。
「体調どんな感じ?」「ホテル戻る?」
「なんか買ってこようか?」

「大丈夫?」と聞くと「大丈夫」としか答えられないのは人間の性だ。
私はヤバ友に選択肢を与えるような質問をしたが、結局「大丈夫」としか返ってこなかった。

私はまだ知らなかった。
那須どうぶつ王国のゲートをくぐった先が地獄の始まりだということに。

午後は那須どうぶつ王国に向かった。ここも事前に決めていた場所である。

JAF割引が適用されてルンルンでチケットを購入した。

朝ごはんをきちんと食べたのはムスメを産んだ時ぶりだったので全くお腹がすいておらず、ヤバ友も同じだったため着いてすぐムスメにだけBFを食べさせた。

1つ目のゲートを入ってすぐのところで見たこともない大きい犬がお出迎えしてくれた。
犬種に関しては珍しすぎて1文字も覚えていない。名前もマロンだかバロンだか忘れたが、牧羊犬だった。

ヤバ友は犬を見ると、犬を見つけた時の犬くらい興奮するため喜ぶだろうなと思った。

またしても犬同伴の同意書に手間取っていたヤバ友がやっと1つ目のゲートをくぐったので、「見てー!牧羊犬なんだって!」と声をかけた。

しかし、返ってきた言葉は思いもしないものだった。

「うち、犬いるから、近寄れないし。無理」

これは、この場にいた全員をしらけさせるには十分であった。

私の心の中のドラケンが拳を振るいそうになったが、目の前にはへっへっと舌を出して笑顔の牧羊犬くんがいたので我慢できた。本当にありがとう。

私たちはアルマゲドンのような神妙な顔つきで並び入園した。

那須どうぶつ王国の説明になってしまうが、手前のTHE 動物園エリアには犬は入ることが出来ない。
バスに乗って奥へ行くと牧場のようなエリアがあり、そこのみが犬同伴可能となる。

ヤバ友はまたしてもベンチで休んでいると言うので、THE 動物園エリアを見ることにした。
虎やオオカミ、ヤマネコやペンギンなどを近くで見ることが出来、とっても可愛かった。
ムスメも手を振ってみたり指をさしたりと、楽しんでいたように思う。

15分ほどした時に「まだかかる?」とヤバ友からLINEが来た。
私はこの意味を考えていたが、目の前のワオキツネザルがこちらを見ていたので写真を撮って画面を閉じた。

THE 動物園エリアを25分ほどで見終わり、さて牧場エリア行くかと思いヤバ友がいるベンチに行き声をかけるとまたしても思いもよらない言葉を発する。

「うちの犬、ビビりだからバス乗せられない」

私の中のドラケンが顔をのぞかせた。今回は危なかった。

ヤバ友はなんのためにここに来たのだろうか。

考えるだけ無駄だが、下調べもここまでしていないと恐ろしい限りである。

犬を連れていたにも関わらず犬不可のエリアだけで終わる人がこれまでにいただろうか。
きっといないだろう。いたら教えてほしい。

ちなみに、入園してからヤバ友は1度も笑っていない。ずっと足元かスマホを見ていた。
犬のことも全く見てはいなかったと思う。

結局牧場エリアには行けず、お土産を見て帰ることになった。
しかし、数分後には「もう無理だから」と言う言葉と共にヤバ友は果てた。

おめェのその態度の方が無理なんだが…と思ったが、喧嘩になるのは嫌なので車のキーを渡して先に戻ってるよう言った。
今回は呆れてドラケンも出てこなかった。

レジを終え急ぎ足で車に戻ると、今になってずっと体調が悪かったと言い出した。
もっと早く言うべきである。
なんなら那須どうぶつ王国に向かう前に報告するべきだ。
体調が万全でないことに気づいていた私は何度もその旨を尋ねているにも関わらず、黙っていたのはなぜなのか。

体調不良は仕方がない。途中でホテルに帰るより、終始不機嫌でいられる方がこちらとしても気分が悪いことになぜ気づかない。

私はひえっぺをヤバ友に投げつけ、ドラッグストアへと向かった。

冷えピタと錠剤を購入したヤバ友をホテルに送り、「もう1箇所いきたいとこあるから〜」と私は再び車を発進させた。

全く心配をしていない訳では無いが、これ以上ディメンター後のヤバ友と一緒にいるのは気持ち的に不可能だと考えた。
どうか冷たい人間だと思わないでほしい。

運転中は雨が降ったりやんだりだったが、行きたかった牧場に着いた頃には晴れていた。
2日目をやっと楽しい思いで過ごせた気がする。

18時頃、ホテルに戻るとヤバ友は寝ていた。
そしてなぜかヤバ友の犬にめちゃくちゃ吠えられた。
ムスメの夕飯を終えたところでヤバ友が目を覚ます。

「体調悪くなっちゃってごめんね〜!😆」

言っておくが、ヤバ友は決して二重人格というわけではない。
それを知っている私でも全身に鳥肌が立った。
謝れば何をしてもいいのだろうか。そんなことを考えた。

私はドラケンの出現を阻止しながら「元気になってよかったね」と言った。
けれども「私2日目いつもこうなんだよね😂」という言葉には何も返すことができなかった。


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