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深刻な人材不足に悩むcakes編集部が再びセンシティブな社会問題を扱える日は来るのか

今年入って初の炎上事案、cakes編集部はやっとこさ声明を出したわけですが、先行きとしては暗いかもしれない。

人生相談コラム2度目の炎上

☑︎ 相談者友人は彼氏から性的暴行を受け、母親から児童虐待されている
☑︎ 幡野氏は相談者児童に対して、現状維持をするように回答
☑︎ 記事内では性的暴行・児童虐待について相談窓口の案内などもなかった
☑︎ 児童虐待を知った場合、速やかに通告する義務があり、読者に対しても通告義務や通告先を載せていないのは編集部の手落ち

詳しい内容はこちらに書いたので、概要だけサラリと紹介します。

14歳児童の相談者に対して現状維持の回答をするのは良し悪しあるでしょうが、人生相談コラムというのはメディアであり、読者に対して「いったいどのような行為が性的暴行なのか」「どのような点が児童虐待なのか」「このような児童を見かけた場合、どういった対応が望ましいのか」等のフォローを入れなかった点がかなり問題視されたようです。

大人ですら「児童虐待には通告義務がある」という事を知らない人も多いですし、ましてや環境が良くなく義務教育の内容も行き届いているか怪しい児童に対して、知識を提供せず選択肢を狭めるようでは、大人やメディアとしての義務が果たされていないと見る向きがあるのは当然ではないでしょうか。

正直、有料ゾーンに入れるわけでもなく、このような状態で全編公開されているのは、そりゃあ炎上するでしょう。

せめてもの救いは、相談者が幡野氏の回答に対して傷付かなかった事ぐらいしかありません。

編集部のお詫びは出たが、それまでの経過がひどい

☑︎ 記事が公開された4/26に炎上し、当日に幡野氏に無断で記事を削除
☑︎ Googleの魚拓(キャッシュ)も削除する念の入れようだが、公式からアナウンスは無し
☑︎ 公式がダンマリのため、4/28に幡野氏からお詫びの準備がある事を示唆
☑︎ cakes編集部からTwitterでお知らせが出たのは4/29
☑︎ その後、編集部からお詫びが出たのは5/7

cakes編集部、昨年散々炎上して炎上慣れしたのか、炎上して2時間ほどで記事を削除し、Googleの魚拓も削除する手際の良さを発揮。
特にご丁寧にGoogleの魚拓まで消すのは炎上のプロと言っても良いでしょう。

しかも、コラムの主役である幡野氏にも連絡なしで、速攻で削除されていましたし、一体誰がどういう判断を下したら、こういった無駄な手際の良さを発揮できるのでしょうか…。

幡野氏も連絡が行っていなかったせいか、めちゃくちゃ淡白な反応。

4/27にはハフポストのcakes取材記事が出ました。

記事は数時間で閲覧できない状態になり、cakesを運営するnote株式会社は4月27日、ハフポスト日本版の取材に「編集部の判断で削除しました」と回答した。
cakesを運営するnote株式会社はハフポスト日本版の取材に対し「当該記事は、編集部の判断で削除しました」と回答。削除に至った経緯や、公開前に編集部では性暴力や虐待に関わる相談であることについて把握していたか、記事中の回答について議論はあったのかなどの質問については「個別記事の詳細については、回答を差し控えます」と答えなかった。

しかし、cakes編集部およびnote社の回答は「個別記事の詳細については、回答を差し控えます」という、あまりにも読者を無視した内容。
せめてこの時点で「一旦削除して、社内で対応を検討している」程度でもいいから回答をしていれば、これほど印象が悪化する事はなかったのでは…。

あれだけ炎上して公式のアナウンスもなく記事が削除され、あんな記事が出て仕舞えば、幡野氏に対して余計に批判や問い合わせが増えるに決まっています。
問い合わせに耐えかねたのか、4/28にcakes公式より先に幡野氏がお詫びの用意がある事を示唆します。

正直、幡野氏はただのライターでそれ以上でもそれ以下でもありませんし、最終的にはgoを出した編集部の責任になるはずです。
それを公式からは何のアクションも示さず、幡野氏に言い訳させる時点で、編集部の人材不足は心底極まっていると見ていいのではないでしょうかね…。

そして4/29に公式からアナウンス。

いや、こんな程度の内容が薄いアナウンスなら、速攻で炎上した当日に流したらどうですかね?
記事消してGoogleの魚拓も消して、何もなかったかのように火が落ち着くまでダンマリ決め込もうとしたんじゃないかって勘繰られてもおかしくないです。

記事を削除してもなかったことにはならないし、削除するって事は何かしら問題があったと認めるわけですから、少なくとも当日に方向性さえアナウンスしていれば、もっと好感度は落ちずに済んだんじゃないかと思いますけどね。

GWが明けて5/7にようやくcakes公式からお詫びが出ます。

一般的なカレンダーで言えば、この間6営業日あったと思うのですが、その割には報告内容がスカスカで身のない謝罪文だなあと感じてしまいます。
どこら辺が薄いのかは次の章で詳しく解説していきたいと思います。

cakes編集部のお詫び内容と足りなかった物

☑︎「読者へのフォロー」が足りなかった点については触れている
☑︎ 幡野氏のコラムは5末で打ち切り
☑︎ 昨年挙げた改善施策を何故守れなかったかが書かれていない

5/7に掲載されたお知らせから、編集部の部分を引用します。

4月26日、幡野広志さんの記事「友達に恵まれることは、とても幸せなこと」を掲載後に、さまざまなご意見をいただきました。当該記事は、19歳の男性と交際する同級生の友人を心配する14歳女性からの相談に答えるもので、性暴力や児童虐待をされている可能性のある未成年の友人に適切な相談窓口を紹介していない、14歳の女子中学生への対応として無責任といったご指摘を受けました。

みなさまからのご指摘をふまえて記事を取り下げ、方針についてこれまで協議を続けておりました。著者の幡野さんには、記事の取り下げをおこなった直後に、経緯を説明した上で謝罪し、ご理解をいただいております。

本来であれば、相談者の友人の置かれている深刻な状況をふまえて、適切な窓口の紹介をはじめとした選択肢を提示するといったことを編集部が検討すべきだったと考えております。また、cakesというメディアに掲載する以上は、相談者と同じような立場に置かれている方を含め、さまざまな人にとって意義のあるものにすべきでした。

今回は、編集部の力量不足により、幡野広志さんと相談者の方、そして読者の方々にご迷惑をおかけしたこと、改めてお詫び申し上げます。

本件の相談者のご友人については、その後、幡野さんに相談者から直接連絡があり、信頼できる周囲の大人の力を借りることができる状況になったということです。

連載の今後について


幡野さんと協議の結果、「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。」は5月末で終了させていただきます。このような結果となってしまったことを、これまで楽しみに読んでくださった読者のみなさんと、著者の幡野広志さんにお詫び申し上げます。

たくさんのご意見をありがとうございました。
cakes編集長 榎本紗智

な〜んか噛み合わない謝罪文だと思いませんか?

そもそも4/28時点でのお知らせでは、「専門家と対話」という内容が含まれていたのに、専門家に聞いてどうだったのかなどの内容がスッパリ抜けています。

一応、今回の問題点として、編集部が窓口の紹介や選択肢を提示しなかったことについては触れています。

本来であれば、相談者の友人の置かれている深刻な状況をふまえて、適切な窓口の紹介をはじめとした選択肢を提示するといったことを編集部が検討すべきだったと考えております。また、cakesというメディアに掲載する以上は、相談者と同じような立場に置かれている方を含め、さまざまな人にとって意義のあるものにすべきでした。

しかし、そもそも「去年出された改善施策」を順当に実施していれば、この点については何の問題もなくクリアできたと思うのですが、一体何で社内のチェック体制をすり抜けてこのような記事が出てきたのか、その経緯についてはサッパリ触れられていません。

正直言って、別途報告をするにしても、調査の有無や報告の目処が提示されなければ、おかしいのではないでしょうか。

果たして実施されない施策に意味はあったのか

昨年散々炎上したcakesですが、炎上し過ぎて流石にまずと思ったのか、昨年末12/15に体制強化をするとアナウンスしていました。

現在、このような編集部の状況に対しては、以下の体制強化のための施策をすすめているところです。

・編集長の交代と編集チーム増員
・複数人で記事チェックをする体制構築
・社内に倫理委員会準備室を設置し、社内の教育体制を検討
・社会問題や編集分野の社外専門家へのヒアリング

あらためまして、クリエイターのみなさまと読者のみなさまに、心よりお詫び申しあげます。

あれから4半期が経ったわけですが、これらの改善施策がどの程度進んだのか、読者側から見えるものはありません。
少なくとも、社会問題について専門家にヒアリングする事は、今の体制でも少なからず出来る事だと思いますが、それにもかかわらず今回の炎上は起きてしまいました。

今一度、cakes編集部では、どのような施策まで実行出来ていたのか明らかにする必要があるのではないでしょうか。

まとめ

☑︎ 児童虐待・性的暴行という社会問題にも関わらず、編集部が読者へのフォローを怠り、幡野氏コラムが炎上した
☑︎ 昨年末にcakes編集部は改善施策を掲示していたが、全く実行出来ていないようだ
☑︎ 幡野氏コラム2度目の炎上事件も含めて、その場の反省のみしか出来ていないように見える
☑︎ cakes編集部はかなり深刻な人材不足を抱えているため、今後数年は改善出来ないだろう

今回の炎上案件、社として改善施策を打ち出したにも関わらず防げなかった、そして公式のアナウンスも後手後手であり、note・cakes双方の利用者に不信感を与えるような対応だった点が、問題としてはかなり深刻かと思います。

特に昨年何度も炎上して、社会問題やセンシティブな題材については専門家に相談するというプロセスが早々に決まった筈なのに、一体どういうものが社会問題・センシティブに当たるのか判断できない編集がいるというのは致命的です。
判断基準がわからない、相談した結果メディアとして適切な編集を行うことが出来ないというのは、編集として必要な教養が大きく欠けている人材が多いとしか思えません。

これは一朝一夕では解決できず、4半期経っても成果が見られないという事は、年単位で待つより他に無いということです。
他のライターの連載を打ち切ってまで残した幡野氏のコラムを辞めるということは、つまりcakesはセンシティブな題材から一切身を引くという予定だと受け止めざるを得ません。
しかし、正直、今の編集部では再び手を出すのも時間の問題なのでは無いかとすら感じます。

去年、騒動が続く渦中でnote社のCEOは「会社の経営体制の問題」だと発信していました。

果たしてcakes編集部から「前向きなアクション」や「報告」を聞ける日はいつになるのでしょうか。

幡野氏コラムが公開される4日前の深津さんの記事、余計皮肉に感じます。

CXOとして、noteという器をどう整えていけるのでしょうか。


過去のnote・cakesの炎上事案についての記事

参考資料


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