近況

 近頃、どうにもできなくてどうにもならない。頭の回転は常に遅れている。錆びついた音がしている。独り言が増えた。道行く人を怒鳴りつけたい衝動に駆られる。いつでも焦らされてるような感覚がある。脈拍がズレる。元々、気性というのは不安定だったが、明らかにその不安定さは加速している。耳にする音楽の全てが気に入らなくなったりする。先日、気持ちが沈んでいたときに心の澱をキャンバスに塗りたくったような文章を書いた。こんなときでも体裁を整えようとする、俺は。それを、いま再びやろうとしている。誰のために、どうなる。例えば、この症状に、あるいは僕が元来持っている気性に、病名が付いたら楽だと考えている。そうなることを期待している、そうであればいいと思っている。そういう浅ましさがあって、そのことを一丁前に自己嫌悪してみる。それすらポーズでしかない。自分自身を正当化しようとする浅ましさ、に気づいているんだぜという正当化。そして、その入れ子状になった「正当化」に気づいているという「正当化」をする。堂々巡りの自己嫌悪と自己肯定で自分の立ち位置がわからなくなる。ずっと、まだ、何かの外に立っている感覚は消えていない。どうにもならなくて、なんとか病院に行こうと決心した。そこでどういう診断を下されようが、ひとまず自分のことを知るべきだと思った。そんな決意をすると、なんだか気に病み続けないといけない感じがした。まるで、学校を風邪で休んだ日、もう元気なのに午後になってもしおらしく振る舞わないといけないみたいに。そういう自分の、「振る舞っている」感覚に気付いたとき、ひたすらに恥ずかしい気持ちになる。僕はいつも何かのフリをしている。みんなを騙している。それらしく創作なんかしているが、それはただの「フリ」で、本当は何もやっていない。誰かの、それらしい真似事をしているだけだった。みんなは騙されている。免罪符にはならないか。ごめんなさい。誰かと何かを話している瞬間だけは気が楽だ。しかし、それ以上に、何かに腹を立てているときは楽だ。それから、例えば、自分が死んでしまったあとのことを考えているときも楽。要するに感情に支配されてるときだけ、気持ちが晴れるのであって、そして喜怒哀楽の中で怒りと悲しみの引き金だけがあまりにも軽いだけで、俺は逃げるためだけにその引き金に指をかけ続けている。またこうやってそれらしく比喩を使って、何かを話した気になっている。体裁にこだわるな。それらしく振る舞うな。これは正当化。また正当化。分かってますって。気が楽になってきた。俺に薬はいらない。お前ごときが、ほんまに苦しんでる人を差し置いて病んだフリをするなよ、と思う。一方で、こういう支離滅裂で自罰的なところを他人に見せて「いや、やっぱりお前っておかしいよ」って言ってもらえるのを期待している。他人から心配してもらいたがっている。浅ましいね。またしても言い訳の言い訳の言い訳。僕は他人からどう思われるか、ある程度コントロールできているつもりでいる。だからこうして書き並べた文章はあなたたちを騙すためのものであり、君たちはまんまと騙されている。『「違う、僕の周りには騙されたフリをしてくれている人たちだけが残っている。俺はいい気になって取り繕えたと思っているだけ。」という文を書いて、またみんなを騙そうとしていた。ほとんど無意識に。』といった文を書くことで、自らを開示したように見せてかけて、信用を得ようとしているわけです。ちなみにこの文章もそう。まどろっこしいね。話を戻します。僕は他人から好かれようと振る舞うくせに、正しく他人から好かれない。多分見透かされとるんやろな。だから、輪の外にいる感覚が拭えない。ところで今左耳が痛いです。これって病気ですか。だったら良いね。脱線するな。実際のところ、因果は逆なのかもしれないとも思う。自分が輪の外にいると思い込んでいるから、他人に好かれていないと感じてしまうのかもしれない。それが目下の悩みです。友達の友達に嫉妬しちゃうタイプです。それが目下の悩みです。キショいね。『俺は好かれるべき人間なのに好かれてない』『俺は好かれるべきでない人間なので好かれてない』自分が今、どっちで苦しいのか、これだけはマジで分かりません。できる限りここに書く文章では正直にいようと思うが、これだけがマジで分からない。というかどっちでもあると思う。その瞬間瞬間でどちらにでも感じられる。だからじゃあどうしたらいいのかは別にわからないんですけど。ああ、急にくだらなくなってきた。ここまでつらつら書いてきて、こういうこと考えながら生きてますよーってアピール、日頃唾棄すべきものとして扱ってる癖して、自分で書いちゃうんですね、って自己分析もできるアピールしちゃいます。いい加減しつこいか?ごめんね。言い訳の言い訳の言い訳の……。自意識に殺される。ほんまに飾らずに生きたかった。嘘を吐きたくなかった。着の身着のまま、気安く愛されたかった。何が足らんのんすか、あと。俺には他人の懐に気安く潜り込めるような才能がなかった。そうするには自意識があまりにも重たすぎた。分かるよ、こういうのって、いま僕のこと好いてくれている人たちへの裏切りや。本当にごめんなさい。違います、なんとか生きながらえようと思います。生きながらえよう、っていうのは普段通りの生活をしようって意味で、そんな生き死にの話じゃないです。多分だけど、こういうのを書いて、人様に見せようと思えてる間は大丈夫だから。いや違う、本当にそんなにシリアスに考えることとちゃうねん。とりあえず今週いっぱい乗り切りたいです。読んでくれてありがとう。

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