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ありがとうの受け渡し

"ありがとうございました~”
”ありがとう”

1日の中で誰しもがきっと1回は聞いている言葉
聞いてはいるけれど意外と発してはいない言葉

バスの運転手さん
コンビ二の店員さん
カフェのお兄さん
洋服屋のお姉さん

彼らはみんな
いらっしゃいませ~
こんにちわ~
と出迎えてくれ

ありがとうございました~
と見送ってくれる

その言葉と、言葉の裏の気持ちに対して
以前の私は頭を軽く下げるだけの会釈で返していた

(どうも)

心の中でそんな言葉だけなんとなく唱えて
その人の目も見ずにその場から立ち去って
自分の世界から出ずにそのまま道に戻っていく
イヤホンを取らないときも多々あったと思う
そもそも人の目を見ることもなんだか苦手だった


去年の8月まで2年間
わたしはインドネシアという国に住んだ

外国の地だからということがあってか
心に余裕ができたからか
インドネシアの毎日の生活では
意識もせずに多くの”ありがとう”をちゃんと受け取って生きていた

相手の目をみて
”テリマカシー”という言葉と、言葉の裏の気持ちを受け取り
“テリマカシー”という言葉と、言葉の裏に気持ちを込めて返していた

何か嫌なことがあっても、彼らの笑顔と言葉と気持ちは
わたしの心をいつもやわらかに、とかしてくれた


9月、ゆったりとしたインドネシアから東京に戻ってきて
この都会の忙しさに、わたしは疲れ切ってしまっていた

歩くスピードはみな競歩のように早く
家から出れば自分の周りにバリアを張り、硬く閉ざす
満員電車、人混み
他者と必要以上に近い距離にいなくてはならない空間が存在していることで厚くて固いバリアを張らないと生きられないのかもしれない

だけど。その固い空気に、わたしはすごく息苦しくなった


そんな中、入ったコンビニで
会計をして、買ったものとレシートを受け取るとき

ふと顔をあげ、相手の目をみたら
その人は、わたしの目をしっかり見て

”ありがとうございました!”
と気持ちのある言葉と笑顔をこちらに投げかけてくれていた

はっとして、わたしも相手の目をしっかり見返して
“ありがとうございました”
と気持ちのある言葉をお返しした

彼女はその言葉に少しびっくりして、そのあとニコっとまた笑い返してくれた

その一瞬のやりとりのあと
わたしの心は、ふわ~と温かくなった

そうだ
東京にもたくさんのありがとうと笑顔がある
それを落としてしまうか拾えるかは自分次第

バリアを張って閉ざしていれば
そこに、その言葉と気持ちが ”ある” ことにさえ気づけないもの

だけど、ひとたびそれを落とさずに
しっかり受け取って、お返しすることができれば
心地よいやわらかなつながりからの幸せが身体にひろがっていく
幸せのきっかけは日々に転がっている

壁を作らないと生きられない都会にこそ
やわらかなつながりが必要な気がしていて
そんなつながりは
自分の周りに張り巡らせたバリアを時にといて
目線を少し上げて
相手が渡してくれているものを受け取ることで
感じることができるのだと思う


相手が閉ざしていても気にせず
こちらから開いてみる
そうすると意外と相手も開いてくれる

私は365日を毎日、幸せに穏やかに生きたいと願っている

だから、自分を幸せにしてくれるきっかけは
どんな小さなものも、とりこぼさずに、しっかり拾っていきたいのです
日々、そんなきっかけを探して

#365日幸せに生きる

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