映画の話、その11

※今テキストは「ショーン・オブ・ザ・デッド」のネタバレを含みます。

公開から15年経った記念なのか、「カメラを止めるな!」が流行ったおかげかよくわかんないけど、エドガー・ライトの「ショーン・オブ・ザ・デッド」がはじめて日本のスクリーンで上映されるということでさっそく観て来た(当時はDVDスルーだった)。

改めて観ても、やっぱり呑気な映画やなぁという印象は変わらない。うまくいってないようなところも結構あったりする。まぁ、それもふくめてすげーチャーミングな映画でやっぱり大好きです。
「ショーンが親離れして成長する」というドラマはズレてなくて、筋はちゃんと通ってる。とは言っても相当甘々な話で、サイモン・ペッグの魅力できっちりカバーといった感じ。大画面で見るとペッグちゃんの芝居がひときわ光って見えたりで、DVDとかでは気づきにくいポイントをどんどん発見。
そして最後に、ショーンが見捨てなかったあいつ……からのQueen「You're My Best Friend」は何回見てもニコニコしちゃうし、これに五億点上げずしてどうすんだと。ちなみにあそこは母親殺しをしてしまったことへの優しきアンサーにもなってるんじゃないかなとか、今回そういう解釈も生まれたりして劇場鑑賞は大正解だった。
それとこの日はちらほら見えた外国人のお客さんたちがいいウケ方してくれていて、場内に多幸感があった。この映画はほんと愛されてんなー。

ひとつだけ欲を言うと、吹き替え版のファンなのでそっちでも観たい。もうニック・フロストの顔面からはずっと茶風林さんの声が出てほしいと思っている。

「好きな映画が劇場でかかってる間は何度でも足を運んで体験すべき」ってよく言うんだけど、今回つくづく思ったのは「映画館には魔法の領域がある」ということ。テレビやDVDで何回も観た作品なのに、スクリーンにバーンってはじまった時のワクワク感、「何か面白そうなことがはじまりそうだ……! いや、内容知ってるけど!」みたいな気持ち。そういうのを肌感覚として改めて思い知った次第です。だからおれはこれからもできるだけ映画館へ通います。
でも、あれよ、サブスクリプションとかで観るのも好きです。どれがいいとか悪いとかってことではなく、選択肢がいっぱいある未来がいいし、みんないろいろ使って楽しもうぜって言っておきたくてだな。