見出し画像

百合の切り花

先日購入した百合の切り花が枯れたので感想を少々。

アピタの花屋さんコーナーにあるワケあり花束(300円)に百合の切り花があった。
細かく言うと百合1本(咲いてるのが1つ、蕾4つ)、カーネーション1本(ピンク)、アルストロメリア1本(白)
元々百合の花はあまり興味がなかったが、その日のワケあり花束(300円)はそれしかなかったので試しに買ってみた。

生けてみると、花も葉も大きくすごくダイナミック。
その存在感はまるで受付嬢。
更には特有の良い香りを発する。
花に存在感は求めていなかったので受け入れるまでに少し時間がかかったのを覚えている。

それから3日程経つと、蕾が開き花が咲き始めていた。
花が1つ2つと咲く毎に香りと存在感を増していく。
百合に押しつぶされたカーネーションが首を折られお辞儀をしている。
その様子に若干の図々しさを感じながらも成長していく姿に私は歓喜した。
雌しべに花粉をつけてみたり、次に咲く蕾を予想したりするうちに愛着が湧いていった。

私はいつも、花弁が落ちない種類の花は枯れた後干してドライフラワーのようなものを作っている。
そうする事によって生けていた頃を思い出す事が出来るのだ。
思い出の詰まったこの百合の花もドライフラワーに出来たら良いなと枯れるのすらワクワクしていた。

そしてついにその時がきた。

枯れる時は少しずつ元気がなくなるパターンが多いが
百合の花は突然枯れた。
昨日まで凛として咲いていた4つの花と咲きそうな蕾。
それがまるで冷蔵庫の奥で腐った生姜のように茶色い地獄になった。
あっという間に花弁は落ち花粉が机に広がる。
あの特有の良い香りも全くしない。
その勢いにびっくりもガッカリもなく
ただ呆然とし「枯れた」と心の中で呟いた。

そして今日その茶色い地獄を処分した。
ゴミ袋に入れる際、手に着いた花粉はイエローのインクカートリッジのように洗っても取れなかった。

そして絶妙に臭い。
私は今その絶妙に臭い手で、文字を綴っている。

窓際に干してある首の折れたカーネーションを見る度に
私はこの事を思い出すだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?