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コロナ対策とアメリカ文化

NYタイムズ本日の一面は、コロナ死がついに70万人超えと。死者数がのびているのは共和党優位で感染対策を怠った南部ながら、いまも全米で毎日10万人くらいの新規感染者。医療だけでは防疫はできないわけで、文化(社会のくせ)が情勢を左右する。アメリカ文化と防疫の相性は悪いのかしら。

昨日でかけたヤンキースタジアムもワクチン接種証明を求められなくておどろいた(すでにNYは未接種者には屋内施設入場禁止が定められているのに。野球は屋外ということ?)。球場近くのバーは立錐の余地なく、ビール飲んで騒いでいる。球場内もビール飲んで観戦するうちにマスク率低し。大声で応援。ニューヨークにしてこれなのだ。南部の反ワクチン派・反マスク派がpro choiceだのfreedomだのと「自由」をかかげていて首をかしげてしまうが、これ別に南部でなくてもこの言い方には一理あると思う人がいそうな気がする。

べつだん球場とか野球ファンが特別というわけでもなく。東京からNYに来てみるとその防疫のゆるさに驚いた。マスクはまぁしてるけれど、わりと外すのね。あれ、君もあなたもしないんだ。電車の中でも外しちゃうんだ。エレベーターの中でも平気。ミッドタウンの警官諸君がだれもマスクつけてなかったのはなぜ(マンハッタンを出ると着けている警官もいた)。消毒もゆるめ。東京では動線に沿って置いてあるのでひんぱんに使っていたアルコールは探さないとない。

NY市でいうと状況は落ち着いているのだから心配するなということなのか。毎日の新規感染者数は1500~2000人で夏以降は第三波ながら、死者数はおさえこめていて平均10人台。ワクチンはホントどこでも打て、PCR検査も簡単にできて、全部無料。コロンビア大の場合、キャンパスに入るためにはワクチン必須、PCR検査必須、講習を受けて、誓約書にサインして、毎日の健康セルフチェックの結果をアプリに反映させないといけない。似たような措置をしているところは多そう。ちなみに渡航者は自主隔離が求められている。

では、ワクチン接種率もさぞ高いかと思いきやNY市ですら二回接種者は63%、一回接種者で7割くらい(このところ規制が急速に変わっていて、役人、医療従事者、学校関係者、企業などでワクチンは必須に。接種率はこの先あがっていくのかも)。渡航者の自主隔離といっても、別になんの監視もされない(日本でやってるらしい所在管理アプリはNY・アメリカだと受け入れられる気がしない)。わが家はワクチン未接種の子どもがいたので一応したがったけれど、他にやってる人っているのだろうか(家探しを手伝ってくれた不動産屋に自主隔離と話したら、軽い虐待みたいに思われた?)。キャンパスでも、段取りはすごく厳重なようでワクチン接種と学期はじめのPCR検査一回をパスしたあとは好き放題。フレッシュマンたちは群れずにはいられないし、うれしくてしゃべっちゃうし、ご飯も一緒だし、マスクや手指消毒はゆるめ。ほかにも日々の緩さは先述の通り。

なにしろ徹底しないのね。やっぱ自由の侵害に思えるのかしら。それとも、東アジア近代を生きてきた自分があまりに公衆衛生に従順なのか。

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