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NYの黒人奴隷墓地

マンハッタンの南、いまの市庁舎の裏手あたりに、黒人奴隷墓地跡African Burial Groundがあります。ニューヨークなのに奴隷!?というのがポイント。

奴隷制プランテーションがある南部から遠く離れたニューヨークは実は全米屈指の奴隷制都市がでしたが、外国人にとってだけでなく、アメリカ人一般にも、ニューヨーカーにも忘れられていました。

奴隷制の経験を思い出すことになったのは1991年のこと。ビルを建てようとして地盤をチェックしたらお骨がたくさん出てきて、古地図を見てみたら見まがいようもなくでかでかと黒人奴隷墓地と書いてあって、ハッ忘れてたよとなりました。

丸をつけてあるのが墓地。地図上すぐ左がいまの市庁舎。植民期マンハッタンの郊外に奴隷墓地がひっそりと置かれていたのがわかります。

思い出した後はわりとえらかったと思います。墓荒らしにならないよう黒人諸団体との相談のうえ、アフリカからも人を呼んで埋葬の儀礼を施しなおし、記念広場、ミュージアムを連邦ビルの一角にしつらえました。

骨や埋葬の仕方からわかること(たくさんあるのです)から説き起こして、ニューヨークと奴隷制の根深い関係、黒人奴隷たちの生活・労働、自由黒人をふくむ黒人コミュニティの充実と、その抑圧、地位向上運動までが綴られていきます。

ニューヨークに来たらミッドタウンでミュージカル観て、ミュージアム行って、買い物するだけでおなかいっぱいですが、リピートの方も多いはず。ローワーマンハッタンに足を伸ばして、先住民博物館から黒人奴隷墓地ミュージアムまでの線をぐねぐねと歩いてください。トリニティチャーチから、ウォールストリート、9.11メモリアルまで、港町ニューヨークの成り立ちから現代までを味わえます。


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