見出し画像

のんびり地学基礎 #23 火成岩②[火成岩の分類]

前回は、火成岩を
急に冷えて固まった火山岩
ゆっくり冷えて固まった深成岩
分け、その特徴を学びました。

今回は、
火成岩の中に含まれる
ある成分の量で分類していきます。

ある成分とは
二酸化ケイ素(SiO₂)です。

二酸化ケイ素は、
地球上の多くの岩石に
含まれており、
地殻を作る重要な骨組みに
なっていると言えます。

このSiO₂エスアイオーツーの含有量によって、
岩石の見た目や性質、
噴火の特徴までも
こんなに変わるんだ( ゚Д゚)って
きっと驚くことでしょう!

①、酸性岩

火成岩の中で
SiO₂を多く含むものを
酸性岩といいます。

ちなみに、SiO₂の
純度100%は水晶です。
SiO₂は無色なのです。

酸性、といっても
リトマス試験紙を使って調べる
あの酸性、中性、アルカリ性
とは全く関係がありません。

《酸性岩の特徴》

SiO₂ ⇒ 約66%以上
岩石の色 ⇒ 白っぽい
マグマの性質 ⇒ ねばねばして流れない、
         または流れにくい。
マグマの種類 ⇒ 流紋岩りゅうもんがん質マグマ
       デイサイト質マグマ
火山岩(急冷・斑状組織) ⇒ 流紋岩、デイサイト
深成岩(徐冷・等粒状組織) ⇒ 花こう岩

流紋岩よりちょっとだけ
SiO₂が少ない岩石を
デイサイトといいます。
日本によくみられる
火山岩です。

デイサイトや流紋岩質のマグマは
粘性が強くて流れにくいので、
火口周辺に
もこもこと溶岩ドームを作ります。
その崩壊とともに
火砕流を起こすこともあります。

プリニー式噴火(雲仙普賢岳など)

激しい爆発を伴う噴火で
噴煙柱は成層圏に達します。
大量の火山灰や軽石などを飛ばし、
火砕流を伴うこともあります。

長崎の雲仙普賢岳は
デイサイト質のマグマです。
1991年に起こった火砕流では
40名以上の方が犠牲になりました。

雲仙普賢岳とトロッコ列車


北海道有珠山の昭和新山も
デイサイト質のマグマです。
平地だった場所が突然
盛り上がり、火山となりました。
ポコッと釣鐘を伏せたような
溶岩ドームを形成しました。

支笏洞爺国立公園 昭和新山

②、中性岩

SiO₂を半分ほど含む
火成岩を中性岩といいます。

SiO₂の代わりに
色の出る成分が混ざるので、
岩石の色は黒っぽくなります。
粘り気は少なくなります。

《中性岩の特徴》

SiO2₂⇒ 約52%~66%以下
岩石の色 ⇒ グレー
マグマの性質 ⇒ 少し粘り気があり
         酸性より流れやすい。
マグマの種類 ⇒ 安山岩あんざんがん質マグマ
火山岩(急冷・斑状組織) ⇒ 安山岩
深成岩(徐冷・等粒状組織) ⇒ 閃緑岩せんりょくがん

ブルカノ式噴火(桜島など)

火口の固まりかけた溶岩が
ガスの圧力で開かれ、
爆発的に火山弾、火山灰など
を噴出すします。

鹿児島の桜島は
安山岩質~デイサイト質
のマグマの火山です。
少し粘り気があり、
ポン、ポン、と
爆発を起こします。
円錐形の
山の形になります。

鹿児島 桜島


ストロンボリ式噴火(伊豆大島三原山など)

間欠的で小規模の爆発です。
粘性の比較的少ないマグマが
しぶきとなって吹きあがり、
火山弾、火山礫が
数百メートルの高さまで飛びます。

伊豆大島の三原山は
玄武岩に近い
安山岩質マグマの火山で、
ストロンボリ噴火になります。

伊豆大島 三原山

③、塩基性えんきせい

SiO₂の含有量が
半分ほどより
少ない火成岩を
塩基性岩といいます。

《塩基性岩の特徴》

SiO₂ ⇒ 約45%~52%以下
岩石の色 ⇒ 黒っぽい
マグマの性質 ⇒ 粘り気が少なく流れやすい。
マグマの種類 ⇒ 玄武岩げんぶがん質マグマ
火山岩(急冷・斑状組織) ⇒ 玄武岩
深成岩(徐冷・等粒状組織) ⇒ 斑れい岩はんれいがん

ハワイ式噴火(マウナケア、キラウエアなど)

マグマのしぶきや溶岩が
連続的に流れ出るため
爆発を起こしません。
火山灰を降らすこともありません。

ハワイ島 キラウェア火山の噴火(玄武岩質マグマ)

ハワイやアイスランドの火山は、
溶岩が赤い川のように
さらさらと流れていきます。
玄武岩質のマグマです。
塩基性岩の火山は、裾野が広く
なだらかな山の形を作ります。

ハワイ島 マウナケア火山

アイスランド式噴火(ラーキなど)

割れ目噴火と呼ばれ、
地表の長い割れ目に沿って
粘性の少ない玄武岩質マグマが
あふれ出るように
噴火を起こします。

④、超塩基性岩ちょうえんきせいがん

SiO₂の含有量が
非常に少ない火成岩を
超塩基性岩といいます。

《超塩基性岩の特徴》

SiO₂ ⇒ 約45%以下
岩石の色 ⇒ 黄緑~緑、黒など
マグマの性質 ⇒ さらさらと川のように流れやすい。
マグマの種類 ⇒ 玄武岩げんぶがん質マグマ
火山岩(急冷・斑状組織) ⇒ コマチアイト(もう地球は作れない)
深成岩(徐冷・等粒状組織) ⇒ かんらん岩

地殻のすぐ下の上部マントルは、
超塩基性岩のかんらん岩で
できています。

火成岩の分類まとめ

「リカちゃん焦ってゲロ吐く」でしたか?
「新幹線は借り上げ」でしたか?

このように、
火成岩はSiO₂量の違いで
こんなに変化するのです。

そして、
マグマに粘り気があるのか
とろとろと流れるマグマなのか
噴火のタイプを知ることは
防災上とても重要です。

また、噴火後の火山の形は、
景観に大きな影響を与えます。
火山は危険ですが
その美しさは私たちを魅了し、
登山、温泉、食べ物など
観光地としても
楽しませてくれるのです。

次回は、
SiO₂をもっと深堀りします。
「火成岩③」です。

謝辞~星屑の子供たちへ~

子供の頃から、なぜ日本の火山はハワイのようにさらさら川の流れるような溶岩ではないのだろう?と思っていましたが、やっと詳しく理由が分かりました!爆発を伴う流紋岩、デイサイト質マグマの噴火はやはり怖いです。

Geo Radio「のんびり地学基礎#23「火成岩②」

SiO₂以外にも分け方があるそうです↓
がっつり地学06「火成岩の分類」


この記事が参加している募集

地学がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?