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「恋哲処女~イマジナリーガールフレンド~」 作者の自語り&感想フォーム質問回答

この度は恋哲処女~イマジナリーガールフレンド~をお手に取って頂き、そしてお読み頂きありがとうございました。今回は作者餅千歳あぐりの考える東方のお話と感想フォームにて頂きました質問の部分に回答していきたいと思います。

⚠️注意⚠️
・この記事には本作のネタバレが含まれています。
・今作に重要な私の考えが多く語られていますので今作を読んでからこの記事を読むことをかなり推薦します。
・質問回答という事で自分語り部分が長いです。また本文は全て自論であり、あくまで私の哲学でしかない事を予めご了承ください。

長い自語り(前置き)

私は哲学が大好きです。哲学が好きと言っても、特定の哲学研究者と言うわけでは無く、本当に考えるのが大好きで色々な宗教や哲学を掻い摘んではそれについて考えたりするのが趣味です。

私が東方Projectの二次創作をやっているのは宗教哲学関連が好きな点でかなり東方Projectとは相性がいいのと、私の性質が妖怪っぽい所が恐らく結び付いたのでしょう。色々な作品を摘んでいいな〜と思うことは勿論あるんですけれど、どれだけ思いが強かろうが描きたくなるかどうかは別らしくて、好きだけどファンアートを描かない事の方が多いです。と言うより一つ一つの作品に意味とか筋を求めてしまうので哲学を込めやすい東方はかなり継続して描きやすいと言うのが大きいですね。(衣装アレンジが出来るのも理由として大きいです)

私はスマホゲーム以外のゲームを基本与えられずに育ったのでゲーム自体にかなり疎く、東方Projectのゲームを始めたのも実は結構最近なんです(原作やる前から書籍は買い漁ってました)。元々原作の楽曲は鳥肌が立つほど大好きだったので、初めてプレイした時の感動はかなりデカかったです。ZUNさんという1人の天才の創る世界観に、結果どうしようもなく魅了されてしまいましたね。


話を戻して今作では東方Project、そして古明地こいしの設定を活かして幻想か現実か、存在するかしないか境目を狙って制作しました。二次創作をする上で"古明地こいし"というキャラクターを生かせる内容が良い、いや古明地こいしの二次創作だからこそ筋が通る話を描きたかった。また今作のコンセプトとしては東方を知ってても知らなくてもまぁ楽しめる作品が作りたいな〜という作者の考えから制作していますので東方を知り尽くしてない!って人でも何となく読めるのではないでしょうか…また「東方Project」の性質を活かし、「二次創作ってなんだろう」という考えも練り込んであるので二次創作というモノ自体が好きなら楽しめたんじゃないかな〜と勝手に思っています。

あらすじ
生きる希望を失った主人公は飛び降り寸前の少女を目の当たりにしてしまう所から物語は始まる。その日を境に彼は名前も知らない彼女とただ語り続ける。そこに実用的意味は特に無く、少年の寄り道はただ日記としてここに綴られるのだった……

質問 Q.愛について

質問抜粋「〜餅千歳さん自身の哲学が作品にかなり反映されているのだと思うが、ご自身で愛とは何かという問いに答えを用意しているかが気になった。」

A.鋭いですね!(?)そうです。この作品の核心的コンセプト…という訳では無いけれどかなり大事な所ですね。
彼女は、お友達として最後に「君の考える愛とはなにか」について総まとめかのように問うのですが、彼は口を濁してしまう。まだ恋を知りたての心の青い青年に到底愛なんて語れる訳がない。当たり前の現実に彼は向き合うことになってしまう。我ながら良い構図ですね。
結論を言いますと私の考える"愛"とは「人の心が上乗せされた理解」です。滅茶苦茶簡単にまとめましたがこの結論は至るのにかなり苦しみましたし多分今後死ぬまで変わらないです。私の悟りとも言えるでしょう。
愛とは何かについて歴史上人間は沢山悩んできました。人によって自論は変わるでしょうが判断を間違えれば地獄行きです。さあ難しい。
「愛ほど歪んだ呪いは無い」だとか「私は彼をこんなに愛してる」だとか馬鹿馬鹿し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️うるせぇよカスカスカス見誤りがよォ〜〜〜〜‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️って感じですが、これは執着や欲の事を愛だと勘違いしてるだけだと私は考えます。愛とエゴは表裏一体です。そもそも自分の近しい人間は自分の腕でも脚でもないです。あくまで他人なんです。「彼氏が自分の思い通りに返信してくれないから別れた」だ「彼女が俺が帰ってくるまでに料理してなかったからキレた」だの自分の都合だけで他人を評価する習慣は自他共に虚しいし不幸です。
まず近しい人は自分の手足であるという考えは傲慢な勘違いである事を自覚する事こそが苦しみから抜け出す道なんじゃないでしょうか。綺麗事かもしれないけども間違っては無いと思ってます。
と言うあくまで客観的な前提があってもやっぱり人には感情というものがあるのでコントロールするのにもかなり難しいしそれが出来たら誰も苦労していません。その人の性格や性質もありますしね。

じゃあ「人の心が上乗せされた理解」って結局なんだよ‼️という話をしましょう。例えば、普通の女の子と付き合ったとしましょう。彼女に対してどう接するのが愛なのでしょうか……既にかなり難しいです。女の子とは皆メンヘラの素質を抱えています(割と本当)。彼女の生い立ちや性格にも勿論寄りますが、女性と言うのは美的価値と感情に左右されやすい生き物だと私は勝手に思ってます。そして結構鋭いし自分の美的感覚と外部が合致しないと湿っぽくなります。お友達も切り捨てます。怖いですね。
「女々しい」と言う言葉があったり「嫉妬」や「妖怪」に女編が入ってるのを見ると割と本質的にそういう生き物なんだろうな〜と私も感じます。

「じゃあ彼女を愛するって結局なんなんだよ!」
簡単な結論を言うと、彼女がどんな人間という生き物なのかということを理解してあげることだと考えます。彼女の好きな物を全部暗記しろとか次何がしたいかを明確にサポートするとか、そういう面倒くさい事をこなせと言いたい訳ではなく"相手をどれだけ人間として尊重出来るか?"って問題だと私は考えます。パートナーが異性だろうと同性だろうとコレは同じです。
そしてこの問題は結構互いの自立の問題でもあります。君が自己流で頑張ろうと彼女が君に対する感謝に気づかなければ何も変わらない。君がどれだけ美しくなろうと彼が己の性欲の愚かしさに気づかなければまた浮気される。最終的にはお互いの問題になるでしょう。感情だけじゃ賄えないのですね。

質問 Q.哲学の勉強

質問抜粋「餅千歳殿は図書館などで哲学書を読んで知識をつけられいるのでしょうか。それとも今までに読んできた本から延長して他の哲学書を読まれているのでしょうか。お勧めの書籍があればお聞きしてみたいです。」

A.餅千歳殿って言い方にジワジワ来ましたがそれはともかく、
私は元々空想好きの理想がバカ高い面倒臭い人間なのですが、色々ありまして宗教というものにかなり惹かれるものがありました。東方Projectにハマったのもここが大きいです。
現代はご存知の通り科学世紀ですので、宗教というものに対する不信感というか、まぁ色々あってあまり重要視されない時代になりました。
私は世の中全てに反抗して生きてるようなものなので、逆に宗教ってなんだ????って捉えるようになったんですよね。逆にね…
前世紀に世界各国で自然と浸透していた神という存在に対する興味というか、そこら辺の疑問が転じて哲学へ興味が移りました。あまりにもひねくれてるので素直に信仰しようみたいにはならなかったのでしょう。
宗教哲学の勉強は本当に個人的趣味です。何かの専門的学者みたいな立ち位置とか哲学科みたいな者でもないです!YouTubeの解説を参考に気になった本を買ってみたりそこから自分で考えたり……って感じで緩くやってます。
今回の作品にもそんな哲学を多く詰め込んだつもりです。ここで今回の作品のモデルとなったキルケゴールについてご紹介しましょう

実存主義のキルケゴールと今作の主人公

キルケゴールという名前は倫理にも出てきますし恐らく名前だけは知ってるという人が多いでしょう。そもそも彼はガチキリスト教徒哲学者なので日本で馴染みが無いのも仕方ないです。
彼の事はあとがきにも書いたくらいですので本作品の元ネタとなった人物と言っても良いでしょう。
キルケゴールは簡単に説明するとキリスト教国の生まれで、なんやかんやなんやかんやあり毒親の影響で自分は呪われた存在なんだと信じ込み自分を救うための哲学を考えようとした人で、いわゆる実存主義者の先駆けとなった哲学者です。(実存主義者だと他にニーチェ、サルトルなどがいます)

イマジナリーガールフレンドの"主人公"は彼がモデルという訳でもキルケゴールの著作を原作にした訳でもありませんが、影響はかなり受けています。というのも今作ではあくまで"1人の実存主義者"を描くことを目標にして作ったからです。
いまnoteを書いてて初めて言語化出来ましたが今作は「実存主義者の日記」と「恋と信仰」がコンセプトでした。思春期の「自分は何者か?」という問いは最も実存的であり意外と馴染みのある感情です。そして重要なのが「恋愛感情と信仰」…
キルケゴールも信仰について考えていた人なので通ずるものがあるのだろうと思いますが、私は信仰に最も類似している感情はもしかしたら恋愛感情なんじゃないかなと考えました。(信仰と言っても色々ありますがここで述べる信仰は一神教的な信仰の事です。)
今作の主人公も次第にイマジナリーガールフレンドに恋をしていったワケですが、あれは単なる性的衝動ではなく彼女を"信じたい"という気持ちから来る恋であったと、そう意図したつもりでした。孤独が当たり前だと思っていた自分に第三者から応答があった。コミュニケーションが取れた。しかも異性からの。内心嬉しくないわけないじゃないですか〜んも〜〜❗️
話が戻りますがキルケゴールも恋した人がいました。レギーネという少女でした。
キルケゴールが彼女とどういう話が出来たのかは分からないけれど、もしかしたら彼も彼女を信じたいと思ったんじゃないでしょうか。まぁ結局なぜか婚約破棄してしまうのですが…

最後に

ここまで長々と読んでくださって本当にありがとうございました!
次回作はにとりのお話が書けたらなとぼんやり考えています。HappyENDにはならなそうですが機会があればよろしくお願いします。またね!

餅千歳あぐり

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