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サネの移籍。。

朝、目が覚めると私の大好きな選手の1人が、私の大好きなチームを離れるとの報道があった。
誤報であってほしいが、この機会に彼への感謝を述べよう。


すらっとした、しかし無駄のない体つき。
しなやかに伸びた姿勢から、グッと沈み、そして急加速。誰も追いつけないスピードで駆け抜ける。
その細長い足からは予想できないようなシュートを放ち、自分の武器はひとつでないと証明してみせる。
愛嬌のある笑顔とチャーミングポイントのアフロヘアーが印象的な選手だ。

いつからだろうか。
左サイドを切り裂いていた青年は人々から『不要』と判断され始めた。
試合に出れない時の態度を批判されたこともあった。
なかなか契約を延長しない彼に煩わしさを感じ、人間性を疑うものまで現れた。

彼は悩んでいただろう。

誰もが羨む環境、誰もが尊敬する指導者、誰もが認める優秀なスタッフ、誰もが憧れる素晴らしいチームメイトたち。

そんな中、試合に出場できない時期が増えていった。

彼はまだ24歳だ。
精神的にはまだ不安定で、社会としてみたらまだまだ子供に近い年齢である。

自分の身ひとつ、選択ひとつで今後の人生が大きく左右される。
プロだから当たり前。もちろんだが、多くのマスコミ、世界中のサポーターからのプレッシャーを感じながら自分の将来の選択をしなければならない。
非常に厳しい世界だと思う。

私の比べ物にならない経験談を少しだけ添えて話させていただく。
どれほど良い環境であっても、やはり選手というのは試合に出れないと幸せになれない生き物なのだと思う。
私自身、大学の4年間は試合に出ることができず、苦しい思いをし続けた。
努力を重ねても届かないところがあった。
そうして心が挫けた。
今これは何のためにやっているのかわからず、自信をなくした。

サッカーで大切なことは紛れもなく「心・技・体」。実はこの言葉、順番にも意味があるように思う。
何よりもまず来るのが「心」なのだ。
自信のないプレーヤーに成功は有り得ない。
そしてこの自信は人によって強度が変わってくる。

誤解を恐れず言えば、サネは自尊心が高く、心が脆い。若い選手の多くが同じ特徴を持つ。
とはいえ、このレベルまでくる選手なのだから壁を乗り越える力間違いなくあるはずだ。

だからこそ悩んだ。

自分なら乗り越えられると信じるか、ここを出ることで新たなチームで活躍できると信じるか。

私が思うに、ドリブラーは目の前の敵と1vs1になったとき、「どうしようかな」と少しでも悩んでしまった時点で、既に自信を失ってしまっていると考えていい。

2シーズン前のサネは無敵だった。

絶対に勝てると確信を持ってプレーしていたことだろう。

そして今、この時の自信を取り戻すにはチームを出る必要があると判断したのだろう。

私は彼のこの頃の姿をもう一度見たい。

サヨナラは悲しい。
けど、私はそれでも彼を前向きに送り出してあげたいと思う。
きっとそこには新たな挑戦が待っていて、きっとそこで乗り越えてくれると信じているから。

ありがとう。


親愛なるサネへ

サポーターより。

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