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終わる日記(3/7)

2024/4/12

研究室に行った。ミーティングとチーム紹介を聞いたら昼になっていて、同期と話してみんなでごはんに行こうということになった。

初めて行く非生協の食堂だった。食券機の前で、新500円対応してる? と同期が言うと、してないと言われ、あれなんで重さ変えたんやろと言った。通すやつってガバくない? と言うと、そう、だからこれはガバくないってことやんなと言われた。あれどういうことなの? 後からイジってるわけじゃないだろうしと言うと、でもコカコーラの自販機とか対応させてた気すんねんけどと言われ、これはだからガバくてガバくないやつと言われた。

同期がからあげ定食を食べながら、からあげとご飯の量が多くてマヨネーズも乗っているのに唐マヨ丼のほうが安いから、お得なのはこっちだけどメニューにないことが多いんだという話をした。

とんかつ定食は注文されてから作っているから時間がかかるんだと言われた。指で弾いてみたら、とんかつ定食024と書かれた食券がハンドスピナーみたいにくるくる回って、癖になってずっと回していた。本物のとんかつ定食は回せないけど、食券のとんかつ定食なら回せると思った。番号が呼ばれて取りに行ったらソースとドレッシングはセルフ形式になっていて、無難にとんかつソースだろうと思ってかけた後、ドレッシングはフレンチドレッシング(赤)と思って蓋を開けたらまだ封が切れていなかったので、戻してフレンチドレッシング(白)をかけた。

チーム決めについての話をしながらとんかつ定食を食べた。本格的なとんかつ定食だと思った。とんかつは、半月をさいの目切りにしたみたいな網に乗っていて、これがとんかつを一段とよく見せていると思った。

帰る道すがら、クマンバチを見つけた。3匹のクマンバチがちょうどのんきにホバリングしているところだった。なんでホバリングしてるんだろうと同期が言った。桜の花びらが道路に散らばっていて、これが赤色ならレッドカーペットだろうと思っていたらくしゃみが出た。風邪をひいたのかもしれないと思った。

桜の鼻びら。鼻いかだ。鼻いちもんめ。

研究室。棚の奥に氷川きよしのブロマイドが隠れていたことを同期が発見して、それはアーモンドピークの付録らしいのだが、何枚か並べていたらどうやら金のリボンに繋がりがあるらしいと気づいて、パズル的に横並びに繋げていった。周期的境界条件はあるのかと言った。ぜんぶは繋がらず、それなら少なくとも2枚は足りないと言われた。同期が棚を物色して、新たな1枚を発見した。それを当てはめたらぴったりはまってリボンがシームレスに繋がり、いろんなポーズの氷川きよしが横一列に8人並んだ。調べてみたら全8種と書いてあって、シークレットがない限り、周期的境界条件はなかったのだとわかった。

マイケル・サンデルはおもしろいと言われた。「これからの正義の話をしよう」のトロッコ問題の議論を簡潔に説明してもらった。サンデルを愛読していたから倫政のカントの問題とか楽勝だったと同期が言うので、完答? と言うと、おおと言われた。椅子の高さを下げてみたらすかしっぺみたいな音がしたので、極限まで椅子を下げてさらにその音を出し続け、それがすかしっぺでないことを明示的にした。

浄水器の話になって、家では水道水をそのまま飲んでいると同期が言うので、それはやめたほうがいいと別の同期が言い、取り付け式のフィルターみたいなのをつければと言ったら、どういう仕組みなんと言われた。わからんけどなにかを通してるということはいいことなんじゃないと言うと、味変わるんと言われた。同期が、チキチキやる? 格付けチェック的にやってみる? と言った。チキチキはガキ使の意味で使われたらしかったが、僕はそれを知らなかった。まぁでも美味いけどねと言ったら、いやどうなん? プラシーボ的な? と言った。

鼻をかんで、ゴミ箱にかんだティッシュを投げようと思い、これは距離が足りなくなりそうと思って強めに投げたらオーバーするパターンだと思って投げたら距離が足りなかった。

しばらく、各自の席で各自の時間を過ごした。教科書を読んでいたが、遠くの話し声が気になって同じ行を30回くらい繰り返した。

夕方になり、同期といっしょにお疲れ様ですと言って部屋を出た。外に出てから、なんであんなおもろい話ポンポンでてくんねやろ、例外なくぜんぶおもろかった、おもろすぎやろと話して別れた。

帰り道、商店街を歩いていたら制服警察官が前から10人くらい歩いてきた。春の全国交通安全運動でパトロールのほう実施させていただいておりますみなさまご協力のほうよろしくお願いしますと繰り返していた。少し逸れたところからその様子を写真に収めている制服警察官がいた。家に帰ってひと眠りしようと思ったが、髪を切ってもらいながら寝ればいいやと思った。

家に帰ったらもう外に出たくなくなってきて、これは家の居心地がよすぎるからだと思ったが、家の居心地がいいことはいいことだと思った。

店に入ると、前に担当してもらった人と同じ人がついた。前来たとき、よろしいですかと問われて大丈夫ですと返したらどっちの大丈夫ですかと言われたことがあったから、今日は気をつけなければと思った。眼鏡をお借りしますと眼鏡入れを差し出されたのでありがとうございますと言った。荷物入れを提示されたのでありませんと言った。髪型はどうされますかと言われたので普段通りの髪型を指定した。けっこうさっぱりいきますがよろしいですかと言われたので、はいお願いしますと言った。

目を閉じてもなかなか寝付けず、考えごとをしていた。歯磨きとか洗い物とか洗濯とか散髪とか、そういうマイナスをゼロに戻す行為は生活を縛るもので面倒なのだが、その間はたしかにそれをやっているのであり、じゃあ何をやっていても許されるはずで、今だって快適に懐メロを聴いているんだし、耳のバリカンの音で鳥肌が立つことを気持ちいいと思ってもいいわけで、そう言う意味ではマイナスがあるからこそ、かえってやりたい放題できるのであって、つまりは束縛が動かすんだと思った。

担当変わります、顔剃りをしますと言われ、あっはいと答えた。眉毛の間も剃ってよろしいですかと言われたので、あっお願いしますと答えた。驚いてもいないのに驚いたみたいに「あっ」と言うのをやめたいと思った。熱いタオルが被せられた後になにかを塗りたくっている感じがあり、首の周りは毎度ながらこしょばしいと思った。顔剃りという名前は怖いから改名してほしいと思った。

家に帰って、しばしひと休みしようと思った。急須で温かい番茶を入れて、西村堂の清水羊羹を食べた。中学校の同級生が僕と同時期にnoteを始めていて、今日更新された日記を番茶を飲みながら読んだ。飛ばすなあと笑った。

インスタのDMに彼女からの返事が来ていて、note全部読みましたと言われたので、僕も全部読んでますと言った。

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