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【映画感想】オッペンハイマー【ネタバレなし】

総括

「オッペンハイマー」観た!
久しぶりに、感情と思考が全部映画に持っていかれた作品でした。
中盤のあるシーンでは、呼吸が深くなり、内臓が体の下に下に落ちていくような嫌悪感を抱いたのは本当にびっくりした。
色んな方向に脱線してしまいそうなところをうまく人物に焦点を当てて仕上げた見事な作品でした。

感想

今作は、物理学者ロバート・オッペンハイマーの伝記映画。
監督は、「ダークナイト」「TENET」のクリストファー・ノーラン監督。
俳優陣が凄まじく豪華でびっくりしちゃった。
ストーリーは物理学者であるオッペンハイマーが、原子爆弾を作るかに至るかを語りつつも、作ったことによる後の事件等を色々を織り交ぜながら語る伝記映画です。

まず何と言っても見事なのは映像。
揺れとダストとノイズ。終始散りばめられていて鮮やかな綺麗さのときもあれば、視界を歪ます汚れのような役割も果たして、どういう脳みそがあったら作品につなぎ込められるのか意味わからん仕上がりになっています。
そして、時系列はバラバラで色々な場面が映るけれど、うまく前半と後半で伏線やミスリードであったり対比になるようにうまく出来てるのよ。
前半はサクセスもの、後半はサスペンス風というか1つの作品ながらいろいろなジャンルを楽しめるような作りになっていたね。
個人的には中盤。
あの中盤の描き方は思考を完全に持っていかれたね。
主人公と同じように、思考だけが冷えていく感覚。
自分は深呼吸をするように呼吸が深くなって、ぐぐとん内臓が下がるような憎悪・・とまでは行かないんだけどどうしても受け入れられない嫌悪感が体に生じたのは本当にびっくりしたんだよね。
被爆国に住んでるからこそ・・・深くなにか感じた可能性ももちろんあるのかもしれないが、そうじゃなくてもこの脳天気な民衆というか"アメリカ"という国に住む人物たちに対して凄まじく意地悪な描写をしてるんだよね。
その代表格みたいな役をロバート・ダウニー・ジュニアがやってるのはあまりにぴったり過ぎるし適役過ぎたとおもう。
アカデミー賞の振る舞いもむしろ、役の造詣が深いからこそあそこの場でもやったんじゃないかと勘ぐるレベル。
全体を通して、どんな形にしろ”力”という物を手にしたら使いたくなり、”使う理由”はいくらでも観ないふりをして作り出せるということをフェアに語っているのは素晴らしかったな。

音の使い方、エグかったね。
音楽の素晴らしさもあるんだけど、無音と轟音の強弱がえぐい。
この作品は間違いなくIMAXで観た方がいい。
体に浴びせた方がいい。
情報量が絶対的に変わります。

俳優陣もエグかったね。
主役のキリアン・マーフィーはいわずもがなだけど、フローレンス・ピューとエミリー・ブラントの素晴らしさはマジで光ってた。
てか、脇に添えてる俳優陣もエグいのよ・・・ジョシュ・ハートネットはイケオジになってるのびっくりしたしケネス・ブラナーが全体を引き締めたしケイシー・アフレックとデイン・デハーンの感じもマジで最高だった。
あとはゲイリー・オールドマンこの間、チャーチルやったとおもったらトルーマンもやるんかい!!!
俳優陣は他にもアホほど有名な人が出てて、それも含め全体の説得力がエグすぎ。

そんなわけで、素晴らしい作品でした。
日本としては、原爆に対してもっと深く描写してほしいと思う人もいるかも知れないが、日本人じゃないからこその無頓着さも含め素晴らしく描画できていたと自分は思います。
あとは、しっかり興味をもったひとがいたのならば掘り下げられる描写も多く内包していたしね。
いうて、日本の劇場で観終わったあと大声でおもしろかったー!って言うやつがいたんだもん。多分、語り方はコレであってたとおもうんよね。
面白ければ広まるし、より多くこの作品を目にする人が増えるってことの方が意義があると思えて仕方ないな。
ただ、バービーとコラボしたマーケティングした海外のやつらだけは反省しろ。

以上おもろかったです!
是非劇場で!IMAXで観たほうがいいぞ!!!

(78点/100点満点中)

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