『寒空』。

初雪が窓の向こうを落ちていって、「あ...」とテーブルを挟んだ男子に目を向けると、全く気付かずになにやら思いつめていた。外を見てもらいたいのに、ひと言が言えず、押し黙り季節が移ろってゆく。時間が過ぎてゆく。声が出ず、テーブルの上を数センチ指を這わせたけれど、外を見ると落ちて来るものはすでに無かった。

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