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熟れすぎた闇

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いかなる確かな約束も無く、日々、陽は沈み続ける。
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2015年11月の記事一覧

ひとり

学生の頃の話。
バイト先の店は駅の近くで、いつも京浜東北線を降りると真っ直ぐ店に出向いていた。発注を任されていたためだ。毎日、日が落ちた頃。

デジタルの計りを出して半端な小物の重さを計っていく。1個あたりの重さは決まっているのだから個数が出る。そして何個の余裕があれば安心していられるか決めておけば、ぱっぱっと数字が出てくる。だから月末の棚卸しも毎日の作業とさほど変わりはなかった。

そこで働き始

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電話の話かな

まあ、なんていうか、人に話しかけられやすい。またはそういう状況を作るのが得意なのかも知れない。自転車を抜き出してあげたり、魚釣りをしている少年に流れの読み方を教えてあげたり、電車の切符を買おうとして悩んでいる異国人のとなりに突っ立っていたり。前回ここに書いた痴漢されてた女の子の件も似たようなものかな。
長年、僕は人が嫌いだと言っていた時期があるが、実はある程度なら、好きだ。
しかしそこには一線が引

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