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熟れすぎた闇

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いかなる確かな約束も無く、日々、陽は沈み続ける。
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2014年4月の記事一覧

雨水を溜めた足跡(投げ銭)

この心に描かれるものは何もない。僕はその場に至った理由を内にも外にも探していたけど、何も見つけられずにいた。この写真を撮る前年、新卒から1年半しか在籍しなかった正社員の仕事を辞めていた。

形あるものがその場に置かれ、そこにそれらしきものがあると認識する。それなら僕が社会の中である場に居て(または、置かれ)、僕は肌を洗う風や陽の存在で、そして何より自分の意識が僕をある場に存在すると認識させるけど、

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陽の翳り(投げ銭)

この部屋に住み始めてどれだけの時間がたったのだろう。と頭をよぎった。

傾きかけた陽を目で追い、それから目をうつした部屋の中は薄暗く、世界を構成している様々な要素で満たされていた。紙に印刷されたもの、データファイルで受け取ったもの、それらの中に『要素』があり、床に積もり事実上失われたものもある。ハードディスク上に存在しているが、その所在を意識していなければ、床に積もっている紙に染みたインクと同じよ

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陽の翳り その2(投げ銭)

https://note.mu/agi/n/n04590d72768b の続き。数日後。

匂う布団の中で、汗と湿気が不快に思った。 女の匂いはすっかり消えていた。

陽が沈みかけ、隣の白い壁を赤く照らし、部屋の隅々は黒い空間がはびこっていた。仲良くやってきたつもりが、その闇も不快だ。それを見てるとますます自分に価値が無いように思えてしまう、、、。実際そうなのかもしれないが。

腹が空いた。2日ぶ

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落ちる陽の向こう

落ちる陽の向こう

不安を抱かないか?

この陽が沈んだあとの世界。

陽はいつでもどこかを照らしている。確かにそうだ。しかし陽の姿を見て、その向こうを想像するのと同時に、その赤い色は僕達の影を貫き、その夜人の中で何に化けるかわからない足あとを残していった。

明日は来るのか。

今日までの自分を投影した連続体として慣れ親しんだ人と向き合えるのか。

目を瞑り、眠りをむかえる今も時間は流れ続けている。明日らしきものが

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この瞬間にも、都市の上にも、ダイナミズムがそこにある。

カメラを手に河川敷をたらーりたらーり歩いていたら、ん?。
川の匂いが違う。満ちていて、きっと川底を海水が駆け上がっているだろうけど、いつもと違う。青臭さの中の、潮の匂いがいつもより強い。iPhoneで調べてみる。

満月は明日かー。

雨がやんだ夕方。4月のはじめ。

雨がやんだ夕方。4月のはじめ。

その日の昼前、目が覚めると温く湿ったにおいが部屋の中いっぱいに浸入していた。見ずともわかるけど、カーテンの隙間から外を見るとアパートの前の平屋の屋根が濡れている。耳を澄ますと雨音も、湿ってシンと静まり返った部屋の中を満たしていた。嫌な夢の中での落下のように、体を成す支えを急激に失った。

布団をかぶり、雨の上がりを待った。

夕方近く、静けさの意味が変わってた。

鬱や風邪でつらい時の重みを布団の

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