「強いポケモン 弱いポケモン そんなの」残念ながらある

(先に書いておけば、このノートは無料で全て読める)

わたしは非常に気まぐれな人間である。ということは前述したとおりであるのだが、人とはとかく分からない生き物なもので、こうして3つ目のノートを書くなんてことが起こっている。そもそもこのノートの数え方が個数で良いのか、ということは甚だ疑問なところであるが、まあそれは置いておくとして。

10月のエクストラバトルの日では悔しい結果に終わったわたしは、11月に向けて再スタートを切ることにした。デッキ選択ももちろんであるが、やはり考えているところは「ポケモンカードにおける強いカード」である。

得てして、TCGと呼ばれる分野は新商品の発売前に、収録カードの内容を少しずつ公開していく。わたしたちカードゲームプレイヤーは、その情報を見てはやれ「強い」だのやれ「弱い」だのやれ「可愛い」だのと好き放題食べ放題飲み放題言い散らかすわけである。わたしは食べ飲み放題がよく使われる宴会の場において平然と店を汚していく輩が許せない。余談だが。

さて、ポケモンカードも例に漏れずカード公開を行っている。そうでなくても、わたしのような初心者プレイヤーであれば、初めて目の当たりにするカードも多くあるだろう。そして、言うのである。

「このカードは強いの……?」

前に、ポケモンカードはアドバンテージやデッキ構築の概念がぶっ壊れていると話したことがある。よくカードゲームプレイヤーの間でネタにされるのが「オーキド博士」や「プラターヌ博士」だろう。「遊☆戯☆王」という国内で覇権を握りしめるカードゲームにおいては、「山札からカードを2枚引く」というテキストが長らく禁止されていた。先に挙げた博士達は7枚引く。意味が分からない。

またポケモンカードでは、いわゆる「マナ」の概念がデッキ内に含まれる。かの世界的覇権TCGの「MTG」が用いている手法だ。が、これはデッキ構築やプレイングの難度を高め、事故率を上昇させるものでもある。無論、それだけプレイヤーの実力の差が生まれる要素でもあり、だからこそ競技として行われる「MTG」に採用されているのである。日本国内のオリジナルカードゲームには、ほとんど採用されていない。理由は単純だ。難しいのは流行らないのである。
ところが、ポケモンカードにはエネルギーがある。なぜよりにもよってそこを踏襲したのか。まあ、このおかげで面白くなっているのも事実であるが。

なぜこんなにもエネルギーについて語ったのか。当然、このシステムがカード評価に大きな影響を及ぼしているからである。
たとえば、次のようなわざがあったとしよう。

『相手のバトルポケモンをきぜつさせる。このわざはお互いのポケモンにかかっている効果を計算しない。』

HPが100だろうが300だろうが1億だろうが無敵テキストを持っていようが、一切合切関係なく問答無用でやっつける最強わざである。このわざのテキストを読んで「よわっ!」というプレイヤーはただの天の邪鬼か嘘をつかないと死ぬ呪いにかかっているかのどちらかだろう。ピノキオの逆タイプ。ただし、エネルギーの概念が無ければ、である。

さて、この最強わざを使うために必要なエネルギーが、基本闘エネルギー50個だとしたらどうであろうか。ポケモンカードのデッキ枚数は60枚。そのうち5/6をエネルギーが占めるというデメリットをもってして、このわざを果たして強いと思うだろうか。わたしなら、これを使うぐらいならはねる。
仮に20個でいいと言われてもわたしは使わない。

では条件を変えて、エネルギーが3個で使えるわざだったとしたらどうであろう。さすがに最強であると言わざるを得ない。3個ぐらいどうとでもなるし、それに対する効果があまりにも大きい。

また、エネルギーの色によっても評価が変わってくる。闘は現状、エネルギーを加速する手段に乏しいので3個でもやや厳しいが、炎ならば一瞬でつけられる。もはや無いも同然。これが貧富の格差というものか。とはいえ、これはカード単体での評価ではないので、今は考えないことにしよう。

とまあこんな具合に、わざの評価は、エネルギーの用意のしやすさと表裏一体となっているのである。エネルギー60個で特殊勝利できるわざは、エネルギー10個で10ダメージを与えるわざよりも弱い。そもそも宣言できないわざなど、何も書いてないのと同じなのである。

ここまでがわざの評価だ。わざというからには使い手がいる。ポケモンカードにおいて主役とも言える存在、ポケモンである。実はわざ単体での評価はあまり大きな意味を為さない。そのわざを使うポケモンの情報も含めて、1枚のカードとして評価されるのである。

ポケモンの情報には、ざっくりと次のようなものがある。

・名前
・タイプ
・進化状態
・弱点
・抵抗力
・にげる
・HP
・特性(等の特殊な効果)
・特殊ルール(GXなど)適応か否か

進化状態はポケモンの場への出しやすさを、にげるは場の整えやすさを、HPはポケモンの場もちの良さを表す。弱点や抵抗力やタイプもその1種であるが、これは他のカードも含めての評価材料となるため、単体評価を行っている今は考慮しない。特別なサポートカードがある場合もあり、実は名前も大切な評価項目の1つであるが、これも単体評価には適していないので考慮外。
よって、単体評価を行ううえで重要な要素は、

・進化状態
・にげる
・HP
・特性
・特殊ルール適応か否か

の5つとなる。
これまで同様、様々なサポートなどを考慮しないのであれば、進化する回数が少なく、にげるエネルギーが少なく、HPが多くて、強力な特性をもっているポケモンが強い、ということになる。
そのため、たねポケモンであり、HPが多く、強力な特性をもっていることもあるTag teamのポケモンが評価されているのである。なるほど、理にかなっていた。

これらポケモンの情報とわざの評価が混ざりあい、1枚のカードの評価が決定される。

先ほどの最強わざをもったポケモンがいたとしよう。ところがこのポケモン、2進化なうえにHPは30しかない。さて、みなさんならこいつを使うだろうか。わたしはパックから出てきた瞬間に段ボールにしまうだろう。HP30しかない2進化ポケモンなど、要求エネルギーを用意する前に倒されて終わりだ。

場への出しやすさ、場もちの良さが悪ければ悪いほど、もっているわざはエネルギー要求が少ないながらに効果が高い=コスパが高い必要がある。
逆に、せっかく用意した高HPの2進化ポケモンが、1エネしか要求しない低効果のわざしかもっていなかったらどうだろうか。弱くはないのだろうが……。

はてさて、なんだかずいぶんと長々と、秋の夜長のごとく話をしていたように感じるが、ざっくりと畳む方向に入っていくとしよう。

強いポケモンというのは、すなわち、わざのコストパフォーマンスとポケモンの情報とが相性よく合致しているポケモン、ということになる。
というより、やっぱり誰でも考えてしまう最強のポケモンというものは、

・たねポケモン
・高HP
・にげるがない
・要求エネルギーが少なく多くのポケモンをワンパンできるわざ
・非GX

そんなポケモンが生まれたときには……。
果たして、わたしや君はポケモンカードを続けているのだろうか?
現実には、各要素がトレードオフの関係になっている。先述したTag teamはたねポケモンで高HPで優秀な特性やわざをもっているが、きぜつするとサイドを3枚取られる。わざの要求エネルギーも多めに設定されがちだ。

ここから先の評価は君次第、環境次第、式次第。カード単体での評価はこのあたりで頭打ちとなる。

実際は、各要素ごとのサポート手段や今流行りのデッキタイプなどによって評価が左右されるものであるが、その根幹には単体での評価がある。
どうか、このノートによってひとりでも多くのポケカ初心者が、今日のカードを楽しめるようにならんことを。

余談。
こんなにもポケモンの評価に時間を掛けるとは思ってもいなかった。トレーナーズについての評価は、また次の機会に。そんな機会があればであるが。

なお、このノートは投げ銭形式にしてみてある。もし銭を投げる価値を感じてくれたのなら、ぜひともお願いしたい。もちろんわたしだってお金が欲しい。それはそれは欲しい。世界で1番欲しい。

あなたが投げつけたその銭が、わたしのアセロラに変わる日がやってきますように。

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