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巡禮セレクション 30

2013年11月08日(金)

あの時、馬はいなかった。

 
3世紀前半から中期にかけての日本について記述した
『魏志倭人伝』では
「倭国には牛・馬・虎・豹・羊・鵲はいない」
と記述されています。

この記述は案外、重要だと思います。

考古学的にも4世紀から、いわゆる古墳時代からしか馬の存在が確認できていません。

にもかかわらず、

神武天皇が龍石という馬に乗っていたとか、
垂仁天皇の時代に野見宿禰が馬の埴輪を作ったとか、
ヤマトタケルも東征に際して馬に乗っていたとか、
神功皇后が三韓征伐の時、降伏した新羅王が自ら馬飼いになる事を申し出て、鞭や馬の手入れに使う刷毛や櫛の献上を誓った。
といった伝承が存在する。

普通に考えれば、これらの記述は古墳時代以降の話ということになります。

前に神々の時代は、弥生時代。
天皇の時代は、古墳時代と書きましたが、これからも実証されると思います。


しかしながら、
スサノオが、天照大神の居た忌服屋の棟を穿ち、逆剥ぎにした天斑馬を投げ込んで機織女が死んだと神話は伝えます。

天斑馬とは、調べてみると縞馬のことらしいです。
が、まずシマウマは日本に居ないでしょう。
シマウマに似ているのは、馬よりロバですが、
不思議と中国に居るロバは日本ではほとんど飼育されていません。
これは、日本畜産史の謎とまでいわれているようです。

考えられるのは、マダラ模様の馬ですが、
馬は古墳時代以降でスサノオの時代とは合いません。

そうすると可能性があるのは、
・スサノオの時代は古墳時代だった。
・天斑馬は馬ではない。
・魏志倭人伝の記述は正しくない。
・この神話は日本のものではない。
といったところになるでしょうか?

スサノオが古墳時代の人だとするといろいろ問題が出てきそうです。
斑馬が馬でないとすると牛や羊も居なかったということなので、何なのかわかりません。
狐や狸、狼が実状なのかもしれませんね。
倭人伝の記述は考古学的にも合致しているので疑えないです。
最後に、この神話が日本のものでないとすると・・・
ちょっとやっかいです。
なぜなら、この話は天照神話のクライマックス、岩戸隠れの原因でありそこに繋がるわけですから、岩戸隠れ自体も日本の話でなくなる可能性が高くなります。

そうすると岩戸オールスターズというべきアメノウズメ、タジカラオ、オモイカネ、コヤネ、フトダマ・・・etcは、外国の神々になり、なおやっかいなのは、それらの神々の子孫を名乗る古代豪族が日本を支配していたからです。

答えは解りませんが、
馬が居るのと居ないのとでは大きな違いがあると思います。

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