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光の邑の住民たち 5

4日目の午後に営業所の所長と連絡がとれました。3日ぶりになります。単身赴任の所長は、あれからずっと営業所に寝泊まりしていたそうです。停電の自宅より自家発電のある営業所のほうが、生活しやすかったそうです。一度だけ、食料と着換えを取りに家に帰られたそうです。やはり、道路を封鎖されている箇所があったそうです。しかし、こちらは、まだましなようで、本社からの話では、東京は、かなり混乱しているようで、戒厳令のように強制的に自宅待機を命じられたそうです。中には、帰宅できない社員もいたようです。町は自衛隊が占拠し、ところによると在日アメリカ軍の姿もあったそうです。なんとも物々しい3日間だったようです。そして、交戦しているかのような銃声が聞こえた場所もあったようです。ただ、こちらと同じように情報は一切入ってこなかったようです。そして、今も町は、ロックダウン状態にあるようです。そんなわけで、まだ出勤はできず、自宅待機を命じられました。僕は、こんな時でもお客様と約束した納期の事を心配していました。

夕方になると妻が勤務先の病院から帰宅してきました。町の様子を聞くと、どの店も閉められていて、買い物もできない状態だそうです。冷蔵庫の食材もすでに無く、レトルトと缶詰、そしてパスタを食べて過ごしました。3日ぶりに灯りが戻った夜は、少しリラックスした気分も味わえました。

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