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巡禮セレクション 16

2014年04月05日(土)

生と死の女神4 大地母神

生と死の女神4-1

生と死の女神4-2

生と死の女神4-3


土偶というと、縄文時代、そして遮光器土偶を思い浮かべますが、遮光器土偶というのは縄文晩期の作品です。
それ以前の土偶は・・・まあ、遮光器土偶も変わっていますが、ほんと、けったいなデザインの土偶ばかりです。
おそらく、それらの土偶は神や精霊をデザインしていたのではなかいか・・・と思いますが、
その中でも、豊満な女性の姿は目につきます。
大概は、胸や臀部、そして女性特有の体系を強調したスタイルとなっています。

古代においては、父権制ではなく、母権制の社会だったのだと思います。
母性や女神信仰がその中心だったのではないか・・・と思います。
それは、母は、恵みの神であるからです。

古代、最も原初の信仰として、父神とは天空神だったのだと思います。
天空神とは、
「宇宙の創造以外には積極的な役割を果たさない。人間の生活と関わりを持つことも少ないとされるので、至高の存在として知られながらも、礼拝を捧げられる事が少ない。このような天空神の性質は「暇な神」(デウス・オティオースス)として知られる。」

父神、天空神とは存在するだけで何もしない神だったわけで、いくら天空神に祈りを捧げても結果、効果はないわけです。

反して、母神は、大地母神として人間を育てる神です。
それゆえ古代の人は、この母神を信仰、崇拝したわけです。
僕は、最古の信仰はこの母神から始まったのだと考えています。
そして、人間社会が変容し、そこから人間の自立というか意識の向上を目指した子神の信仰が芽生えたのだと思います。

地母神について詳しく書こうかと思いましたが、これはネットを検索すれば簡単に調べられますし、世界各地の信仰であり纏めるのは、その広がりを簡略しすぎる危険性もあるので、止めておきます。
おそらく、母神への信仰は、一人一人が追い求め、自分なりの母神とのつながりを見出さなければいけないのだと思います。


大地母神は、大慈母神でもあるのだと思います。
人間やこの地球の生物に生命の糧を恵み、育む神です。
この母神は、山神であり、海神であり、川神であり、
また、大地の神であり、それゆえ地震や災害の神でもあります。

そして、それらの自然から豊穣をもたらす女神でもあります。
おそらく、この豊穣という生命の実りは、異界からもたらされると古代の人は考えたのだと思います。

川は山から流れ、山に住む猪や鹿、熊などの生物は、異界から齎せる神からの恵みであり、
山の果実などの幸、また海の幸、これらも山の彼方や海の彼方という異界からやってくるものと考えたのだと思います。

それらの神とは、ワタル神なわけです。
ゆえに、大山祇神は、ワタシの神と呼ばれ、海神はワタツミと呼ばれたのだと思います。
大山祇神と大綿津見神が、ワタシの神として同神だとされるのは、元がこの大地母神なのだと思います。
そして、ワタル神とは、異界から、この世に渡り来る神です。


穀物等の農作物も、その実りは異界から齎されると考えられていたのだと思います。
それは、太陽や水、そして月のサイクルに支配されていました。
太陽は、夕に沈み、朝に生まれる。
月は、望と朔のサイクルにより生まれ死にその形を変えていきます。
恵みの雨は、大気のサイクルであり、山に降った水は源流となり再生します。

これら地上から見る現象が大地母神の働きであり異界という理解不能な世界の賜物だと考えたのだと思います。

ゆえに、水神、山神そして月神は女神であり大地母神の現れになるわけです。
そして、各地域、各環境に生きる人々の対象によってその女神の特徴が細分化されたのだと思います。


日本の大地母神というとイザナミになります。
しかし、日本には水の女神がたくさんいて、それらもまた、大地母神の表れなのだと思います。
瀬織津姫もその元は、大地母神であり、ある時期のその水による祓えの性質という一面のみが信仰の対象として取り出されたのだと思います。

だからもう一つの大地母神であるアラハバキと同神であるともされているのだと思います。
ちなみに、仏教で大地母神にあたる神は・・・仏教に神という概念はないので、天になりますが、堅牢地神(けんろうじしん)という神になります。
「堅牢地神は、仏教における天部の神の1柱で大地を司る。通常は女神であるが密教では男神と一対とする。」

通常は女神なのですが、男神と女神の対神とされるというのは、日神月神のアラハバキ、または、クナトとの対神というのにも対応しています。

もしかすると、ウズメさんも同じなのかもしれませんね。

とにかく、古代の信仰を求め、埋もれた神を掘り起こし、縄文と女神をたよりにここまで辿り着きました。

八百万の神々に支配された日本の前に、女神、母神の信仰があったのだと思います。
たぶん、巡礼の終着地、信仰の底まではゴールしたような気がします。

その女神を黄泉の国においやり、岩戸の向こうへ押し込んだのが天岩戸の前で、よみがえりの儀式をした神々なのだと思います。


黄泉の国で、イザナギと対峙したイザナミの間には、大岩が立ちはだかっていました。これが道反の大神(ちがえしのおおかみ)です。
道反とは、地返であり反転を意味すると思います。
表の神を裏の神に反転するための支点、ポイントを司るのがこの神だと思います。

そして、大岩は、天岩戸でもあると思います。
大地母神は、殺され岩屋という黄泉の世界に追いやられます。
その原因は、スサノオという自然の暴挙性でした。
そして岩戸に集いし神々によって、喜びと笑いに呼び寄せられる吉の神、晴れの神、天照大御神が岩屋から再生されるのです。

天照大御神というのは、この岩戸オールスターズによって作られた女神です。
もしかすると、ウズメさんも元々は地神でありながら、天津神により、マインドコントロール・・・極端な話、女神のパワーを残しながら巫女として改造された女性なのではないか・・・という気がします。

さらに妄想をたくましくするなら、ウズメの魂は岩屋へ封印され、肉体のみがウズメとして残されたなんていうことを考えてしまいます。
この封印された魂こそがイザナミであるなら、サルタヒコはイザナギということになってしまいます。
まあ、今はここまで展開するのは危険ですが、
ヒントは、ダブルスパイラルにあると思います。

生と死の女神4-4


片方のウズから生まれ、もう片方のウズへ向い死を迎えるという意味で、世界各地でこの紋様は見かけられます。

生と死の女神4-5

生と死の女神4-6


この模様は渦目(ウズメ)ですよね。
ウズメとは、この生と死によってなりたっているのかもしれませんし、これは陰と陽を表します。
この両者がウズメとサルタの原型とするなら、サルタヒコとウズメは、夫婦ではなく表裏一体ということになります。

そして、これが白神であり、もしかすると隠された神なのかもしれませんね。

さて、これで八百万の神々、日本を作り変えた神々というか、日本を作った神々以前の女神がよみがえりました。

次は、日本を作った神々というか・・・その神々の子孫である氏族によって日本は作られました。
その解明をする必要があるのかもしれません。
○○○さんも鬼渡神という、鬼界(異界)から渡ってくる神を追い、そして岩戸オールスターズをも追っているということです。

必要性は感じますが、それは再・道返を行うことであり、今まで信じていた善が悪に悪が善に変化する可能性もあります。
それには、善悪の二元性と両極端を超えた第三のポイントの作成が必要だと思います。
二つ巴から三つ巴の関係性。

和合というのは、白と黒を混ぜて灰色をつくることではなく、白と黒でバランスよく補い合った絵を描くことだと思います。
絵画が、優れているのは、様々な色を使いながら一つの風景や世界を描いているからであり、そこには無駄な色や干渉する色が存在しないからです。


これから、どうなるのかわかりませんが、
ここは一つのゴールであり、一つのスタートかもしれませんね。
それが死と生のサイクルなのです。


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