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パッショネイト・キス・オブ・パニッシュメント, ライク・ザ・インフェルノ(その1)

◆はじめに◆

この記事は、ニンジャスレイヤーTRPGのソロアドベンチャーをプレイしたものを纏めたものです。

今回使用させていただくシナリオは、トラッシュ=サン『フリーランスニンジャ/非ニンジャ向けソロ・アドベンチャー「不審火の謎を追え」』です。この場でお礼申し上げます。

使用するニンジャに合わせて内容を改変する為に事前にシナリオに目を通しています。プレイリポートではありますが、完全初見ではございませんのでご了承ください。

◆今回使用するニンジャ◆

◆コクエン・モクモ(種別:ニンジャ)所属:鉄道会社
カラテ    3  体力   3
ニューロン  4  精神力  4
ワザマエ   3  脚力   2/N
ジツ(カトン) 2  万札   12
近接/射撃/機先/電脳  3/3/4/4
回避/側転/発動   4/3/4
   緊急回避ダイス  2
     即応ダイス  4

◇装備や特記事項
装備:チャカガン、フェイスガード、レガース
生い立ち:○手先が器用(錠前破り)
ジツ/スキル:✩カトン・ジツLV.2、◉シャープシューター、◉スリケン乱射
◉知識:鉄道(大型兵器)、◉知識:カチグミエリア、◉交渉:接客(卑屈)、◉知識:サラリマンの流儀

◆忍◆ニンジャ名鑑#XXXX【コクエン・モクモ】
本名:茂雲 黒煙
古めかしい旅客鉄道会社に勤務する機関車運転士の中年。職務は真面目にやっているようでこっそりサボっている。
ある日300万円を貰えるというチラシを見つけ、同様にチラシを見た大学生二(三)人と一緒に探索したが
それは卑劣なニンジャ・クランチの罠であった。クランチに捕食され命運尽きたと思われた時ニンジャソウルが憑依、
仲間と共に命からがら逃げ延びた。ニンジャソウル憑依後も生活は変わらず、
いつも通り会社で寝泊まりしながら機関車を運転している。◆卓◆

前回のシナリオでの余暇2日は丸々ジツトレーニングに充て、ジツ2に上昇させる事が出来ました。中心点のダメージがd3となり、火力も一気に伸びてこの能力値帯では強力な武器となりました。

今回は駅周辺で起こった不審火の謎を追うようです。カラダニキヲツケテネ!

◆オープニング◆

重金属酸性雨降り注ぐネオサイタマの朝はいつも通り、天球にグレーのペンキを溢したような曇天であった。窓の外からピシャピシャと叩きつける雨音は、駅の仮眠室のベッドでソクシンブツめいて眠るコクエンの耳には届かない。相変わらずの過酷な労働であり、いびきすらかかず眠りこんでいた。

コクエンの隣のベッドで寝転がりながら業務用IRC端末を操作しているのは、ヒビク・キテキ社若手社員のブラスダだ。ブラスダが大口を開けて欠伸をすると、ふと仮眠室のドアが開いた。入ってきたのは休み明けの同僚フレダであった。「オハヨ」「オハヨ」互いにラフなアイサツを交わし、フレダはブラスダのベッドの隣にPVC椅子を置いて座った。

「なあブラスダ=サン。この間紹介された『パワー・チャン』なんだがよ、仕事終わりに行ってみたら事件現場になってたぜ。マンションの所に人だかりが出来てて、マッポとかデッカーまでいたな。」

「マ?」「マだぜ。聞こえた話だと、シアツ師が部屋の中で干からびて死んでたんだとよ。部屋の中も荒らされてて、天井に付くくらいの焦げ跡もあったらしいし……ちょっとコワイじゃねえか?」「んなことあんのか、誰かから恨みでも買ってたのかな?」「さあ?」

無論、フレダとブラスダはニンジャの存在を知らない。あの夜、パワー・チャンを乗っ取った邪悪なシアツ師ニンジャイビルヒーラーと、客として訪れたもう1人のニンジャが熾烈なイクサを繰り広げていた。その客として訪れたニンジャというのが、ブラスダの隣で微動だにせず眠るコクエンである事も。

コクエンがイクサに敗北していれば、イビルヒーラーはそのままシアツ・マッサージと称してエネルギー吸収殺人行為を続け、フレダもその犠牲となっていただろう。コクエンはフレダを間接的にニンジャの危機から救っていたことにはなるが、両者ともそれを知る由も、知る必要もない。

やがて話題は違うシアツ・マッサージ店へと移り、程よく談笑を切り上げて2人は仮眠室から持ち場へと向かった。それから1時間が経過した頃、コクエンはようやく重たい瞼を開いて起床、唸りながら大きく背伸びをした。そのまま流れるように枕元に置いてあった充電済みの業務用IRC端末を起動させ、メールボックスを開く。水墨画カートゥーンのウサギとカメが『新規通知一件な』と書かれたマキモノを広げた。

メールの送信主はコクエンの勤務するスミビ駅の隣、キツネビ駅の長であるセメイだ。通達内容を要約すると、以下の通りになる。

◆要約◆
・深夜のキツネビ駅近辺にて、このところ内臓だけが焼かれた不審な焼死体が相次いで発見されている。
・このまま事件を放置すればキツネビ駅を利用する客足が大きく遠のき、ヒビク・キテキ社全体の売り上げにも関わってくる事が予想される。それを防ぐ為に事件が解決するまで(もしくはこれ以上被害が起こらなくなるまで)、当番制で武装した駅員や警備員が深夜にキツネビ駅周辺を見回る事に決定した。
・この件をNSPDにも相談したが、現段階では相手にしてくれないようだった。行方不明事件程度、ネオサイタマではチャメシ・インシデント(日常茶飯事)なのだ。

深夜の巡回には、キツネビ駅とその隣のスミビ駅の駅員が割り当てられている。添付されていたスケジュールファイルを開くと、本日の当番はコクエンだった。コクエンは肩を下ろすようにため息を吐いた。

「めんどくせえ事起こすイディオットがいやがんのかァ?」コクエンは端末をオフにしてシーツの上に放り投げ、のそのそと個室シャワールームに行き、日課である目覚めのシャワーを浴びた。制服に着替えた後は通常業務をこなし、やがて草木も眠るウシミツ・アワーを迎える。問題のキツネビ駅周辺の巡回時間だ。コクエンは防弾ジャケットを羽織っただけの簡素な武装で深夜のキツネビ駅へと降り立った。

◆ヨタモノの襲撃◆

妄◇🎲?<ドーモ、ドーモ。何やら大変なことが起こっていますね。あなたのニンジャはこの事件に巻き込まれてしまったようです。◇幻

妄◇🎲?<でも、大丈夫です。私があなたをナビしますから。私の名前はマインドロクメンタイ。私が何者かですって?ま、なんだっていいじゃないですか。わたしはここにいますよ◇幻

妄◇🎲?<肝心なのはあなたがキツネビ駅周辺のストリートにいること、そしてこの深夜に活動しているヨタモノはなにか手がかりを知っているかもしれないことです。友好的に話し合いができればそれでいいのですが……オット、彼はやる気のようですね。外様のあなたをカモだと思っています◇幻

「明日も通常業務があるっつーのに、何でこんなことやんなきゃいけねえんだ」コクエンは不満を垂れ流しながら、懐中電灯片手に治安の悪いストリートを1人彷徨っている。キツネビは知らない土地ではないが、あまり詳しくはない。そしてコクエンは気が付いていないが、その背後にボサボサとした赤髪のヨタモノが忍び寄っていた。手にはカマと木製バットを括り付けた自作の凶悪武器『カマバット』が握られている。

(警備員?にしては警棒も何も持ってない。そして俺はムテキの武器、カマバットを持っている。武器を持ってる俺に武器を持ってない奴が勝てる理由がない。つまりこいつはカモ重点!)
ヨタモノは顔に下卑た笑みを浮かべた後、コクエンの背後に急接近!
「アッヘヘ!死ねジジイ!」「何だ!?」コクエンは声に反応して後ろを振り向く!ヨタモノのカマバットの刃が、コクエンの心臓めがけて振り下ろされた!

妄◇🎲?<ヨタモノが振りかざしたカマバットをこともなく回避するなり受け止めるなりして、あなたのソンケイを見せつける他ないでしょう!回避ダイス個数分ダイスを振ってください。判定はニンジャであればNORMAL。◇幻

(4B6>=4)>2,2,2,1>成功数0 

妄◇🎲?<攻撃を回避できなかった場合、【体力】を1失います。◇幻

コクエン 体力3→2

「グワーッ!」ヨタモノのカマバットが防弾チョッキを貫通し、コクエンの左胸に浅く刺さった。「アッヘ!あったり―!」ヨタモノはこのまま心臓を突き刺そうと右手に力を込めるがしかし、カマバットは微塵も動かない。「ア、ア?」ヨタモノは動かないカマの刃の方を見た。「クソ、痛えじゃねえかァ……」コクエンが刃を二本指で摘まんでいる。そして指の力だけでヨタモノを押し返し、体から刃を引き抜いてしまった。

「え、ナンデ?俺ナンデ負けてるの?」常人ならば指先だけの力で押し込む力に対抗することは不可能。ヨタモノは目の前の警備員が常人でない事を察して冷や汗をかいたが、さらなる不可思議な現象がヨタモノの目に飛び込んだ。血の付いたカマ刃が突如超自然的赤熱融解、垂れてアスファルトを焦がしたのである!

ここで読者の皆様には種明かしをすると、コクエンはつまんだ部分を起点に、体内に循環する高温の熱エネルギーを刃に注ぎ込んだのである。しかしニンジャのジツをヨタモノなどが知る由もなし、NRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)を引き起こすには十分であったのだ!

「アイエエエエ!?ニンジャ、ニンジャナンデ!?」ヨタモノは反射的にカマバットから手を放し、尻もちをついてしめやかに失禁した。

◆インタビュー◆

妄◇🎲?<回避成功失敗を問わずあなたが生きてさえいれば、ヨタモノは自分がケンカを売る相手を間違えたことを察し委縮します。以下の判定でヨタモノらから情報を聞き出せます

・カラテでインタビュー:ニンジャ限定。🎲?<かんたんですよ!
・ニューロンを使い話術を駆使:🎲?<まんなかぐらいですかね
・ワザマエを見せ、格の違いを叩きこむ:🎲?<むつかしいかもしれません
◇幻

ニューロン判定
(4B6>=4)>6,6,1,2>成功数2
手がかりポイント:0→1

妄◇🎲?<ニューロンで言いくるめることを選んだあなたは難易度NORMAL。成功した場合、大人しくなったヨタモノらの感じた不審な出来事をピックアップします。手がかりポイントを1獲得です◇幻

「あ、アナタがこの辺で噂のふ、不審火の……!」「そいつは俺じゃねえ!」コクエンは猿めいて吼えた。「アイエッ、スミマセン!」「だがよ、俺ァそのせいで見回りするハメになってんだ。何か知ってんならさっさと話せ、今ちったァ機嫌が悪イ。」「アッハイ、話します。」

ヨタモノはNRSの症状が収まると、コクエンを見上げて恐る恐る喋り始めた。「今日もそこのストリートの奥で焼死体が見つかったんです。」ヨタモノは震えが止まらない右手で、己の後ろを指さした。「でもフ、フシギなんです。そこで火の手なんて上がってなかったんですから。」「火もねえのに焼死体が出来たってか?」「ハイ。」

ヨタモノは続けた。「火がないのに何で燃えたのかさっぱりだったんですが、あ、アナタを見て腑に落ちました。」「あ?」「もしかして不審火の犯人もアナタみたいなニンジャで、触った所を熱く出来る、それなら説明がつくなって……アッ、勝手にスミマセン。」「なるほど、ある意味俺の同業者の仕業って訳かい。」

妄◇🎲?<さあ、ヨタモノらが見た不審火の情報を追ってストリート裏の奥までどんどん行きましょう。手がかりポイントを集められなくても大丈夫、次がありますよ◇幻

「ア、アノ、情報は話しました。これで命は助けてくれますよね?」「おう。だが、こいつは没収だ。」コクエンはカマを失ったただの木製バットを拾い上げ、ジツを注いで消し炭にし、ヨタモノへと放り投げた。「お、俺のカマバットが……」「んじゃ、アバヨ」脆い炭の塊を手に茫然とするヨタモノ、コクエンはそれに背を向け、ストリートの奥へと歩みを進める。

◆……?◆

処理落ちしたUNIXのごとくフリーズしていたヨタモノは、重金属酸性雨の中でハッと我に返った。そして、放火魔の正体はニンジャではないかという自分の発言を思い出し、恐怖した。全身に鳥肌が立ち、震えるが、それは雨で体が冷えたからではない。NRSがぶり返そうとしているのだ。

(カマもバットもない、チャカを買う金もない。そこで放火魔ニンジャが俺に来たら?死ぬしかない……それは嫌だ!死にたくない!)「ま、ま、まま…」

「待って!」
ヨタモノの裏返った声はコクエンを呼び止めた。
「オネガイシマス、俺を置いてかないで!」コクエンは鬱陶しげに振り向き、ヨタモノを見下ろした。「何を急に女々しい事言いやがんだ?」「放火魔がニンジャだったら俺は死んじゃいます!」「知らねえ、自分で何とかしろ!」

「どうか、放火魔をアナタが何とかするまでご一緒に」「俺にした事覚えてんのかテメエ!?」コクエンのニンジャ存在感がヨタモノを威圧する!「ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!」殺意に当てられたヨタモノはドゲザして額をアスファルトに擦り付け、最上位の懇願!

「金輪際カツアゲとかしません!事件が終わったら工場で真面目に働きます!」「図々しい事言ってんじゃねえ、俺はブッダじゃねえんだぞこのガキが!」「アイエエエエ!?」コクエンは衝動的に、ジツが籠もった右手でヨタモノの顔を掴み上げる!怒りに満ちた双眸に、橙色の炎が燃える!

「アバ、バババ……!」ジツを注ぎ込まれたヨタモノの顔が、茹でダコめいて紅潮していく。ヨタモノは化け物を呼び止めた後悔と死の恐怖に、顔を紙クズめいてくしゃくしゃに歪ませた。「アイエエ、アイエエ……」涙、鼻水、涎、そして失禁。ただ体液を垂れ流し、か細い悲鳴をあげ、震えて怯えることしか出来ない。

ナムアミダブツ!ヨタモノにはここまでされる謂れがあったとは言え、謝罪してドゲザまでしている相手に対しあまりにも残虐な仕打ちである!ミイラ取りがミイラになったというミヤモト・マサシのコトワザのように、コクエンは現在追っている放火魔と同類の邪悪存在へと成り下がってしまうのか!?




しかし、おお、ブッダは起きていた!ヨタモノの恐怖に染まり切った顔を見たニンジャの表情はバツの悪そうなものへ変わり、瞳の炎はローソクの火を吹くようにして消えた。同時にヨタモノの顔の紅潮は引き、「分かった分かった、チクショ!」「アバッ!」コクエンはヨタモノを乱暴に突き離した。彼はヨタモノから向けられた極度の恐怖と怯えに気がつき、『やりすぎ』ていると我に返ったのだ。

「アバ……」「おいガキ、カマの傷の分はこれでおあいこだ。名前は?」「アツイ……エ?」「名前だ。一緒に来るっつーなら名を名乗りやがれ。」「ハ、ハイ。俺の名前はエンドー・タイマツです。」

Picrewの「熨的ガラの悪い男メーカー」でつくったよ!
https://picrew.me/share?cd=rAjYUyhxMB

「そうかい、アンタはエンドー=サンっつうのかい。」「ハイ」「俺ァモクモ・コクエン。コクエンって呼べ。」「コクエン=サン、短い間ですがヨロシクオネガイシマス!」エンドーは立ち上がり、オジギをした。「ヨロシク。そしたら顔を上げて、俺を現場に案内しろ。」「ハイヨロコンデー!」

◆ヨタモノの『エンドー・タイマツ』が仲間になった!◆



パッショネイト・キス・オブ・パニッシュメント, ライク・ザ・インフェルノ(その2)へ続く

◆忍◆ニンジャ名鑑#XXXX【エンドー・タイマツ】
本名:琰道 松明
キツネビ駅周辺に屯していたヨタモノ。今日は自作のカマバットを獲物にした狩りの初日であったが、見事に失敗した。武器を失って放火魔が怖くなりブザマに命乞いをした結果今度は見事に成功し、共に不審火の謎を追うことになる。◆卓◆

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