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ひとりもしあわせ

中学来の友人2人と串カツ屋さんへ。梅田の裏ビルの地下路地の奥の奥。ザ・大阪のディープな場所から一人旅関西弁が始まった。

店内は縦長で狭く薄暗い。客席はカウンターのみのディープ仕様。男女客や、おじさんがそれぞれに飲んだくれ、店主さんは常にお客さんと会話に花を咲かせている。雰囲気は申し分ない。流されるまたにまずは串盛りとビールを注文。懐かしい話や将来の話にこちらも花を咲かせ、会話も串カツも、まあ止まらない。

カツ、ホタテ、イカ、エビ、どれも濃厚な味わい。そして安い。コストパフォーマンスとはまさにこの事で、味や価格だけではなくて、雰囲気や体験、時間の共有を含めて、空間に満たされた。

若干二日酔いの翌日、友人に勧められたラーメン屋を求め、阪神電車に乗って六甲へ。駅に降り立つと、そこには梅田と打って変わって宅地開発された平穏な光景が広がっていた。

Googleマップを辿って目的地付近に着いた矢先、目に映ったのが「準備中」。少し落胆したが、せっかくの旅だし、見慣れない六甲の住宅でも街歩きしよう、そう思って駅に向かっていると、一つ路地を入ったところに銭湯を見つけた。

神戸は福岡から東京の西日本横断旅の途中であった。長旅で疲れていたし湯に浸かろう。受付のおばちゃんから塩サウナの誘惑。脱衣所で荷物を下ろし湯に浸かった。

湯船は42度くらいか。春先の少し肌寒い今日には丁度良い温度だ。旅の疲れだけが全て抜けていく感覚、飛びそうとはまさにこの事。そして極め付けは塩サウナである。狭い部屋を独り占めし、思う存分2往復し、湯を終えた。

体を整え着替えていると腹が減った。時刻は13時、昼ごはんの時間だ。併設の食堂でお昼でも食べよう。メニューは至ってシンプルな定食で、南蛮、蕎麦、天ぷら、唐揚げ、、、どれも美味しそうだ。

無性に唐揚げの気分だった為、唐揚げ定食を発券。斜め下に「生中」の文字。きっと合うに違いない。こちらも迷わず発券。普段しないことに挑戦できる事こそ一人旅の醍醐味である。

食堂はおばちゃんが一人で営んでいて、店内では阪神タイガースの試合が中継されている。思い思いにおっちゃんたちが昼間っからビール飲み、野球観戦していて平和だなあ。と思っていたら定食が到着。

隣にはレモンが添えてあった。そういえばYoutubeチャンネルの「岡田を追え!!」で、レモンの皮にはリモネンという成分が含まれていて、レモンの皮を下にして絞ると美味しいと言っていたのを、ふと思い出した。

普段、餃子のタレ等をあまり付けずに食事をするタイプなのだが、せっかくだし絞って食べてみた。

「なんだこれ美味しい。」唐揚げのジューシーさとレモンの酸味はこんなにも合うのか。最初にレモンを添えた人、そして岡ちゃんありがとう。

定食には、たくあんと、ごぼうの小鉢がついていた。これも美味しい。どこか実家のおばあちゃんの懐かしい味にも近かった。

ものの30分の話だったけど、時がゆっくり流れていて、こう自由に時間に浸れる、物事を素直に全身で味わえる時って貴重で幸せだし、一人旅って好きかもしれない。そう思えた関西でした。

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