しょぼい原動力【ドラゴンボールヒーローズ】
小学校時代の話になる。
今も稼働しているらしいが、当時ゲーセンにドラゴンボールヒーローズというゲームが置かれており、僕らの時はそのゲームに列ができる程の人気ぶりだった。
元々アーケードゲームが好きだった僕はガンバライドや名前こそ忘れたものの、ワンピース、ポケモン、ガンダム、トランスフォーマーなど浅く広く
色んなゲームを楽しんでいた。
そのなかでもドラゴンボールヒーローズは特に人気だった気がする。そして人気であればあるほど熱量を持った人も多かった。
ある日、いつもと同じようにドラゴンボールヒーローズで遊んでいるとバトルの中盤辺りから僕の後ろに7,8人の列ができていることに気が付いた。
僕はゲームセンターで遊ぶことは好きだが、他人にその様子を見られるのがとても恥ずかしかった。
メダルゲームで大当たりし下からジャラジャラメダルが湧くように出てきた時もそのジャラジャラという音をゲーセン中に響かせ、注目を集めてしまってる事実にめちゃくちゃ赤面したりしていた。
レアなカードをゲットし店内をニヤニヤしながら歩いているとそのカードを見た、自分より年下と思われる子どもが興味本位で僕を追いかけてきたのだが、その時も普通に半べそかきながら逃げ回っていた。というかこれは恥ずかしいよりも知らない人が前触れも無く近付いてくる怖さが際立った。
とにかくこのような性質を持ち合わせてた僕は少なくとも7,8人が自分の遊んでいる姿を注視している状況に当然、恥ずかしさを覚えた。
こうなってしまうともう僕は「早くバトルを終わらせないと!」っていうことしか頭にないわけである。ということで召喚していたカード5枚全てを1番奥のアタックエリアに配置し、
(アタックエリアとサポートエリアに分かれており、サポートエリアにカードを置くとそのキャラクターは気力を回復できる。アタックエリアに置いたキャラクターは攻撃をし、手前から奥にいくほどたくさん気力を消費するがその分攻撃も強くなっていったような気がする。あやふやです。)
早々に敵にとどめを刺した。
「よし、ようやくこの場から解放される!しかも勝てた!」
ほっと一息つきながら、その場から去ろうとした時だった。
A 「最後のターン、あれマジでないわ。」
B 「まぁいいんじゃね。勝てたし。」
列とすれ違いざまに、こう吐かれた。
背中がぞわっとした感覚は今でも覚えている。
娯楽でこんなことを言われるなんて考えてもいなかった。
今まではまだ良い注目の集まり方だったが今回のは完全に悪い集まり方だ。
身体をピンと伸ばして遠くを見ながら歩き、聞こえていないふりをする技をここで初めて習得した。
時間をかけて考える度にやはり段々と腹が立ってくる。
「聞こえるように言わなくてもいいだろ!」
「こっちは遊びだから!」
「なんならそっちも遊びだろ!」
「同じ括りにいるのに線引くなよ!」
「3年ぐらいしたらもうどうせやってないだろ!」
別にこれを機にドラゴンボールヒーローズをやらなくなったわけでもなければこれを機にドラゴンボールヒーローズを極めたわけでもない。
しかしよっぽど不満に感じたのか、まだこのようにまあまあ鮮明にあの時のことを書きだせる。
そして今になってこれが、日々の何かを精一杯頑張るための原動力に変わっている。
ただ1つ問題なのが、別にこの出来事程度では何も頑張れないということである。
消化できないまま胃にねばっとへばり付いている。
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