数理落語家自然対数乃亭吟遊のちょっとだけやらかした話
中学校のとき、スケート大会があった。
かわいい女の子から「リレーであたしが走っているときに『◯◯さん、がんばってー!』って応援してくれる?と言われた。
それは吟遊としてはもう、応援してくれるのである。今か今かと彼女の出番を待つ。
そしていよいよ、
『◯◯さん、がんばってー!』
やった!叫んだ。吟遊のいい声、届いたかなー。
・・・って思ったら、別の子でした。おでことか似ていてまちがっちった。やらかしたー。
そっから恥ずかしいのなんの。たぶん誰も聞いちゃいなかったと思う。もし彼女に聞こえていたら大事件なんであるが、それもたぶんないのである。
ないのであるが、本当に彼女が走る番になったとき、なんかバツが悪いというかなんというか。
あのときの意気込みやテンションはすっかり落ちてしまっているのであった。
時は過ぎ去り、故郷を後にした私も、帰ってくることになる。
風の便りで彼女が結婚したことなどを知る。彼女が働いている薬局の前を通るたび、ちょっとドキっとする。
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