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若槻千夏よ、永遠に

若槻千夏である。


彼女のインパクトは大きい。とにかく使えるアイドルというかタレントである。あまり一般に意識されていなかったが、かなりの長い期間若槻はバラエティを総なめしていた。たぶんほとんどの時間帯、どこかのチャンネルに出ていたであろう。芸人ではないのにきっちりボケられ、容赦ないツッコミもできる、まさにタレントである。


彼女を初めて認識したのは『笑っていいとも! 』に出ていたときだ。数名のグラビアアイドルとともにひな壇に出ていたのだが、他の子がおしとやかに話をする中、「わたし、胸とか大きくないんで、ほんと場違いですいません」とややキレ気味に、他のアイドルには敵わないという宣言をさっさとしてしまったのである。その一言で当然彼女は目立った。

所詮はいかに秀でるかの世界である。彼女はさっさと己がどうすれば秀でられるかという答えを割り出したのだ。かわいさなど横並びだ。若槻は激やせのスタイルが売りなので胸の大きさでは勝りようがない。ならば小さいということを逆手に取り、キャラクターを強烈にアピールしたのだ。


若槻はよくキレていた。初期の頃、芸人相手に「うるせえ、お前ら全員消えろ ! 」と言っていたのが新鮮であった。単なる不機嫌なら見下されるところだが、啖呵を切るなら讃えられる。彼女はそれを、ここぞというところでやってのけるタレントであった。毒づくときの言葉のセンスは、有吉が台頭するまではトップであっただろう。


私が注目していた若槻の魅力は、遊び方だ。彼女はプライベートでムシキングを、子供たちに混じってやっていた。また、公園で独自の鬼ごっこのようなことを考えては人と遊ぶことを楽しめる人であった。いっしょにいると、ぜったいに楽しいだろう。


そんな彼女の遊び心と言葉のセンスの最高傑作が、伝説的ブログ『麻婆豆腐は飲み物です。』である。当時芸能人は動画配信ではなく、ブログが大流行りであった。文章や写真で意外な才能を見せる有名人が多かったが、中でも若槻のブログはダントツの人気であった。わかりやすい言葉で、彼女の感性で捉えたものを、感情とユーモアたっぷりに述べられていた。

と同時に、彼女のガラスのような繊細さも垣間見得ていた。血のにじむようなブログであった。

だから最終回を迎え、「最後に、麻婆豆腐は食べ物です」と書かれたのを読んだときには泣いた。


他にも、途上国で売られていく女の子を自分で買って解放したこと、古着の買い付けに夢中になったこと、スカイツリーに店を出したこと、つきあっていた男性がいて妊娠したことをしばらく隠していたことを謝りながら告白したこと・・・みんな覚えている。派手にバラエティーを飾っていた時期もずっと悩みながらやっていたということも知った。


テレビをしばらく離れた若槻であったが、ママとなった後、しっかりと戻ってきた。頭の回転、口の回りはまったく健全であった。


若槻はファンに対し、どうせみんな次には木下優樹菜に流れるだろう、と言っていた。う、鋭い。好みを解ってらっしゃる。たしかにその前は榎本加奈子が好きでした。

消費されるキャラクターとして、彼女は自分のニッチェを理解しているのだろう。でも・・


私にとって永遠のアイドルは、若槻千夏です。



Ver.2.0 2022/4/11 言葉を少しだけ修正した。


#あなたのアイドル
#若槻千夏


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