マシュマロは焼くものです
こちらの企画に参加します。
マシュマロは焼くものだよねと日頃から言っていたのだが、同意する人がいなかった。え?焼かないのに、あんな味のもんわざわざ食べるの?
生のマシュマロ、そんなに好きではない。はじめて食べたのは幼稚園児のころだったかもしれない。なにかのおもちゃの中に、ほぼおまけとして入っていた。
そもそもマシュマロはあまり売っているお菓子でも食べられるお菓子でもなかった。今では簡単に買えたり、マシュマロを材料にしたお菓子などが手に入ったりするのかもしれないけれど。
おまけのマシュマロは、おいしいとは思わなかった。それほど甘くもなく、たくさん食べると魚のすり身のようだし、なんかちょっと気持ち悪かった。
それがマシュマロとのファーストコンタクトだ。
その後、「バレンタインデーでチョコレートをくれた人にホワイトデーでお返しをする際、嫌いな相手にはマシュマロを渡す」と言われるようになった。(ちなみに友達がチョコレートで、好きな人にはクッキーだったかな?)
そのときは「ああ、マシュマロってちょっと手に入れにくいけれど、おいしくないし、嫌いな相手に送るにはもっともだな」なんて思っていた。
マシュマロ・テストなんていう実験もあったな。子供たちの目の前にマシュマロを置いておいて、「食べちゃだめだよ。食べなかったら後で2個あげるよ」っていう厳しーいテスト。(こちらの動画がめちゃくちゃ可愛いからぜひ観て)
あれも、
「え?なんでマシュマロなんかがご褒美になるの?」
と思っておった。
(ちなみに食べずに我慢できた子は将来成功者になる、としばらく言われてきた有名なテストだが、最近の研究でそれが否定された。私はもう一回くらいそれがひっくり返ることもあるかもな、と思っている)
だが、マシュマロは焼いて食べるものだ、ということを知る。
とくに、映画『スタンド・バイ・ミー』でウィル・ウィートンらがマシュマロを焼いて食べるシーンを見るとうまそうで、うまそうで。
以後、マシュマロは私の気に入るお菓子となる。ただ、やはり滅多に食べられるものではない。たまに食べることになったとしても、そこに火があるとは限らない。
ヒルトンのデザートビュッフェのチョコレートフォンデュにはマシュマロを使うけれど(あれはあれでうまいが)、あれ、こっそりろうそくとかで焼いてはいかんのだろうか。うむ。ヒルトンだけにダメだろうな。でも、ヒルトンでしか出ないぞ?マシュマロ。
そうだよなー。キャンプでもないと火は燃やさないよなー。マシュマロを買ってまで食べることはないし、そもそもそんなに目に入らないよなー。
・・・そう思っておった。
本日は本当は家族三人で、うまいカレー屋に行く予定であった。そこのパスタがうまいことは知っていたので、だから本稿は、ともすればパスタの写真とその記事になっていたかもしれない。だが行くのが早すぎて店がまだ開いていなかった。
待てるような時間ではない。心がすっかりカレーとパスタに向いておったが、やむなし。とぼとぼと歩いておると、目に入った店がある。居酒屋みたいだなあー、子供連れて入るのはどうかなー、などと思っておったが・・。
『焼肉屋』とは看板にはなかったものの、中身はほぼ焼肉屋であった。そこのメニューになんと、マシュマロがあったのだ!
なるほど炭火で焼く焼肉屋であれば、客の目の前には直火がある。串に刺したマシュマロを火にかざせば、私の気分はもうリヴァー・フェニックスだ(文句ある?)。
網に落としそうになるのに抗いつつ、竹串をついくるくる無駄に回してしまうのがめちゃくちゃ楽しい。娘などに渡すものか(だが妻には取り上げられた)。
白い塊は溶けて行く。溶けながら表面が飴色に固まっていき、外はパリパリ、中はとろーり。もはや「口の中に何個まで詰められるでしょー?」という罰ゲームに使われるようなあのぶよぶよお菓子などではない。焼きたてほやほやの高級菓子である。
これですよ、これ。
実はその店は、引っ越したばかりの我が家からいちばん近い飲食店であった。今後妻に怒られてしょげた夜などはこっそりと家を抜け出し、マシュマロを焼くことは必至である。
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