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平成に存在した女子寮の話#8-おばけが怖い

私が20年前に暮らしていたH寮。通称監獄寮。その名の通り、昭和の香り漂う8畳4人部屋の古い建物。もちろん、トイレも洗面台も共用で、毎日が校内宿泊研修やってるみたいな環境だった。

しかも、夜23時にはブレーカーが落とされるので、廊下の明かりは非常灯だけ。ということは、丑三つ時だろうがなんだろうが、トイレに行きたくなれば真っ暗な廊下を抜けて共用トイレまで行かねばならない。・・怖いではないか。20歳にも近づいたほぼ大人でも怖いものは怖い。私はホラー映画もテレビの心霊特集も無理なんだ。普通に考えたら荒唐無稽な話でも、シーンと静まり返った暗い廊下を歩くと嫌に鮮明に思い出すんだ。そんな、寮でヒソヒソ囁かれていた話。

① 丑三つ時の廊下に落武者

昼間に聞くとちっとも怖くない。「ステキな金縛り」の西田敏行かってなものである。ただ、薄暗〜い廊下に誰かがゆるく閉めた蛇口からピチョンピチョンと水滴が落ちる音だけがしてるようなときに、なんかいるような気がする。そういえば落武者の話聞いたな、、と思い出す。京都なんか千年の歴史のなかでいかなる場所でも人は死んでるわけで、ましてやうちの女子大は鳥葬の地だったから、寮の下の地中には白骨が埋まってたっておかしくない。落武者だっていたかもしれない。。そんな考えが頭のなかをグルグルして、少しの物音でビクッとなっていた。(本当は禁止事項だけど)夜遅くまで友達の部屋でおしゃべりしてて、夜中自分の部屋に帰るのが怖くて友だちの布団で寝かせてもらったのも数知れず。おばけが怖いから部屋に帰りたくないと真顔で言う私を、苦笑いしながら布団に入れてくれた友人S本当に感謝!結局落武者が襲ってくるのか、切りかかってくるのか、そういったことは定かではない。ただただ、出るってだけで怖かった落武者。

②使われていない部屋

あまり人が近寄らない寮の奥の1室はなぜだかいつも使われていなくて、人数が多い前期でも空き部屋になっていた。おそらく、畳の具合がわるいとかエアコンの効きが悪いとかそんな理由だったのだと思うけど、寮生たちの間では「昔首吊り自殺があった部屋だ」と言われていた。ググってもうちの大学の寮内で過去自殺があったというのはひっかからないし、噂だと思うのだけどやっぱり近寄りたくなかった。こういう、開かずの部屋とか禁断の部屋って学校や古い寮のあるあるなのかもしれない。ある日、たまたまこの部屋の近くを通りかかったら、通いで来てくださっている清掃のTさんが出てきた。もしや、Tさんが着替えるために空けてある部屋のなのか。。あわてて、先輩や友人に報告したが、結局「自殺があった部屋」の噂は寮を出るまで消えなかった。

③4階の図書室と廊下で足首が見える

同級生の子がしきりに言ってた話。23時を過ぎると各部屋の電気が強制消灯させられるため、24時間電気がつく4階の図書室で勉強する寮生も多い。そんななか、夜遅くまで勉強をしていたら人が近づいてきたような気配がしたので振り向くと誰もいない。が、足元をみたら足首だけペタペタ歩いて行ったんだそうな。。彼女は怖くはなかったけど、本当に見た!としきりに言っていた。そういえば、旦那も昔々京都市内のゼスト御池には入りたくないとしきりに言っていて、理由を聞くと「息苦しいのと足首だけで歩いていくのが見える」とかなんとか言ってたな。おばけとしてはポピュラーなのだろうか。足首。。

※ ちなみには今はゼスト御池に行っても見えないそうです

④仏間掃除のときに小さい親鸞が掃除を手伝ってくれる

寮生は朝起きたら1番に掃除をする決まりになっていて、持ち場は週ごとに変わっていく。トイレや洗濯場に続いて大変なのがお仏間の掃除。なんせ広い!そして、朝の7時というと冬場はまだ薄暗かったりするので、寝ぼけまなこで畳をはいていたら、誰もいないはずが塵取りが出てくる。よく見てみると小さい親鸞が塵取りを差し出してくれる・・・というもの。掃除を手伝ってくれるなんて、素晴らしい!唯一会ってみたい怪奇現象なのだった。親鸞聖人をおばけと同列にしたらバチがあたるか・・。申し訳ない。ちなみにサイズ感は20~30㎝くらいらしい。

・・・実はこの話、私の友人Sの同室の先輩Mちゃん先輩がつくった作り話なんだそうで。後輩たちに冗談でしゃべった話が寮内を駆け巡り、後輩へ後輩へ引き継がれ、なんと私たちが卒業した後も小さい親鸞の都市伝説は寮生に受け継がれているらしい。もう、H寮もなくなったし時効だな。暴露できてスッキリ。




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