見出し画像

平成に存在した女子寮の話#7 -女子寮は秘密の花園??

女子寮というとどんなイメージをもつだろうか?男性が垣間見ることができない、女性だけの秘密の花園・・・なんてものは幻想ということを、これまでの記事を読んでくださった方はわかるだろう。共同生活の鉄則として、清潔にはしていたものの、なんせ監獄だ。日々、ザルの上で髪を洗い、レトルトのパスタを鍋から食べていた。なんなら、鍋敷きはシラバスだった。。先生ごめんなさい。そういえば、私はムカデの撃退法をこの寮で学んだな。

そんな、寮生の部屋着は基本ジャージ。バッチリメイクでブランドのバッグを片手に合コンに行く先輩も、日傘を片手に清楚なワンピースを着こなす先輩も、寮では○●高校バレー部と背中に大きく入った芋ジャーを着ていたりする。ジェラートピケの部屋着なんか着てる人は1人もいなかった。あ、20年前はブランド自体まだなかったのか。

そんな寮は、基本的に寮生以外立ち入り禁止。家族も入寮日だけ中に入れるけどそれ以外はNG。そもそも女子ばっかり100人の8畳4人部屋なんて魔窟だ。彼氏を呼ぶなんて絶対に嫌だ。ある意味想い描く女子寮の正反対の光景が見れるだろう。可哀想に、たまにこんな寮に入らなくてはならなくなった人たちがいる。お風呂のボイラーとかエアコン修理とかの業者さんなどなど。彼らは玄関に隣接する受付当番のある事務室に声をかける。そうするとこんな寮内アナウンスが流れる。

ただ今から〇〇の修理の方が寮内に入られます!繰り返します、ただ今から〇〇の修理の方が寮内に入ります!

今から男性が寮内に入るから、パンツ一丁でウロウロするなよ!という警告である。いやいや、節度と礼節を重んじる我が寮なのでパンツ一丁はないか。ちょっと盛ったな。失礼、失礼。ノーブラ、キャミソールでウロウロするなよ!という警告である。寮生のノーブラ率高し。

実際可哀そうだと思うんだ、修理の業者の方も。自分が寮内に入るというアナウンスなんかされて。自分は珍獣かよっていう気持ちにもなるだろうし、別に害を加えるわけでもない。寮側の意図としては、寮生よ恥ずかしい恰好をするな!という警告でも、業者の方はそうはとらないよね。しかも、古くさい建物で芋ジャーを着たスッピンの女子大生なんて、自分が思い描く女子寮のイメージが崩れるだけで、ひとつもいいことないんだ。

それでも、どうにか寮内に入りたい!っていう男友達はたくさんいた。バカだなあといつも思っていた。そんなやつらは、スリッパに足を突っ込んだら、こっそりスリッパ内に忍び込んでいたムカデに刺されるがいい。君たちが秘密の花園と思い描く女子寮は、廊下に並べているスリッパにモソモソとムカデが忍び込むようなそんな場所だ。

寮に入って一番最初に習うこと。スリッパに勢いよく足を突っ込んではいけない。なぜなら、ムカデが潜んでいるかもしれないから。。。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?