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平成に存在した女子寮の話-♯2 鉄壁の門限について

20年前に私が住んでいたH寮。門限22時。

とはいえ、平成のこのご時勢、女子大生なんだから便宜があるのだろう。厳しくても、遅れる、もしくは今日は泊って帰りますと連絡入れたらいいんだろう。そう思って入寮した子も多かった。

実に甘かった・・・・。

基本的に、在寮しているかどうかは玄関にある全員の個人名が書かれた札を返すことで見分ける。たしか、赤地に白文字が外出中で白地に黒文字が在寮だったかな。22時になると、寮監さんが札が全部返っていることを確認して巡寮。そう、寮監さんが点呼よろしく、各部屋をまわるのだ。

寮内部2

寮はこのような間取りで、センターに廊下があり、左右に8畳の部屋が連なっていた。22時になるとみんな部屋の入口の引き戸を開けて、4人並んで

寮監 「おやすみなさませ」 寮生「おやすみなさいませ」

と三つ指ついてご挨拶をするのだ。今でも囚人か!と突っ込みを入れたくなる。ちなみに、朝の巡寮も同様に三つ指ついて「おはようございます」。

寮監さんはすべての部屋をチェックして、全員いることを確認するとお風呂のボイラーを切り、伝家の宝刀セコムをかける。そう、泥棒や侵入者から女子学生を守るために、寮を無数の赤外線が飛び交う・・・という名目で、22時以降は何人たりともこの寮からは出さない!という状況になる。(嘘か本当か、この赤外線をキャッツアイのようにかいくぐり、夜間外出を果たしたという伝説のS先輩の話はまた今度)

こうして、門限ヤバいからどこかの窓開けといてよ!というようなことは一切できないのであった。ちなみに、電車の遅延など、どうしても22時に戻ってこれない場合は電話を入れなくてはならない。そして、遅れて帰ってきたら反省文を提出し、ペナルティの事務所当番が待っている。ちなみに、反省文や事務所当番より怖いのが、先輩からのプレッシャー。誰かが遅れて帰ってくると瞬く間に全寮生の耳に入ることになる。女子大生が100人以上同じ建物で暮らしていて、ルール違反をした時の白い目は結構怖い。。直接的ないじめや制裁はなかったけど。

もし、22時になっても連絡がつかなった場合はどうなるのか。実際に私はその場面に遭遇したことがないのだが、噂によると、友人関係⇒実家の両親に鬼電がいき、15分ほど過ぎても連絡がつかない場合は、警察に通報されるそうだ。非常に恐ろしい。。これで、ほろ酔いで彼氏に送られて帰ってきたなんてことがあれば、とんだ恥さらし。警察まで巻き込んで、いたたまれないことこの上ない。

そんな監獄寮だが、ひとつだけこの門限が役に立つことがあった。腐っても女子大だったので、それなりに近隣の大学やサークルのコンパに誘われることも多かった。そこで、しばしば遭遇するはずれ合コンのときに「私たちK女の寮生なので帰りまーす!お風呂入れなくなっちゃう」といえば、たいてい逃げられた。近隣の大学でもK女の監獄寮のことは知れ渡っていて、K女の寮生ならしょうがないという地元ルールが浸透していたのだ。

社会人になって10年程経った頃に、当時近くの大学に通っていた男性のカメラマンと仕事をした。私がK女の寮生という話をすると、「俺たちのなかで、K女の寮生は鉄のパンツ」だったんだそうだ。さもありなん。


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