記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【ネタバレ】「劇場版ウマ娘 新時代の扉」見に行って開始1分で泣いた

あまりに仕事へのモチベーションが低すぎたので、心の安定を図るべく今日は有休を取った。
やることはあるにはあるのだが、多分来週から6月末までぐっと忙しくなるので、一息つくにはちょうどいいタイミングだったのかもしれない。

本当は予定があったのだがやむなき事情で延期となったので、「ほんなら今日上映開始の劇場版ウマ娘見に行くか」と思い立って映画館に向かった。数年ぶりに訪れた映画館で食うポップコーンは美味かった。バターオイルなどもかけてもらって手はギトギトになった。

で。ここから映画の超絶ネタバレ感想を書いていきます。


劇場版ウマ娘、開始直後から泣いちゃった。
なんでだか知らんが映画館に来るとすぐ泣いちゃうんだ。
スポーツに打ち込む女の子が劇画で描かれているだけで好きすぎて泣いちゃうんだよね。

これから映画を見に行く方は、ポッケとタキオンの感情のグラデーションに注目しながら見ることをお勧めしたい。
ウマ娘のいちコンテンツとして見るのももちろん良いが、挫折と奮起・諦めと再生の物語という視点で映画を楽しむと、より自分事として楽しめるのではないかと思います。

下記からより激しいネタバレ感想をしていきます。

フジキセキの圧巻の走りを目にしたジャングルポケット(以下ポッケ)が、心動かされてトレセンに飛び込む決意をするシーンの美しさたるや。
ポッケのアクセサリーであり、映画のキーアイテムとなるサンキャッチャーがポッケの目前に広がる光り輝く世界を象徴しているようで、そこだけで泣けた。
(なんでサンキャッチャーなのか?については語られないので永遠の謎)

OPが流れれば泣いて、ウマ娘エキストラたちが出てきたら泣いて、
アグネスタキオンに圧倒されてポッケに泣いて、
ダンツフレームの切実な勝利への渇望に泣いて、
ポッケがゴール前に限界を突き抜けた描写に泣いて、
ポッケが曇ってモチベもメンタルもズタボロになって泣いて、
フジキセキが良き先輩であり良きおねえさんで泣いた。
テイエムオペラオーが魔王すぎて痺れて泣いた。
まさかエアシャカールがしゃべるだなんて思ってなかったので「ギェェェシャベッタ~~~」って一人で思ってました。

真面目な感想もちゃんと書きます。
優れた何かと比較されるというのは、もちろんのことながら、競馬においてもよくあることだ。
特にジャングルポケット世代がクラシック戦線に上がったのは2001年と、何かにつけて「21世紀初」とか「新時代」とか、特別な肩書を付けられることも多かっただろう。そんなメモリアルなタイミングで、鮮烈な印象を残して彗星のように消えてしまったアグネスタキオンという馬の残像。2001年時点で3歳馬のシンボルとして、延々と人の心に刻み込まれたであろうことは想像に難くない。
「ジャングルポケットは日本ダービーを獲ったが、皐月賞を圧勝したアグネスタキオンが、引退せずにダービーに出走していたら?」という妄想に頭を悩ませ、空虚な心地のままトレーニングを行うポッケ。世間から常にアグネスタキオンと比較されて、好き勝手に優劣を付けられて、その後も知ったように語られてしまうことが、どれほどまでに辛いことか。これを覆すにはアグネスタキオンを直接下すしかないのに、すでにタキオンは事実上引退してしまい、それすら叶わないのだ。
そして、「俺には世間の声なんて関係ねえ!」と打ち破るほどの図太さはなく、葛藤しているポッケの姿はなんとも痛ましい。ポッケの憧れの存在であるフジキセキの言葉すら重圧に感じてしまい、モチベーションを著しく落としてしまう描写に胸が痛くなる。
やんちゃで実直なキャラクターとして描かれているポッケが、本心を隠そうと不器用に取り繕うネガティブな姿は、生々しさまで感じた。

「この案件はこの人がやったら上手くいったんだろう」とか、
「この人ならもっと評価される成果が出せたんだろう」とか、
誰かと比較して自分を下げるような葛藤をすることもあろう。
そんな思いを払しょくするのは、結局自分の意識を変えるしかない。
ポッケの場合、「強くなりたい、走りたい、負けるのは怖いけどそれでも勝ちたい」という、レースの世界に飛び込んだ原初の理由に立ち返れたのが、メンタル回復のトリガーだった。
(それを導いたのがフジキセキであったのも、ニクい演出だ。雨模様の天気が晴れていく描写は若干やってんな感もあったが)
そして、テイエムオペラオーを粘って差し切りジャパンカップを勝利するという美しすぎるフィナーレを飾る。
実際のレース展開をなぞった描写とはいえ、なかなか完成された展開だと思わざるを得ない。

一方、ポッケにトラウマを植え付けたアグネスタキオンもまた、一言では語れない複雑な感情を抱えている。

皐月賞を圧勝し、ケガにより事実上引退を決めるタキオン。その後、ウマ娘が走る理由を追い求めて実験と研究に没頭するも、「実際のところ、私は何がしたいのだろう?」と立ち返る瞬間が少し怖かった。アイデンティティが揺らぎ、自分自身を見失う感覚が押し寄せるのだ。本当はあきらめたくなかったのに、諦めた後にその思いを自覚したときの喪失感も、大人になると多からず経験する感情かもしれない。
タキオンの場合、その喪失感から復帰するトリガーとなったのが、ポッケのジャパンカップでの激闘だった。ポッケの魂の走りにいてもたってもいられなくなったタキオン。理屈を抜きにして、自分自身の本当の思いに向き合った時の爽快さというのは、カタルシスに満ちていた。
そのあと、レースに復帰したと思しき描写が描かれたが、まあそこはif世界を描くウマ娘ならではということで。

というわけで総じて満足感は高かったのだが、ひとついうのであれば、レース描写はRTTTのほうがよかった。
映画だから大仰な演出や音響にせざるを得なかったんだろうが、レースの白熱した描写はRTTTのほうが生々しくて好きだった。好みの問題なので個人の感想です。

そういうわけで、いろいろ自分事で考えることも多く、最後まで泣きっぱなしで終わりました。久々の映画館もいいもんですね。
現実世界の日本ダービーもあと2日。現実世界ではJRA厩舎3労組が、労使交渉が決裂のためスト決行という展開になっていますが、全人馬無事にレースを盛り上げてくれることを祈ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?