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【詩】樹木の上の都市

こんにちは、深見です。
虫や地衣類の写真を撮るのが好きなのですが、冬は虫が少ないので、どうしても写真フォルダが地衣類ばかりになってしまいますね。


樹木の上の都市

樹木や
岩や、コンクリートの塀や
柵の表面や、墓石に

貼り付いて、あるものはひだを広げ、あるものは星雲のように散りばめられ
あるものは円状に進出するそのものたちは
一昼夜で変化するものでもあるまいに
どうしても私の脳はそのものたちの姿を美しいと感じ
見るたびに、見るたびに美しいと感じてしまい
美しいものを手元に置かんとして、カメラを構える。

そのものたちの命そのものは見えずとも
そのものたちの作り出した構造物は、樹木の肌の上に
星のように
花びらのように
レース編みのように広がって、
たとえば私たちの世界の外がわに何もかもを超越した存在があり
私たちの営みを見ていたとして、
私たちの作り上げた都市や道路や線路などは
このように美しい姿を見せているのだろう。
それはあくまで想像に過ぎず、しかしながら想像にたやすい。

生きている。
そのものたちは生きている。
そのことが何よりも愛おしく、何よりも美しい。

そしてまた私は
樹木や
岩や、コンクリートの塀や
柵の表面や、墓石に目をやって
そのものたちの姿を探し
たった数日前と比べて何が変わっていることもあるまいに
やはり美しいものをそこに見る。


美しいものたちの美しい都市は、
星のように、花びらのように、レース編みのように
広がって、散らばって、樹木の上を進出し、
私はそこにカメラを向ける。
何もかもを超越した存在が、あるいは私たちにそうしたように。

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