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2021年映画感想

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#岡田将生

映画『ドライブ・マイ・カー』感想 抑えきれずに、わずかだけ溢れる想いを描く傑作

 濱口監督作品の神髄を、初めて理解、堪能することが出来ました。映画『ドライブ・マイ・カー』感想です。  俳優で劇作家の家福悠介(西島秀俊)は、妻である脚本家の音(霧島れいか)の事を深く愛している。それが故に、音が他の男と不貞を働いていることにも気づかない振りをし続けていた。ある日、家福は音から、今夜話があると告げられるが、その夜、家福が帰宅すると、音はくも膜下出血で還らぬ人となっていた。音と、音が話そうとしていた事を永久に喪ってしまった家福は、舞台に立つことが出来なくなって

映画『Arc アーク』感想 SF感表現の難しさ

 ちょっと不満が多いですが、こういうジャンルへの期待の表れと思ってください。映画『Arc アーク』感想です。  17歳で産んだ子どもを捨てて、放浪生活をする少女リナ(芳根京子)。バーのステージで自分勝手なパフォーマンスをして追い出されたところ、エマ(寺島しのぶ)に見初められ、彼女の仕事に誘われる。エマは、遺体を躍動感あるアートとして保存する「プラスティネーション」の第一人者であった。エマの見込んだ通り、リナはその技術の才能を発揮して後継者となる。エマの弟である天音(岡田将生