マガジンのカバー画像

2021年映画感想

43
運営しているクリエイター

#松坂桃李

映画『空白』感想 辛くとも遺された人々の時間は続く

 邦画の傑作が続く2021年でも、上位に位置する作品。映画『空白』感想です。  漁師の添田充(古田新太)と、中学生の花音(伊東蒼)は、父娘2人暮らし。粗野で自己中心的な添田は娘の話を聞こうとせず、花音もそんな父親に怯えて何も言えずに過ごしていた。  ある日、スーパーの化粧品売り場で花音は万引きを疑われ、店長の青柳直人(松坂桃李)に事務所に連れていかれる。花音は店から逃げ出し、青柳は花音を追いかけるが、道路に飛び出した花音は、乗用車に跳ねられて倒れたところをダンプの下敷きとな

映画『孤狼の血 LEVEL2』感想 鈴木亮平の独壇場、役所広司の不在による存在感

 『仁義なき戦い』の支配から脱し始めているように思えました。映画『孤狼の血 LEVEL2』感想です。  尾谷組と五十子会の抗争から3年。亡き大上刑事のやり方を引き継いだ日岡秀一(松坂桃李)は、チンピラの近田幸太(村上虹郎)をスパイに使いながら、広島ヤクザのパワーバランスを操り、大きな抗争もなく収めていた。  そんな中、五十会の組員、上林成浩(鈴木亮平)が出所する。上林は、出所したその足で、自分を痛めつけた刑務官の妹である神原千晶(筧美和子)を惨殺。弱体化した五十子会や、上位