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2021年映画感想

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#大橋裕之

映画『街の上で』感想 今泉監督会心の代表作

 とにかく、全てにおいて「絶妙」な傑作。映画『街の上で』感想です。  下北沢に住み、近所の古着屋で働く荒川青(若葉竜也)は、恋人の川瀬雪(穂志もえか)から別れを告げられて、思いもよらぬ傷を抱えていた。それでも、ライブハウスや行きつけのバーに通ったり、馴染みの古本屋で、田辺冬子(古川琴音)と喋ったりと、青の平凡な毎日は続いていく。そんな中、美大に通う高橋町子(萩原みのり)から、卒業制作に監督する自主映画への出演を依頼される。その撮影現場で出会う城定イハ(中田青渚)など、女性た

映画『ゾッキ』感想 散漫になってしまった群像劇

 今回は映画『ゾッキ』感想。ちなみに「ゾッキ」とは、余った新品本が古書市場などで安く出回ったものである「ゾッキ本」からとったタイトルだそうです。  「秘密はなるべくたくさん持て」と祖父(石坂浩二)から、謎のアドバイスを受ける前島りょうこ(吉岡里穂)。寝袋と拾ったエロ本だけで、あてのない自転車旅に出る藤村(松田龍平)。親友の伴くん(九条ジョー)の、実在しない自分の姉への恋心に悩まされる牧田(森優作)。父(竹原ピストル)に連れられて真夜中の高校に忍び込んだことで、とんでもない物