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2021年映画感想

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#河合優実

映画『由宇子の天秤』感想 「正しさ」を疑う力作

 この作品を観る直前、前の上映回から出てきた女性がボロ泣きしていて、「ああ、覚悟して観なきゃいけない作品なんだな」と思わされました。映画『由宇子の天秤』感想です。  ドキュメンタリーディレクターの木下由宇子(瀧内公美)は、3年前の女子高生いじめ自殺事件の取材撮影を続けている。由宇子の妥協せずに真実を追究する姿勢は、学校の責任だけでなく、事件当時の報道メディア批判にも繋がると、局側からは煙たがられていた。それでも、由宇子の取材チームの取材によって、真相を明るみにする映像が揃い

映画『サマーフィルムにのって』感想 「好き」という肯定感の心地好さ

 キラキラした青春ですが、オタク人種に対する優しさに溢れています。映画『サマーフィルムにのって』感想です。  高校で映画部に所属するハダシ(伊藤万理華)は、時代劇オタクで特に勝新太郎の大ファン。だが、自分の書いた時代劇脚本は部で採用されず、キラキラした恋愛映画ばかりを撮る部活動に嫌気がさしていた。放課後は、天文部のビート板(河合優実)と剣道部のブルーハワイ(祷キララ)と、溜まり場にしている廃バスの中で、名作時代劇を観てはチャンバラ遊びで殺陣を再現する日々。  ハダシは映画館